ヘルンの趣味日記

好きなもののことを書いていきます。

ヤンキー・ドゥードル・ダンディ

2018年03月30日 | 映画



歌主流のミュージカルが今の傾向ですが、
アステアの映画をみると踊りを見せるための作品になっています。
そちらのほうが好きです。
正直なところ、芝居をしていて、いきなり歌いだすのは違和感があります。
でもアステアの映画はストーリーが単純なものが多いのです。
アステアの特集で3本立てをみたらすべて同じような話でどれがどれだかわからなくなりました。

ストーリーも面白くてダンスをしっかりみせるというと、
自分の知る限りでは
「ヤンキー・ドゥードル・ダンディ」
が最高です。

マイケル・カーティス監督で、主演はジェームズ・キャグニーです。

キャグニーのダンスは前にも書きましたが、タップがカッコいい。
エレガントよりシャープ。
単独でのタップが多いですがそれ以外は
アステアのように女性と2人で踊るタイプではなく、女性をバックダンサーにして踊ったりします。
キャグニーは容姿もダンスも本当にカッコいい。

これは伝記ものなのですが、堅苦しさがまったくなく楽しい作品です。
とくに深いテーマはなくて、面白かったなあ、と満足して映画館を出てくることができる。
そういう映画です。
二回見て、二回目は人と一緒でしたが、感謝されました。
素敵な映画だったと。

キャグニーのタップだけでも見る価値があるのですが、ストーリーも面白くて楽しいのです。

主人公はダンサーですが作曲の才能もあって、ミュージカルの曲を自作します。
可愛い歌手と知り合って恋人になります。
恋人のために曲をつくるのですが、ちょっとわがままなスター歌手がその曲を気に入って自分が歌うといいます。
スターですから逆らえず、彼女に提供します。
そのことに大らかに納得してくれた恋人と結婚します。
2人でその曲の初披露の舞台を観るのですが
主人公が申し訳なさそうに「君に歌ってほしかった」というと、
奥さんは「彼女は歌を手に入れて、私は歌の作者を手に入れたのよ」とにっこりします。

カーティスは「カサブランカ」「ホワイト・クリスマス」の監督です。
どちらもテレビでみたのですが上手くて面白い映画です。

この監督はあまり深く考えないで、でも面白かったね、と満足できる映画が得意のようです。

恐怖の質

2018年03月28日 | 日記


関西旅行で手塚治虫記念館に行きました。
アニメコーナーではパソコンを操作して好きなアニメをみることができました。
混雑時には長時間使用できないのですが、そのときはガラガラでしたのでじっくりみることができました。
前にも書いた「どろろ」です。

白黒のアニメですがかなり怖いものでした。
こんなものをよく放映したなと。前にも書きましたが。
化け物がでてくるまでの演出に、こちらもどきどきしました。

ただ、よく考えるとそれほど怖い化け物でもない。
化け物の設定、シチュエーションの怖さならもっと怖いものは今のマンガやアニメには山ほどあります。
スペック的には今の恐怖物はどろろの数倍以上怖いのです。

それでもそれらを面白いと思っても怖いとはあまり思わないのです。
どうしてだろうと考えると、描き方かなと思います。

今の恐怖物は本気で怖いという気持ちでは描写していないみたいです。
どれほど怖い設定にしても珍しい品物を展示するような感覚です。
この怖い設定はクールでしょう?というみたいに。

どろろのようなアニメは本当の怖さを制作者も感じているようです。

監督はアニメ「銀河鉄道の夜」の監督だというのも驚きました。
杉井ギサブロー監督です。

銀河鉄道でもジョバンニの悲しみが本当に伝わってきました。
この人の作品とはとても相性がいいのかもしれません。




レモン・トロツキー

2018年03月23日 | SF



SF作家の野阿梓の小説で短編、中編などのシリーズものになっています。
レモン・トロツキーという革命家を主人公にしたシリーズで「眼狩都市」という短編が最初の作品です。
SFとしてはちょっと微妙で政治パロディかな。

このシリーズが面白くて好きです。
いくつものパロディがあって、最初気が付かなかったけれど、これもそうか、という発見があります。
アリスやマザー・グース、ロシア革命、日本の政治史など、色々です。
名前は出ませんが、ランボーのことがちらっとでてきます。
まだ気が付かないものもありそうです。

