ヘルンの趣味日記

好きなもののことを書いていきます。

裏窓

2017年06月17日 | 映画


ヒッチコックの有名な映画ですが、原作はウィリアム・アイリッシュの短編です。

ヒッチコック映画の上映会で見ました。。

原作と映画ではテイストが違います。

皮肉っぽい乾いたユーモアのアイリッシュの小説。
スターを起用してハリウッドにふさわしい華のある作風のヒッチコックの映画。

ヒッチコックが上手だと思うのは、ストーリーをあまり変えずに、とても華やかな娯楽映画にしたことです。
グレース・ケリーが演じているヒロインは原作に出ませんが、彼女を加えてもあまりストーリーに影響はありません。
あと、さらっと描かれていたアパートの住人をうまく肉付けしたところ。
これは一番好きなところです。
アイリッシ ュの小説は冷ややかな視線を感じるのですが、それがなくなり、アパートの住人もいい人になっています。
脚本がいいです。

小説の乾いた雰囲気が色彩豊かに変わりました。
グレース・ケリーのミュージカルのような華やかさです。
モノクロの原作に色をつけたような印象でした。

でも、どうしても映画が原作に勝てない部分もあります。

私が原作で一番印象的だったのは、犯人からの電話にでたときの主人公の
「私は彼に声の見本を与え続けた。」
という一節です。
(うろ覚えなので文章はちょっと違うとおもいます)

それまで、匿名の目撃者として電話だけで犯人とやりとりしていたのに、犯人から住所を特定されてしまったシーンです。
自分は犯人をみているが、 犯人は自分がどこの誰かも知らないという優位性が崩れる瞬間です。

この文章はアイリッシュならではで、というかサスペンス小説らしい独特の恐怖です。
言い回しで恐怖を盛り上げるという感じです。

ヒッチコックがどんな演出をしても出せない味です。

言葉に映像がかなわないのはこの辺かなと思います。
この作家は文章が凝っていて技巧派といわれるようですが、なぜか映像化が多いです。
幻の女の冒頭の文など、どうしても映像では説明できないのですが、プロットが面白いために映画化したくなるのかもしれません。

裏窓はアイリッシュの映画化ではかなり成功した映画です。
グレース・ケリーのヒロインを加えた。
それと、アイリッシュがさらっと描写したアパート の住人の存在を大きくしたこと。
アイリッシュのファンからみてもこれは上手いと思います。

映画は傑作ですが、原作のラストのセリフ。
ふっと笑ってしまうような洒落た皮肉な感覚です。


映画だけで小説を読んでいない人はちょっともったいないような・・・
あるいは映画が素晴らしかったのに原作はいまひとつと思うか、微妙です。
であった順番によるかもしれません。

私はアイリッシュの独特な雰囲気が好きなので、原作を読まないのはもったいないと思います。
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