花は樹のことばである
女が死んだていい
と言いつのるとき
花を散らして
樹だってそう思う
この世に千年生きても
これ以上のことって
ないだろうから
ほら
吠えているだろ
夜の花吹雪
女が死んだていい
と言いつのるとき
花を散らして
樹だってそう思う
この世に千年生きても
これ以上のことって
ないだろうから
ほら
吠えているだろ
夜の花吹雪
裸で生まれた
裸で暮した
死んではじめて
侍従が
服を着せた
みんなで
笑った
恥ずかしかった
寂しかった
誰が?
生きている間は
王が
死んでからは
神が
裸で暮した
死んではじめて
侍従が
服を着せた
みんなで
笑った
恥ずかしかった
寂しかった
誰が?
生きている間は
王が
死んでからは
神が
信号灯がまた
ぶっ壊された
いつもそうなんだ
犯人は
信号を守らない人ではなくて
律儀に守ってきた人なんだ
泣きながら
壊してたんだよ
ぶっ壊された
いつもそうなんだ
犯人は
信号を守らない人ではなくて
律儀に守ってきた人なんだ
泣きながら
壊してたんだよ
海を見つめる
モアイの石像を
思い浮かべるとよい
しかし石になる寸前
目と耳と鼻と口
顎を突き出した顔で
時間の風を
二つに切り裂いている
君だ
目に見えるすべてが墓だと
言い切ってよいが
その中で つまり
生きている人間だけが
宇宙の岬の先端で
ほんとうの墓である
花もトカゲもサボテンも
先祖代々
みんなここに眠ると
君の顔には書いてある
モアイの石像を
思い浮かべるとよい
しかし石になる寸前
目と耳と鼻と口
顎を突き出した顔で
時間の風を
二つに切り裂いている
君だ
目に見えるすべてが墓だと
言い切ってよいが
その中で つまり
生きている人間だけが
宇宙の岬の先端で
ほんとうの墓である
花もトカゲもサボテンも
先祖代々
みんなここに眠ると
君の顔には書いてある