家裏の木陰に、5本の曼殊沙華が咲いて、10月が始まった。
例年なら、白っぽくなって萎れる時期なのに、今年は今、咲き満ちようとしている。
ゆっくり眺めると、微妙な変化が面白い。
初めは小さく開き、形を徐々に整える。小振りから大振りへと。
曼殊沙華は、華やいでいるが、寂しい花だ。
自ら、夏の衰退を告げる花だと知っている。
いよいよ11月にかけて、一番好きな季節だ。
凋落の魅力。滅びの寂しさがあればこそ、好きな秋。
この先、幾度迎えられるのだろう?
と、考えても仕方ないことを、繰りかえし思案している…。
自らを鼓舞するために、深く深く呼吸をしながら。