ヘルンの趣味日記

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日本の面影

2016年12月13日 | 日記

小泉八雲の「怪談」を子供の頃よんで、日本人によるものだと思っていました。
もちろん、帰化したから日本人ですが。
ラフカディオ・ハーンという外国の人が日本に帰化して書いたものだと知ってびっくりしました。日本語が上手いなあと思いました。翻訳だと知ったのはかなりあとでした。
訳によってちょっとニュアンスが違っていて面白いです。
変わった人だな、彼にとって日本はそんなにいいところだったのかなとも思いました。

「日本の面影」は、NHKで随分前に放映されたテレビドラマで、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の生涯を描いた作品です。

4部にわかれて、長編ドラマになっています。

ニューオリーンズの記者の時代、松江に英語教師として赴任した時代、日本に帰化してからの時代、晩年。
こんな人生だったのか、と初めて知ったことがたくさんありました。

ドラマですので、作ったところもあるでしょうが、意外に事実を踏まえていたようです。

子供に捕まえられて木につるされた子猫をハーンが保護して、飼い猫にする場面がありますが、ドラマでつくったのだろうと思ったら、ちょっと脚色はありましたが、本当にあったことだったそうです。

明治の時代の風景も面白くて
帝大の教職を解任されて、そのことに怒った学生が留任運動をして、大学はあわてて撤回したのにハーンは退職する場面も好きでした。
(実はこの後にやってきたのが、ロンドンでノイローゼ気味になって帰ってきた夏目漱石で、学生の評判が悪くて、なかには法科に転籍した人もいたらしいです)

自分のように古い日本を愛する者はいらないのだ、と嘆くハーンに妻のセツがあんなに学生が惜しんでくれた、というと、一部の者です、日本は変わってしまって私はいらなくなってしまった、といいます。

小さくて印象は弱いけれど、風情のあるもの。
その美しさに目をとめて紹介したハーンの寂しさがあらわれている場面でした。

死を目前にしたラストシーンも情緒がありました。
庭で花を眺めている八雲とセツ。
花が散る庭で、自分はもうじき死ぬというと、セツがそんな話、聞きたくないと泣きます。
でも、それでもつづけて
「私が死んでも泣くことは、いけません。子供たちといつものように過ごしてください。人が聞いたら、あれは先ごろ、亡くなりました、といってください。それでよいのです。」

とても美しい終幕で、テレビドラマはあまり好きではないですが、これは素晴らしいと思いました。

タイトルは著作の「知られざる日本の面影」からとったようです。

ハーンの日本への心情をよく表していると思います。
彼の見た日本は日本そのものでなく、ひとつの様相で、それは面影といってもよいものです。

ある人は洗練された能の世界を美しいと思い
ある人はよりエネルギッシュな歌舞伎に着目し映画に取り入れたし、
ある人は柔道のうまい日本人に感銘をうけて、それで柔道が広まり、五輪種目にまでなりました。
人によって日本の様相は違って見えたでしょう。

ハーンのみた、日本の面影は美しく風情があり、独特の雰囲気のあるものだったのだと思います。

松江には城の近くに「へるんの小径」という場所があって、団子をうっています。
観光の重要な目玉のひとつですので、あちこちにハーンの名前の付いたものがあります。
松江はそれ自体、美しい街ですが、ハーンの面影をあちこちにみることができてそれがさらに街を美しくしているような気がします。

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