ヘルンの趣味日記

好きなもののことを書いていきます。

神保町散歩

2017年04月28日 | 日記

神保町を歩くことが増えました。

面白くてあきません。
店をみて歩くと時間は関係なくなります。

本好きの人にとっては古書めぐりでしょうが、私はそれほどではないので喫茶店、レストラン、画材店とかを見るのが好きです。

ロシアとか中国とかの本屋があるのも面白くて好きです。

喫茶店ですが。
神戸はカフェ、神保町は喫茶店と呼ぶのが好きです。
なんとなくそんな雰囲気です。

神戸では、個人的にカフェをやりたい人が小規模に開くことができます。

神保町は老舗の喫茶店が多いです。あとはチェーン店とかプロの店。

前に有名な老舗喫茶店に入って買ったばかりの本を読もうとしたのですが、暗くてよみにくかったのでその後は行っていません。

マクドナルドのほうが本を読むのは向いています。気に入っていたマック店が閉鎖されてしまいましたが、まだいくつか残っています。

スポーツ用品店も小川町にかけてあります。


アテネ・フランセの映画上映会に行ったときにもこのあたりを歩いてみました。


こんな店がこんな所にある、という発見が歩くたびにあります。
それが神保町を歩く一番の魅力です。


たしか神保町を舞台にした中国の監督の映画があったはずですが、みてみたいです。


いろいろ店は変わりますが、雰囲気はかわらないようです。

東京で一番素敵な場所だと思います。


ボウイのヒーローズ

2017年04月26日 | 日記


ちょっと記事を書く気がおきず、更新が滞りました。
忙しいというほどではなかったんですが。


前に書いたボウイのヒーローズですが、あの歌が頭のなかでループしています。

「壁の横に立って、キスをしたことを忘れない」

この歌詞がとくに好きです(適当に訳しました)。
ずっと脳内で聞いています。

これは、ベルリンに壁が存在したころの歌で、ドイツをわけていた壁の横でデートしていたカップルから思いついたそうです。

ボウイのボーカルの「スタンディング、バイザウォール!」でコーラスが「バイザウォール」と追いかけて入るところ。
「アイ、アイキャンリメンバー」に「アイリメンバー」のコ ーラス。

とても好きです。

彼は歌詞を空中に撒き散らすような感じで歌います。

他の曲は観客に向けたり、陶酔して自分に入り込んだりしますが、この曲は外の世界に向けているような感じです。

ベルリンの当時の状況とか、そんなものが関係していたのかもしれません。


大学の先生が話していましたが、分断されていたころの西ベルリンは、とても外国人が住みやすかったそうです。
異郷ということを感じない、と。
どんな都市だったのかな。

今は統一されているので違うでしょう。


今は存在しない街。
ディックのSFのようです。

デヴィッド・ボウイ

2017年04月18日 | 日記


昨年亡くなりましたが
映画「地球に落ちて来た男」で異星人の役の主演俳優でした。
俳優もやりましたが、もちろんロック歌手としてのほうが有名です。

あまり音楽に詳しくないのですが、グラム・ロックというジャンルを開拓した人だそうです。派手な衣装とメイクで、コンテンポラリー・ダンスの影響も受けたらしいです。

映画などで興味がわいてアルバムもきいてみました。

「ヒーローズ」という曲が素敵でした。

アルトゥール・ランボーという詩人ですが、
名前はきいたことがある、映画にもなったらしい、という程度でした。
純文学も詩も苦手なので、何かきっかけがなければ読みません。
海外SFで元ネタにされたり、あと、日本のSF作家がランボーの生涯についてその作品の中で触れていたりしたので、どんな詩なのかなあ、と図書館で借りて読んでみました。

正直なところ、よくわかりませんでした。なんとなく面白いとは思いました。

その中に、デヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」の歌詞と同じ文があって「ランボーから引用したのか」と思いました。
ヨーロッパの歌手は教養があるんだなあ、なんて感心しました。

