ぶらぶら人生

心の呟き

贅沢な時間(「かじか荘」)

2016-06-07 | 旅日記
 日常の中から、ちょっと抜け出したくなることが、よくある。
 先日、草花舎で、「かじか荘」周辺では、しきりに河鹿が鳴いていると聞いた。
 遠くまで出かけなくても、河鹿の声は聴けるのだ。
 早速、出かけてみよう、と思った。
 家を離れる口実ができたことを、内心喜んだ。
 (誰に気兼ねすることもない、自由な生活をしているのに…。)

 PCで、大谷温泉について調べ、昨夕から今朝まで、  「かじか荘」 のお世話になった。
 短い旅だったが、実に贅沢な時間を過ごすことができた。

 
 昨夕のひととき、散歩に出た。
 そのとき、河鹿の声は、まだ少なかった。
 が、日暮れが近づくにつれ、その声は高くなった。
 一体、幾匹(幾百、幾千)の河鹿が、「かじか荘」近くの清流に棲んでいるのだろう?
 雌を誘う雄の大合唱は、美しいけれど、なんとも哀切である。
 (今朝6時、浴室に下りたときにも、まだ鳴き続けていた。)

 その声を音で表記するのは、大変難しい。
 歳時記には、<(雄は)「ヒョロヒョロ、ヒヒヒヒ……」と、涼しげな鳴き声を出す>と記してあった。
 ちょっと似てはいるけれど、もっと類似の擬音語はないものか?
 その鳴き声の、音の高低やスピード感まで表記するのは、容易ではない。

 YouTubeで、短時間の声を聞いてみる。
 確かに河鹿の声には違いないけれど、やはりもの足りない。
 自然の中に佇んで、せせらぎの音と共に聞く河鹿の声は、もっと素晴らしい気がするのだ。
 (ブログを書いている今も、私の耳には、昨夜の本溢川のせせらぎと河鹿の大合唱が聴こえてくる。)
 

 河鹿へのこだわりは、半世紀前、県境の町で過ごした3年間と関わりがある。
 初夏を迎えると、その声に親しみながら、生活した思い出がある。

 仕事を終えて、毎夕、町の銭湯へ行く。
 その往復の道すがら、夏の夕べ、いつも耳にしたのが、河鹿の声であった。
 本溢川に比べれば、比較にならないほど水量豊かな吉賀川であったが、やはり清流という共通点があったのだろう。
 希望して住んだわけではない山間の町で、河鹿の声は心の慰めの一つだった。

 その後、数度、旅先で河鹿の声を聴く機会はあった。
 が、この度は、ごく近くに、その声を聞ける秘湯宿のあることを知り、楽しみにして出かけたのであった。

 大谷温泉に行くのは、実は二度目である。
 ずいぶん昔、まだ元気だった父母と一緒に訪れたことがある。

 しかし、それは、河鹿の季節ではなかった。
 非常に記憶があいまいだが、晩秋の気配が漂っていたように思う。
 (部屋に、炬燵があったような気がする。)
 昭和58年の水害より、幾年か前のことである。
 
 女将さんの話によると、その折、「かじか荘」とその周辺にも、大きな被害があったという。
 小さな川の両岸が、今は、がっちりと石垣で守られている。
 昔は、田舎のどこにでもある小川だったような気がする。(すべては、曖昧な記憶であるけれど…)


             今回の小さな旅を、写真と一緒に、ブログに留めておこう。
               
     
                    現在の大谷温泉「かじか荘」

          
                   「かじか荘」近くを流れる本溢川

          
                     「かじか荘」裏のモミジ
           (鮮やかな色彩に惹かれた。秋はどんな色に変わるのだろう?)


                 以下は、夕方の散歩で撮影したもの。
  

  

      
                                  (このホタルブクロは廊下の活け花)


                     私の宿泊した部屋(8畳の和室)
  

  

  
       部屋から見えたホタルブクロ              鯉の池
               (鯉の泳ぐ池は、温泉に浸りながら、目の前に眺めることができた。)     

                     新鮮な食材の生かされたご馳走
          
                               夕食膳

  
                               朝食膳 

          
                稀勢の里 来館(平成19年)の写真 ご主人と
                    (稀勢の里もご主人も若い。)

              
             受付のカウンターに立つと、斜め上に見えるた河鹿の写真
                  (お客さんが撮影されたもの。
              河鹿は、居場所ごとに色を変えるという。<隠蔽色、保護色>)

               
                         コップの中の蛍
             (女将さんが、蛍を見につれていって下さった。
             「かじか荘」の近くにも、一つ二つは飛んでいた。
           が、下流にはもっとたくさん飛ぶ場所があると、車の乗せてくださったのだ。
                   
              闇の中に、湧き出るように灯が点る。
              あちらの闇から、こちらの闇に…。
              遠く、近く、群がりつつ、灯りが点り、また消えてゆく。
              それぞれの点滅に、時間差をつくりながら…。
              暗闇の中に、<音のない静寂な音楽>が、奏でられているかのように。

              コップの中の蛍は、その時、草むらで捕えたものである。
              帰途、私の手の中で、淡い灯を点し続けていた。
              蛍をコップに入れてくださったのは、ご主人である。
              その姿をカメラに収めた後、河鹿の鳴く川に向かって
              放してやった。……)

       河鹿と蛍、さらに「かじか荘」の方たちの、心やさしいもてなしに感謝する旅であった。 
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