テーマというのはとくにないかもしれません。
色々の仕掛けを楽しむような感じです。
主人公のトロツキーにあまり好感がもてないのですが、彼が巻き込まれる冒険が面白くて読んでしまいます。
悪夢のような都市に迷い込んで崩壊をみとどけるとか、迷路を攻略したり、革命とはほとんど関係なさそうなファンタジーでした。

続きが読みたいと思うのですが作者が寡作の人なので無理かもしれません。

黒後家蜘蛛の会

2018年03月19日 | 日記


アシモフはミステリをたくさん書いています。
クリスティのミステリを気に入っていて作風を真似しようとしたそうです。

この短編シリーズは黒後家蜘蛛の会という男性だけの集まりで、その中で謎が提示されて会員があれこれと意見をいう。
最後にホームズ役の給仕ヘンリーが解決するというものです。
現場に行ったりすることなく、レストランでの集まりの決まった時間と場所のなかで終わります。
安楽椅子探偵物なのですがちょっと変わっています。
というのは、ホームズ役のヘンリーは優れた頭脳なのですが、彼一人では謎をとけません。
メンバーがあれこれと意見をいって、その過程でヘンリーが正解を導きます。

このなかで話される雑学が面白い。
科学、文学、宗教まで幅広く披露されます。

うるう年の例外、さらにその例外。
オペレッタの話。
天文の話。
アシモフは多ジャンルの知識をもっているのでこのシリーズのおかげで物知りになりました。


その中で好きなのは

妹をもてあそばれた兄が犯人を知りたいといってやってきて、名前をメンバーが推測する話です。

軽い障害のある妹を大切に見守っていたのに、ある日知らない男が妹を連れ出してもてあそんだことに彼は激怒します。
でも、妹は彼の名前も連れ出された別荘もわからない。
そこでいくつかの手掛かりをもって会にやってきます。

メンバーの主張はそれぞれ違っていて
諦めてこれから気を付けたらいいのでは、という人。
酷い男だ、許せない。という人。
考え方はそれぞれなのですが、全員、謎を解くことに真剣になります。

被害者の女性の名前がスーザンであったこと。
彼女の名と別荘名に類似性があったということ。
ここからヘンリーが正解を出します。

メンバーの一人は「ヘンリー、君はすごいな」と驚きます。
メンバーが話していることを聞いていて、その中から誰も気が付かない真実を見つけたからです。

要するに、ヘンリーは探偵というより、与えられた様々な情報から事実を導く能力が高い人なのです。
優秀な人口知能のような存在です。
彼自身のプライバシーなどはあまり語られないこともあってアシモフ得意のロボットのイメージです。

彼のロボットは良心的なものが多いのですが、ヘンリーもそうです。
兄に忠告します。
犯人をみつけたら直接殴ったりするより、奥さんに会って正直に事の次第を話したらどうかと。
殴られるよりよほど痛い目にあうだろうし、あなたも罪に問われないから。

この提案に兄は納得します。
メンバーがずいぶんむごいことをそそのかしたね、というと
「酷いことをしたのは相手の男のほうでございます」とヘンリーはいいます。
ヘンリーの知性と高い倫理観がよくわかる作品でした。

ちょっと人間離れして、やはりロボットみたいだと思いました。





カフェと怠惰

2018年03月02日 | 旅行


カフェとか洒落た場所が元町、三宮など神戸の中心部には密集しています。

一度、ちょっとストレス解消にふだんしないようなことをしてみたくなりました。
一度の神戸旅行で何回カフェにいけるか挑戦したことがあります。

6軒行きましたが
やっぱりお茶と珈琲をのむのも限度があります。

さすがに昼ポットで紅茶をのんで夜もう一度紅茶専門店にいったときは自分でもバカバカしくなりました。
それでも昼はミルクティーだったから、今度はストレートにすればいいということで。

最初に入ったカフェでは紅茶にマドレーヌがついてきました。
とても美味しくて、神戸はほんとに焼き菓子に外れないと思いました。
スコーンも東京で食べるよりも安くて美味しい。
珈琲も美味しいしのんびりできるし。
カフェを回り、観光はちょっとだけ。

東京に帰るころには。しばらくお茶も珈琲もいらない状況でした。

6軒のカフェで上げ膳据え膳のサービスをうけて、労働しなかったらすっかり怠け者になりました。
どれも高いカフェではないのですが、さすがに6回カフェというのは分不相応でした。

その結果、仕事に復帰が結構大変で、労働って何だっけという感じになって反省しました。


やっぱり旅行は少し頑張って観光するくらいがいいかもしれません。