ランボーも難解ですが、ボウイの歌詞もよくわからないものが多いです。でもやっぱり面白いですが。

彼の曲のなかでほかに好きなのは「スペイス・オディティ」という曲です。
感傷的で、素直で綺麗なメロディが気に入りました。
何を使っているのか、面白い音色でした。ほかの曲にある退廃的な雰囲気がない、彼の中の異色の曲に思えます。

異星人をモチーフにした曲が多くて、自分も異星人のイメージにしたらしいです。
スターマンという曲があります。これはそれほど面白くない。

出演した映画をいくつかみましたが、やっぱり「地球に落ちて来た男」がすばらしいです。
監督と彼のもつ個性が上手く調和して、傑作になりました。
なにもしなくても異星人の雰囲気があります。

それと、「汚れた血」というフランス映画のなかのモダン・ラヴという曲が素敵で、彼は出演していないのに、なんとなく彼のイメージです。映画音楽ではありません

キャット・ピープルというホラー映画の曲も作っています。

声は美声ではなく 、ちょっとしわがれた感じの声で、彼が歌うと、歌より演説のようにきこえます。それが成功したのがヒーローズだと思います。



聞いた話ですが、インタビューで、オリエンタリズムという概念に言及したそうです。
オリエンタリズムは一種の幻想だといったそうです。

なんとなくわかるような・・・やっぱりそうでしょう。
時代にかかわらず、東も西も本質ではとくに違いはないと思います。
本質がそれほど変わらなくても、発現のしかたが違ってきてその時々で、まったく相容れないように思えたのかもしれません。
西洋のほうからそうした発言がでることは結構珍しい。

異星人を演じましたが、視点も平凡ではなかったのかもしれません。
発想がかなり変わった人 です。
いい意味で、変人だったと思います。

ハーラン・エリスン「世界の中心で愛を叫んだけもの」

2017年04月14日 | SF


何か間違っているかも、と思いますが感想を書いてみたいと思います。
(買った文庫本がみつからなくて読み返していないので)
ブログを書いている人間は適当なので、適当に読んでください。

ハーラン・エリスンの有名なSFです。

読んでも最初はよくわかりませんでした。ニューウェイブ系は難しいです。
ある程度理解して読み返すと、これはとても面白いなと思ったのですが、同時に、あれ?これ、コードウェイナー・スミスの作品が下敷きではないかな? 
と思いました。

コードウェイナー・スミスの「クラウンタウンの死婦人」。
ハヤカワからでているスミスの短編集の「シェイヨルという名の星」に収録されている中編です。
動物の属性をもつ、下級の民と人間の関係を描いた話です。

エリスンはこれを美しく磨き上げて難解にした感じです。

エリスンの「世界・・」は黙示録からの影響が言われていますが、それはおそらくテーマでなくディテイルの部分だと思います。竜とか。
黙示録には殉教思想というのはとくに見当たらなかった気がします。
スミスのクラウンタウンはジャンヌ・ダルクの殉教をモチーフにした物語で、そのテーマがエリスンにも引き継がれています。
パクったわけではなく、オマージュ、あるいはスミスが何かをモチーフにしたように自分もやってみたのかも。エリスンはスミスを尊敬していたそうですから。
さらにタイトルの「愛を叫んだけもの」。
クラウンタウンのクライマックスで、けものたちが、「愛している!」と叫ぶので、ほぼネタ元バレバレ、わかってください。ではないかと思います。

数あるスミスの小説の中でもクラウンタウンは好きな作品の一つです。

虐殺の場で殺される側が自分を殺すものにたいして「愛している、愛している!」と叫ぶのですが、エリスンにも同じようなシーンがあります。
このスミスの狂気はほんとにすごみがあって、何度も読み返す場面です。
エリスンはあらゆる存在というか、世界への愛情を告白して、自分の信念を演説します。

どちらも、自分と関わりのない存在への愛情、世界全体への愛情を示すために死んで(あるいは破滅)いきます。キリスト教のようなテーマでしょうか。

二作品はほぼ同じテーマですが、対比がとても面白いな、と感じました。

趣味の作家と職業作家の違いがわかるようだからです。

スミスは本業は学者で小説は趣味。
エリスンは筋金入りの職業作家です。

その違いがよく表れて面白いのです。

アイディアはスミスが優れています。
ジャンヌ・ダルクの殉教から発想を得て、すばらしい小説を書いています。
このプロットならもっと長く書いてもいいし、プロなら普通はこれで2、3作書くでしょう。

