亡国の坂道

日蓮大聖人の云く、「仏法漸く転動しければ世間も又濁乱せり、仏法は体の如し、世間は影の如し、体曲がれば影斜めなり」と。

国際社会から舐められない方法とは

2015年08月22日 14時59分18秒 | 亡国の坂道 
今、端的に国家としての防衛政策を論ずるならば、難しい論理は何も必要ないのであります。

それは卑近な例を挙げるまでもなく、子供の世界も大人の世界も、あるいは亦、国家間の問題も理屈は同じなのです。例えば、小中学校でいじめの対象になる学童は、必ず「弱い者」が格好の標的になるように、それは大人の世界でも、冷厳な国際社会でもまったく同じ理屈なのであります。

早い話、例えば相手が喧嘩に強いガキ大将だとか、空手の有段者だとか、プロレスラーだとしたら、仮に、少々憎たらしい相手だとしても飛び掛かって行って、喧嘩を売る者は絶対に居ない理屈であます。そんな強い者に下手に喧嘩を売ろうものなら、逆に殴り返された揚句、喧嘩を仕掛けた者は酷い目に会って、ボコボコにされて痛い思いをするのは、目に見えているからであります。

それと同じように、国際社会においても相手が強力な軍事力を保持しているとなれば、如何なる国と雖も、脅しや、生意気にちょっかいを掛けて来る国は何処にも存在しなくなるのであります。

まさしく今日の日本国は、自虐史観の蔓延と平和ボケの余り、軍事力を持つ事が「悪」だと決め付けて、「戦争は嫌だ、戦争は二度とすべきではない」などと、左翼や革新政党を名乗る者が大騒ぎをしていますが、こうした愚かな贖罪意識が、逆に反日、侮日に拍車をかけ、いつまでも不必要な謝罪を強いられた揚句、大金を毟り取られているのであります。そうした悪弊が厭戦気分を醸成し、北朝鮮や中国から何百発ものミサイルを向けられ、無気力な国家に成り下がってしまったのであります。

謂わばこのところの日本人は悉く自信を無くして負い目に立たされていますが、是れこそが軍事力を持たないが故の悲劇であり、アメリカに日本国の安全を委ねた、おんぶにだっこの外交的敗北であります。

今日の日本国が隣国の中国や韓国からいつまで経っても、歴史認識や、彼らがいう日本政府が直接関与したとする慰安婦問題等で執拗に因縁を付けられている現状を脱するには、強力な軍事力を持つ以外には、有効な手段は絶対に存在しない事を認識すべきであります。

仮に、日本国が強力な軍事力を持つに至った場合、慰安婦問題や歴史認識などは手品のごとく雲散霧消するだろうし、あるいは亦、北朝鮮との間の拉致問題を何処までも引きずることはなくなるのであります。彼らは、忽ち手のひらを返したように、おべんちゃらを使って擦り寄って来る事を知るべきであります。

ここで拉致問題について一言言わせて貰うならば、何故に日本政府は、「調査・調査」と言って、念仏のような呪文を繰り返しているのでしょうか、不思議であります。日本人拉致事件そのものは、北朝鮮の個人や民間団体が密かに犯した犯行ではなく、独裁国家の首領様であった金正日の直接の命令に依る国家的許しがたい犯罪であります。であるならば、北朝鮮政府は、日本人拉致被害者全員を、くまなく百パーセント把握しているのは当然でありますから、今更、改めて調査もヘチマあったものではないのであります。

考えなくても解るとおり、日本人拉致事件は北朝鮮政府が直接手を下し、日本人拉致被害者を強引に連れ去って行って、北朝鮮の羅津(ラジン)港や清津(チョンジン)港で籠の鳥を解き放つように、拉致被害者の縄を解いて野放しにしたのではありません。すべからく、夫々目的を以って厳重な監視の下におき、一人ひとりを彼らの目的に向かって、入念な思想教育を施した上で、夫々に任務を与えて管理しているのでありますから、いまさら調査なんて可笑しな話であります。

そういう事からすると、日本政府も然ることながら、拉致家族会の面々も真剣さが足りないのであります。おそらく北朝鮮政府から見るならば、吹き出したくなるような、日本政府のとろい寝ぼけた交渉力を満面の笑みを噛み殺して、せせら笑っているのではないでしょうか!

それは兎も角、日本国が軍事力を強化するには、同時に、国連憲章で定めた「旧敵国条項」なる理不尽極まる可笑しげな規定を、何よりも先んじて解除させる努力が必要であります。そうしなければ、軍事力を持つことも絵に描いた餅に終わるのであります。

因みに国連憲章で定めた「旧敵国条項」とは、第二次世界大戦中に連合国の敵国であった、枢軸国の(日・独・伊)を対象に、安全保障面で特別の過渡的規定を織り込んだ国連憲章第53条及び第107条等であります。

第53条は、第二次世界大戦中に「連合国の敵国」だった日・独・伊等の国が、戦争により確定した事項に反したり、侵略政策を再現する行動等を起こしたりした場合、国際連合加盟国や地域安全保障機構は安保理の許可がなくとも、日・独・伊の当該国に対して、軍事的制裁を課すこと(制裁戦争)が容認され、この行為は国連も制止できないとしている「安保理で定めた例外規定」の事であります。

つまり、旧連合国が枢軸国(日・独・伊)に対して軍事行動を起こす場合、本来ならば安保理の許可が必要とされますが、旧敵国(日・独・伊)に対しては、その手続きは、一切不要とされるもので、連合国に取っては極めて強力な都合の良い一方的な規定であります。

