静聴雨読

歴史文化を読み解く

池内紀の仕事・1

2008-05-22 04:57:15 | 私の本棚
池内紀(いけうち・おさむ)をご存知だろうか? 知る人ぞ知る・知らない人は知らない、ドイツ語圏文化の達人である。亡き種村季弘の衣鉢を継ぐ存在、といえるのではないだろうか。

池内の活躍ぶりを「BIBLOSの本棚」で検索してみると:

その1。歴史・地理案内人として。
「ドイツ 読んで旅する世界の文化と歴史」、新潮社
「ザルツブルク 祝祭都市の光と影」、音楽之友社
「ウィーン 都市の詩学」、音楽之友社
「ハプスブルク物語」、新潮社とんぼの本

その2。ウィーン世紀末の案内人として。
「ウィーン 聖なる春」、国書刊行会
「ウィーン世紀末文学選」、岩波文庫

その3。旅の達人として。
「ひとり旅は楽し」、中公新書
「西洋温泉事情」、鹿島出版会
NHKのBS放送で、ライン川を下る紀行番組があったが、その案内人の一人として登場していたように思う。

その4。ドイツ語文献の翻訳家として。
「グリム童話 全2巻」、ちくま文庫
さらに、カフカの小説の翻訳が何冊か白水社から出ているし、ゲーテ「ファウスト」の翻訳も集英社から出ている。単に、ドイツ語圏文化の達人という「便利屋」には終わらないぞ、という意気込みを感じさせる翻訳の業績だ。 (つづく。2008/5)