たくさんのネタをたったひとつの中編にしてしまいました。
小説で生活しているわけではないから、惜しげもなくアイディアを使えるのでしょう。

では、職業作家のエリスンの長所は。

スタイリッシュなことかなーと思います。大変洗練されています。
テーマは同じでも、展開も結末も文章も隙がありません。要素を絞って、それを時間をかけて練りに練った小説だろうと思います。

「クロスホエン」という言葉ひとつにかなり色々盛っています。

とにかくかっこいい。そしてラストのあたりは、詩情があります。一枚の絵のように美しくまとまっています。映像が浮かぶようなのです。この手腕はやっぱりすごいのです。

私はクラウンタウンのほうが好きだけど、やっぱりエリスンのこの作品も素敵だなあと思います。
スミスが荒っぽくて、洗練されていないけれど独特で幻想的な個性のある作風であるのに比べて、エリスンは隙がなく、難解で、細部まで磨き上げられて美しく、感傷的かもしれませんがとにかく美しいです。文章をかく専門家だというのがわかる感じです。
そのかわり、スミスの狂気のようなインパクトはあまりないようです。
ソフィストケイションとかスタイリッシュという言葉が似合うのです。
ここが魅力的です。
画家が時間をかけて計算しつくして緻密に描いた絵のようです。考え抜いて書いた作品です。
スミスは、書きたいことを書いた印象です。もちろん、仕掛けも技巧もあって、上手いと思います。でもどうして、もう少し要素を絞らなかったんだろう、とか思います。

それでも作者の書きたいという気持ちとテーマがダイレクトに強く読者に伝わります。

語り口も少し似ています。スミスもエリスンもおとぎ話を語るような感じです。
スミスは楽しんでいるような感じです。エリスンを読むと、どれくらい考え抜いた展開と言葉かみてみろ、というような職業作家としての意地というか、気迫があります。

エリスンが自分のことをSF作家ではなく、ファンタジストといっているそうですがスミスの小説もSFというよりモダンなおとぎ話といわれます。
エリスンはそのへんも影響されているのかもしれません。
スミスがほんとうに好きなんだろうと思います。


スミスは大好きな作家なので、また後でいろいろ書いてみたいと思います。

ミステリ・マガジン

2017年04月10日 | 日記


長編小説は苦手です。
ですから短編、中編以外の小説はあまり読みません。

では何を読むか。
アンソロジーも一つの選択です。
もう一つはハヤカワのミステリ・マガジンでした。

これは短編、中編ばかりのっているので。
時間もかからないし、珍しい翻訳小説がのっていて、色々発見がありました。
ずいぶん昔の作品なのに、翻訳されていなかったり、翻訳収録の本が絶版になったりしてあまり目にすることがないような作品がありました。

この雑誌のもう一つの愉しみはイラスト。
面白いイラストがたくさんあって、この作家はこのイラストレーター、みたいな担当があって、だいたい傾向がきまっていました。
幻想色の強い作家はこの人、という感じで。
好きな作家担当のイラストレーターが別の作家にイラストを描いていると
この作品も読もう、と思ったりしました。
読書のバロメーターだったのです。

そのうち、SFマガジンも気になってきました。
というのは、ミステリ・マガジンにSFがのることが時々あったからです。
ファンタジーは境界が曖昧なので、どちらにものりました。
もともとSFは好きなので、ときどきSFマガジンも読みました。
翻訳小説はミステリの方が好きでしたが、国内作家はSFマガジンのほうが面白いと思いました。

この雑誌のおかげでドイツ・ロマン派文学や幻想文学がとても好きになりました。
ドイツ・ロマン派も映画も演劇もミステリ・マガジンのおかげで知識が増えました。


ここ数年、どちらのマガジンも読んでいません。
編集者に紹介してもらうより、自分で好きなものを探すようになったからかもしれません。