日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

被疑者写真の取り違えを、メディアは「お詫び」で済ませてはいけない

2012-10-31 | ニュース雑感
尼崎の連続変死事件の主犯と目されている角田美代子被告の写真とされ、各社で公開されていたモノが実は全く別人のものであったということが、写真本人からの申し出により分かったそうです。問題の写真は、各メディアに散々登場している和服を着た50代女性写真です。これはひどすぎます。報道によれば、取材記者が角田被告の長男の同級生の母親から入手したそうだが、本人の確認作業はどうなっているのでしょうか。本人の氏名、顔写真確認はメディア取材における“イロハのイ”です。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/10/31/kiji/K20121031004449060.html

本件は、警察における犯人の取り違え逮捕と同じレベルで責めを負うべき問題であるでしょう。あの写真を見たどれだけ多くの人があの写真に罵声を浴びせかけたことでしょう。それが全くの別人であったとは。女性は報道陣に「もの凄い憤りを感じている」と話したそうですが、その心中や察して余りあるところです。

二次使用、三次使用の新聞、テレビメディア各社は早速「お詫び」を伝えているようですが、他の事件で同じように本人の名誉を傷つけるような取り違えが発生したなら、こぞって原因追究にこれでもかと糾弾を続けるであろうメディアは、本件を「お詫び」の一言で終わらせてはならないと思います。読者、視聴者にとっては、いつ何時わが身に降りかかるかもしれない事態であり、詳細な原因究明と再発防止策を、我々の前に提示する義務があると思われるからです。

メディア各社には、どこのメディアが当該写真を最初に入手し、どのような手続きで本人と断定し使用したのか。二次使用、三次使用の各メディアは独自の確認作業を怠ったのではないのか。それはなぜか。同じような事態を起こさないためにはどのような対策を講じる必要があるのか。それらについて、速やかかつ詳細な調査と報告を求めたいと思います。

もうひとつ本件発生に至った大きな原因に、角田被告の写真を警察がこれまで公表していないということがあります。これに関しては捜査上様々な事情があるのかもしれませんが、このような二次被害を生むような事態になるほど、国民の関心が高い凶悪事件であり、主犯被疑者の写真を公開しないのなら、その理由を明確にする必要があると思われます(今回のような不明な部分が多い事件における被疑者の早期写真公開は、むしろ一般からの未入手情報の提供にもつながるものと考えられるだけに、どうも腑に落ちない感じもしております)。

いずれにしましても、メディアの不用意な対応による二次被害は絶対に起こしてはならないということを肝に銘じ、各メディアは早急にあるべき対応を確立して我々の前に提示して欲しいと思います。

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1 コメント

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Unknown (珍事)
2012-10-31 16:36:50
こんにちは。

確かに、あの写真を見て、ずいぶん、にこやかな、優しそうな顔の人だな、そんな人が、あんな凶悪犯罪をするのかな、と不思議でした。このように不審を抱いたい人は、ぼくだけでなく、たくさんいたと思います。

知人に聞くと、20年ほど前の写真(だから顔も変わっている)というので、なるほど、そういうことか、と変に納得していた次第です。自分の不明を恥じ入るばかり。

マスメディアの中に、あの写真を見て、「こんな柔和な顔の人が、凶悪犯罪をするんだろうか」という疑問を抱く人がいれば、少しは自浄もできただろうし、早く間違いに気づけたと思うんですが。残念です。



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