ヘルンの趣味日記

好きなもののことを書いていきます。

ミカドの肖像

2016年10月13日 | 日記

この本を偶然手に取って読んで面白さにびっくりしました。

有名なノンフィクションです。

作者がその後、都知事になったりして色々あったのですがこの本のよさは素直に評価していいと思うんです。

この人のほかの本はあまり読んでませんが、ちらっとみてもそこまでではないような。

ほんとうに生涯の一作という感じです。


タイトルにあるように、明治天皇の肖像画をめぐる話もあることはありますが、むしろほかの話で構成されています。

天皇制、三島由紀夫、西武グループ創始者の生涯、オペレッタ「ミカド」、ロックグループ「ミカド」、映画「炎のランナー」、「戦場のメリークリスマス」など。


色々なことを絡めて素晴らしい出来栄えでした。

天皇制については、近代以前の歴史については触れていなかったようです(たぶん)。
大胆に歴史的側面を省略して、これが面白さのひとつかもしれません。

炎のランナーは以前も書きましたが、大好きな映画です。
スコットランドの悲劇とか、映画の中の日本とか、この本を読んで見直すと、新しく発見することもありました。

三島については、辛口だなあと思いました。
鹿鳴館のセリフ(鹿鳴館のバカらしさはわかってやっているんだ、今はあえてバカのふりをして、日本人が西洋人をだましているんだ、というところ)に関しては同じ意見です。

やっぱり負け惜しみというか無理があると思いましたから。
今でも私たちは
西洋からの視線を、日本人の視線よりワンランク高く設定しているのではないでしょうか。
そこらへんが、かなり遠慮なく指摘されていました。

ギルバート&サリバンと映画「戦場のメリークリスマス」の話も面白い。

20年以上前の作品ですから、今の状況とは違うところもありますけれど、
いまでも新鮮な部分が多い作品です。

小さなことに着目して考察する姿勢がとってもいいなと思います。

色々な話題があっても雑多な印象にならない、それらがうまく絡み合って、日本人の心象や、社会のシステムへの考察がされています。

優れたノンフィクションならば、フィクション以上に物語の完成度を持てるものなのだ、と思いました。


イデオロギーに曇らされない目というのは、出会うと本当にはっとさせられます。
この本はその一つです。

逆にいえば、
そうした視点が少ないから、新鮮に感じる。

像は、視る人の立場により、変わってきます。
そのことに自覚的であるかどうかが、大切なのではないでしょうか。

「肖像」というタイトルにそうした意志があったのかもしれません。
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