隨著風遠行

隨著風遠行

山車に姿を見せ

2017-03-13 12:24:03 | 日記

王さまは、眼前に並べられた、あらゆる珍しいものの吟味に忙しかった。

「時間が勿体ない。次々、休まずに運び込め。」

王さまの御前に、珍しいものを持って並ぶ、従者の長い行列が出来ていた。
王さまは、白い象の曳く大きな山車に乗せられて、巨大な水槽が運ばれてきたdermes 激光脫毛のに目をとめた。玉座から眺めていた王さまは、驚きのあまり近くに寄り水槽へと思わず歩を進めた。

東の国から奴隷商人が連れて来たものは、一匹の青い人魚だった。
人魚というのは話には聞いたことがあっても、王さまの国では誰も見たことの無い、とても珍しい生き物だった。小さな青い人魚は、戦に敗れた大国の王さまの持ち物で、王さまが自害した後、王の側近が逃げ延びる際に盗んで連れだしたらしかった。首筋に魚のように、水の中で息をする鰓(えら)があり、「水の中でも陸上でも呼吸はできるのです。」と、奴隷商人が説明した。

「ただし、半身の鱗は水気が無いと干からびて死んでしまうので、ご注意ください。」

「さようか……。」

水槽に近付いて、王さまはうっとりと青い人魚を見た。

小さな波がいくつも重なったような、青く透明な鱗に覆われた下肢以外は、滑らかな人間と同じ肌を持ち、豊かな銀色の髪を水中にたゆたわせていた。

「いかがですか?王さま。この美しい生き物を持っているものは、世界中探してもどこにもいません。」

王さまが水槽に手を当てると、人魚はそっと同じように手をかざし、物言いたげな口からこぽりと泡を吐いた。人魚は、せつなげに水槽越しに王さまの手に頬を寄せると、じっとしていた。
王さまは法外な金額を吹っかけた奴隷商人の求めるまま、巨大な水槽と同じ重さの金塊dermes 脫毛を乗せた。王さまは、どうしてもこの人魚を手元に置きたいと思った。

王さまが手に入れた珍しい青い人魚は、宝物倉に入れられることなく、いつでも自由に眺められるように王さまの居室に置かれた。王さまの広い浴室が、そのまま人魚の住処となった。
奴隷商人は、声を潛め、「恐れながら…」と、王さまに耳打ちした。

「いいですか?王さま。決してあの者を海に近附けてはなりませんよ。海鳥にてもいけません。囚われの人魚がいると、海鳥は海神に告げ口いたしますから。」

「それは、なぜだ?海風に吹かれて、海の底を懷かしむ位のことは許してやってもいいのではないか?元々、海から来た生き物なのだから……。」

「いえいえ、海の生き物は、いつもこの者を捜し回っているのです。高波が、防波堤を超dermes 脫毛えてお城の塔の真下まで上がってくるのはそのせいなのです。どういう事か、海はこの人魚を取り返そうとしています。」

コメントを投稿