た・たむ!

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休日の過ごし方

2016年10月01日 | essay

   久しぶりの休日(それもたった一人の)をどう過ごすか、という判断は案外難しい。久しぶりだけに休日の過ごし方を忘れているし、久しぶりだけに期待外れになることを恐れ、それゆえあまり期待を込めて予定を立てづらい。後者は私特有のものかもしれない。

  それで今回の休日も、無計画のまま当日を迎えた。天気が悪くないのでとりあえず車を飛ばす。

  ハンドルを握っているうちに、そうだ、紅葉を見よう、と思い立って白駒池を目指す。中途で陶芸体験のできるカフェを通りかかり、そういえば何年も前に、家族でやったなあと回顧し、せっかくだから一人でもやってみようかと立ち寄る。

  玄関に置く観賞用の陶器が欲しかったので、誠に分不相応であるが、芸術作品を作りたいと申し出たら、指導員の女の人に笑われた。しかし丁寧にアドバイスしてくれた。

  ひんやりした土をこねる。芸術作品だから、ろくろではなく手びねりである。なんとなく船のような三日月のような形を夢想する。まるで脈拍を測るように親指で押さえながら土の塊を移動させ、延ばし、形を整える。三十分やったところで、指導員の人に「どうですか」と聞かれたので、「全く先が見えません」と答えたら、慌ててアドバイスを追加してくれた。

  それでも一時間近くこねているうちに、なんとか船のような三日月のような形になった。お昼の時間だが、集中しているから腹も空かない。いつまでも土に触れていたい気持ちである。どうしてこんなに楽しいのかと不思議に思うが、壁に貼られた縄文土器のポスター(茅野市にある、国宝二体だ)を眺めてつらつら考えるに、縄文時代から土をこねまわしていた祖先のDNAが脈々と受け継がれているのではなかろうか。

  指導員の人も、いいじゃないですかと褒めてくれた。彼女も昼休みがあるのだろう。色を指定して会計を済ませ、割引券が出たので喫茶室でコーヒーを飲み、そこを出る。

  手びねりでずいぶん時間を食ったが、結局白駒池にも立ち寄った。天候不順が続いたせいか色づきは今一つであった。茅野市に下りて、考古館の国宝二体に挨拶する。去年も一度見に来ている。

  無計画もなかなかに忙しい。 

 

 

 

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