ヘルンの趣味日記

好きなもののことを書いていきます。

陳舜臣

2017年01月12日 | 日記

中国の歴史を題材に作品を書いた作家で神戸出身だそうです。

ミステリの要素があると思ったら、もともとミステリを書いていました。
中国を舞台にしたミステリ短編もあります。
江戸川乱歩賞をとったりしているので、初期はミステリ作家としての側面が強かったみたいです。

三国志をかいています。
「秘本三国志」です。
私は長いものを鑑賞し通す根気がなくて、ワーグナーもだめですし、小説も短編を読むことが多いです。
そのため、三国志はどうも苦手です。
陳舜臣の秘本三国志はかなり面白いのですが、全部はとても読めませんでした。
アニメでもマンガでもだめで、ゲームはやってみていませんが、たぶんだめだと思います。

この人で興味深いのは、台湾系の人だそうですが、日本人の視点になっているようにみえることです。
教育も日本でうけて育っているため、ものごとの見方が日本的だと思います。
中国の歴史について彼が書いたものを読んでそう思いました。


三国志の魏王朝が滅亡したことを、同族で争い、直系しか残さなかったことに求めているような記述がありました(私が読んだ限りなので、勘違いもあるかもしれません)。

これは源氏の滅亡の歴史からの発想ではないかと思います。

魏王朝は、たまたまトップに不運にも短命な人が続いたこと。
それにつけこまれただけのように思います。
同族の争いは、二代目の跡目争いが有名なだけで、それも敗者が生き延びています。

源氏の滅亡は、兄弟すべてを徹底的に潰したことで北条氏の結束に負けたように感じます。
日本で日本史を学んで育った作家には強烈にやきつけられて、史記を読み込んでも、おそらく視点はそこだったのではないかという気がします。

ただ、日本人が源氏の歴史を知っても、義経はかわいそうだけれど政治的には仕方ないという発想にとどまりがちですが、
外からみれば、明らかに頼朝の失策だったとみえるでしょう。
直系の親族が必ずしも優秀とは限らないのだから、
傍系を残さないのは大きなリスクがあります。

ですから、陳舜臣にはむしろ日本の歴史を書いてほ
しかったと思います。
外からの視点で見てほしかったと。


マンガで三国志を描いた横山光輝。
曹操を主人公にした、斬新な秘本三国志を書いた陳舜臣。
二人とも神戸出身だそうです。

横山光輝の鉄人28号の銅像は人気ですが、陳舜臣の記念館は、それほどでもないようで、公開の日が限定されています。
私も行ったことがありません。
地下鉄にはマンガ三国志のキャラクターが目につきます。

もう少し陳舜臣の作品も観光に組み込んでもいいのにと思います。