歌主流のミュージカルが今の傾向ですが、
アステアの映画をみると踊りを見せるための作品になっています。
そちらのほうが好きです。
正直なところ、芝居をしていて、いきなり歌いだすのは違和感があります。
でもアステアの映画はストーリーが単純なものが多いのです。
アステアの特集で3本立てをみたらすべて同じような話でどれがどれだかわからなくなりました。
ストーリーも面白くてダンスをしっかりみせるというと、
自分の知る限りでは
「ヤンキー・ドゥードル・ダンディ」
が最高です。
マイケル・カーティス監督で、主演はジェームズ・キャグニーです。
キャグニーのダンスは前にも書きましたが、タップがカッコいい。
エレガントよりシャープ。
単独でのタップが多いですがそれ以外は
アステアのように女性と2人で踊るタイプではなく、女性をバックダンサーにして踊ったりします。
キャグニーは容姿もダンスも本当にカッコいい。
これは伝記ものなのですが、堅苦しさがまったくなく楽しい作品です。
とくに深いテーマはなくて、面白かったなあ、と満足して映画館を出てくることができる。
そういう映画です。
二回見て、二回目は人と一緒でしたが、感謝されました。
素敵な映画だったと。
キャグニーのタップだけでも見る価値があるのですが、ストーリーも面白くて楽しいのです。
主人公はダンサーですが作曲の才能もあって、ミュージカルの曲を自作します。
可愛い歌手と知り合って恋人になります。
恋人のために曲をつくるのですが、ちょっとわがままなスター歌手がその曲を気に入って自分が歌うといいます。
スターですから逆らえず、彼女に提供します。
そのことに大らかに納得してくれた恋人と結婚します。
2人でその曲の初披露の舞台を観るのですが
主人公が申し訳なさそうに「君に歌ってほしかった」というと、
奥さんは「彼女は歌を手に入れて、私は歌の作者を手に入れたのよ」とにっこりします。
カーティスは「カサブランカ」「ホワイト・クリスマス」の監督です。
どちらもテレビでみたのですが上手くて面白い映画です。
この監督はあまり深く考えないで、でも面白かったね、と満足できる映画が得意のようです。