ヘルンの趣味日記

好きなもののことを書いていきます。

道化師

2017年02月09日 | 日記


このオペラは学校の授業で映像をみたのですが、それ以来みていません。
どうして覚えているかというと、映画アンタッチャブルに効果的に使われているからです。

この中で非情なマフィアが道化師のクライマックスのアリアで涙を流します。

「リーディ、パリアッチョー」の部分です。
映画のおかげで、印象に残りました。

マフィアは聞きながら道化師の悲しみに涙を流すのに、その陰では警察官を殺していました。

ヒットラーがワーグナーのオペラを全部覚えていたのに残虐行為をしていたことを想起させます。

このアリアは素敵です。なんか事情はわからなくても、泣けるというか。

でもこのオペラの展開はちょっとへんかなあと最初にみたときに思いました。
正常な判断力をなくしたなら、本当の浮気相手より、舞台の相手役の男を殺しませんかね。
ちゃんと正しい判断で本当の浮気男を殺している。

裁判だったら情状酌量はできても、正気ではなかったとか主張しても難しそうです。


クリスティの短編でトスカを扱ったものがあります。
以前感想をかきましたけど 。
白鳥の歌という短編です。
トスカと同時に道化師も取り入れていました。
現実と舞台の混乱。
ただ、小説ではトスカ役がはっきり最初から計画的だったというのが違いますが。
最後に道化師のセリフをヒロインがつぶやいて終わります。


現実と芝居の間でわけがわからなくなるとか、現実を知ったら芝居ができないとか。
小説ではいろいろありますが、実際はどうなのかな。

役者ではないので、想像がつきません。

でも、自分と違う役になって、観客をだます。
前にも書いたことがありますが、それは少し面白いかもしれません。
観客は虚構と知ったうえでみにきています。
マジックのように。
倫理的に問題なく、だましてよい。
ミステリもそうです。

面白さはそこなのかもしれません。
他人を欺くつもりで自分も偽っているうちに、混乱が生じる。
それもあるのかもしれません。