ぶらぶら人生

心の呟き

一泊二日 周遊の旅 7 (三次市の石川啄木碑)

2009-05-29 | 旅日記
 タクシーで、美術館から駅に向かう途中、石川啄木歌碑のあるお宅に立ち寄ってもらった。
 石川啄木記念館から送ってもらった資料<全国の啄木碑>によると、<田島家庭園内>にあると、碑の在り処が記してあった。
 が、運転手の話では、資料に記してある番地に住んでいる人は、田島ではなく大畠という人だという。
 前日、ホテルのフロントで尋ねたとき、地図で確かめ、その番地は田島さんの家になっている、ただこの地図はかなり古いので…? とのことだった。
 
 「ここが、その番地の家です。下りてみますか」
 と、運転手に促され、カメラを持って車の外に出た。
 
 表札は「大畠○○」となっており、横に女性の名前が、小さな字体で添えられていた。
 やはり住人が変わっていたのだ。
 
 入り口の扉のすぐ傍、小路から見える位置に、その碑はあった。
 玄関の横、建物前の狭い庭に。(写真)

   たわむれに母を背負ひて
   そのあまり軽きに泣きて
   三歩あゆまず
          啄木

 と、彫られている。
 石の種類も、啄木の歌碑がそこに置かれた理由もよく分からない。

 碑の前には数個の鉢があり、その一つには、テイカカズラの、時期を過ぎた花が、哀れげに咲き残っていた。
 運転手は、家の人に声をかけた方がいいだろうと、ベルを押してくれた。が、返答はなかった。
 「新聞が取り込んでないから、留守なんでしょう」
 と、運転手。
 碑の写真だけは、無断で撮らせてもらい、家主に会えないのを残念に思いながら、引き上げることにした。
 珍客に対し、玄関の右側に繋がれた犬が、神経質そうに吠えた。
 犬がいるということは、長い不在ではないらしかった。
  

 旅から帰って、電話局に問い合わせたところ、私の尋ね人は、電話帳に載っていないとのことだった。少し離れたところに大畠姓があるから、そこにつないでみましょうか、とのこと。あるいは親戚関係かも知れないと思い、呼び出しを頼んだが、全く無縁の人だった。 (以上は、28日にまとめたもの。)


 先刻、石川啄木記念館から、注文の浅沼秀政著『啄木文学碑紀行』が届いた。
 早速、開いてみた。
 <広島県三次市・田島庭園の歌碑>として、写真を添えた記事が出ていた。
 私の見確かめられなかった≪碑陰≫も、紹介してあった。

    昭和六十三年十月 三次 一江  建之 
    この歌を私たちのそれぞれの
    亡き母に捧げる

 と。(注 夫妻の名前は並べて彫られている様子)
 文字は奥田三次氏のもである、とも書いてあった。
 建立当時は、むしろ横長の御影石に彫られていたのを、平成七年六月に、現在の縦長の石に彫り直されたものだという。
 奥田夫妻の、それぞれの母堂に対する思いが、啄木の歌に託されたということらしい。碑の由来だけは分かった。
 依然として、現在お住まいの大畠氏との関係は不明である。

 石川啄木記念館へファックスを送り、先日来、資料や本を送っていただいたお礼に併せ、三次市の啄木碑のある場所が、大畠の表札に変わっていたことを申し添えておいた。
  

               


 24日、啄木碑を見た後、同じタクシーで三次駅へ。
 芸備線で、広島に向かった。
 この線を通って、遠い昔、三次に一泊した思い出がある。
 三次の馬洗川で行われる鵜飼を見るためであった。
 ホテルの人によると、今も四百四十余年の伝統を守って、続けられているとのことだった。
 私が訪れたのは、まだホテルのない時代で、泊まった宿はいわゆる旅館であった。
 鵜飼を見た夜の、川風が心地よかったこと、川面にゆらぐかがり火に、寂寥と美しさを覚えた記憶がある。
 鵜飼いといえば、長良川の鵜飼を見たのが最初だった。
 それについで三次。四国の大洲に一泊し、肱川の鵜飼を見たのは、平成の初めごろだったように思う。

 芸備線には、三江線のような鄙びたローカルの味がない。風景が平凡である。
 岡さんの詩に出てきた府中を通る福塩線の趣はどうなのだろう?
 府中の紫陽花寺は、見るに値するのかどうか?

 広島で新幹線の乗り継ぎまでの時間、駅前の百貨店<福屋>で過ごした。
 食事をしたり、Sサイズのお店を見つけたので、気まぐれにブラウスを求めたりして。
 9階が書店になっていて、広いフロアに大量の本が置いてあった。
 残念ながら、乗車までの時間が残り少なく、ゆっくり本を手にとることができなかった。

 旅の終わりは、山口線。
 このローカル線こそは、私の人生で最も利用した路線である。今まで幾度上り下りしたか数え切れないほどである。
 やはり味わいのある路線の一つに数えたい。
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1 コメント

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たわむれに (桜海老の効果)
2010-03-17 09:38:23
初めまして、たわむれに、初恋を草笛で演奏しています。

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