次に第107条によれば、第二次大戦の結果として取る行動である限り、連合国は、何等拘束される事なく、旧敵国に対する軍事的行動が任意で取れることを定めています。

要するに、旧敵国の行動に対して責任を負う連合国が戦争後の過渡的期間の間に行った各措置(休戦・降伏・占領などの戦後措置)は、国連憲章によって永久に無効化されないという規定であります。

ここに沖縄の普天間・辺野古の根本的問題がひそんでいるのであります。いま、翁長知事が口角泡を飛ばして、「造らせない」等と叫んでいますが、アメリカが本気で一言、ノーと言えば、反対は掛け声だけで終わることとなり、それで難なくお終いとなるのであります。

しかも、この国連憲章で定めた旧敵国条項なるものは、旧敵国が敵国でなくなる条件については一切言及しておらず、その措置についてもなんら制限を定義していません。このため「旧敵国を永久に無法者と宣言する効果」があるとされるもので、旧敵国との紛争については、平和的に解決する義務すら負わされていない、とんでもい戦勝国側の一方的都合の良い規定なのであります。

さて話は変わり、今日の国連を運営するには分担金と称する拠出金がありますが、すなわち国連の運営維持に関する大切な資金でありますが、戦勝五大国といわれるアメリカ・イギリス・フランス・中国・ロシアの核保有国を尻目に、敗戦国の日本は、アメリカに次いで、世界で二番目に多い、分担金の拠出を負わされているのであります。そんな不条理な取り決めをそのまま黙って許すことが出来ますか! それで何か事があったら、「旧敵国条項」を盾にとんでもない理不尽な制裁を、一方的に受ける事になるのであります。

その上この五大国は夫々が常任理事国として「拒否権」なるものまで持っていて、自国に都合の悪い取り決めは、悉く、この拒否権を行使して、すべての議案を廃案に追い込むことが出来るのでありますから、常任理事国に取って、こんな美味しい話はないのであります。そこで拒否権を持たない国々が集まって「民主主義だ、多数決だ」等と騒いでも、一向に埒のあかない仕組みになっているのであります。

そのような中でも日本国は、国連憲章で定めた「旧敵国条項」の削除を実現させる事は長年の悲願であるため、事あるごとに「旧敵国条項」の削除を強く主張しつづけてきた結果、1995年の国連総会(憲章特別員会)の場で、削除の決議を勝ち取ったものの、実際にそれを実効ならしめるには、さらに、国連憲章の改正をしなければならない手続きが残されているため、未だに実現を見ていないのであります。

漸くここまでこぎ着けた段階で、仮に肝心要の国連憲章の改正に反対する国々があるとしたなら、我が国が拠出している国連分担金の支払いを、さまざまな理由を付けて延滞するとか、あるいは大幅な減額を要求する等、分担金の支払いに、非協力的な態度を表明すれば良いのであります。

それと併せて、日本国が軍事力を強化することに反対を表明する国があるならば、日本を取り巻く隣国の中国をはじめ、北朝鮮やロシアの核による脅威を訴え、二度と再び広島・長崎の核の洗礼に晒されたくない悲劇を主張し、彼らと同等の軍事力を保持する努力をすれば良いのであります。それをもう少し解り易く説明するなら、日本も核武装すれば良いのであって、そうすれば、いずれの国からも絶対に攻められる事のない、最も安全な国になると言うことであります。

今や核兵器は、相手を攻撃するための兵器ではなく、自国の安全を守る唯一の防御兵器であることを認識すべきであります。

それでもこうした簡単な論理が理解できない方々のために、北朝鮮とイラクの二つの国家の体たらくを比較して見れば、それ以上の説明は全く不要となると思われるのであります。

先ず北朝鮮でありますが、仮に、国民の全員がズボンを穿く事ができなくても、先軍政治を何よりも優先することによって、遂に核を保有することに成功しました。それ故に、さすがの世界の警察官を任じていたアメリカも、国連も国際社会も何等の手出しをする事が出来なくなってしまいました。そればかりか、世界で196ヵ国中、170ヵ国以上が北朝鮮と国交を結んで、堂々と世界にその存在を誇示しています。

もう一方のイラクですが、2003年3月、サダム・フセイン政権は、アメリカから大量破壊兵器を保有している等と因縁をつけられた揚句、国連による大量破壊兵器の査察に非協力だという理由で、国連安保理の明確な決議のないまま、アメリカはイギリスと連携して、バグダッドの空爆に踏み切りました。その後、アメリカは圧倒的な軍事力によって、イラク全土を制圧した上に、イラクの行政制度を根本から破壊した後、最終的にサダム・フセインを絞首刑に処していますが、結局イラクには大量破壊兵器(核兵器)は、何処にも存在しなかったのであります。是れ、核兵器を持たないが故の悲劇であります。

アメリカとイギリスは、イラクは大量破壊兵器など、何処にも保有していないことを、最初から百も承知していたのであります。

それでは何故に、アメリカはイラク攻撃に踏み切ったのかという疑問が残りますが、当時イラクは、サウジアラビヤに次ぐ第二の石油輸出大国といわれていました。反米主義のサダム・フセインは、長年、石油代金の決済通貨は米ドルが用いられて来た慣例を打ち破って、ユーロ立てにしようと言い出した事への報復として、イラクは米英から攻撃の対象にされたと言われていますが、すべては、有無を言わせぬ核を保有する大国の横暴であります。

その後イラクは、アメリカの圧倒的な軍事力によって、何もかも木端微塵に破壊された後、イスラム教間のスンニ派とシーア派のあいだで宗派対立が激化することとなり、収拾のつかないまま、遂に今日の過激化組織として最も恐れられている、「イスラム国」の台頭を生み出すに至ったのでありますが、これは一体誰の責任なのでしょうか!