ずだぶくろのこぶくろ

イスラエル留学日記です。

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栄光と悲惨

2007年12月04日 08時39分57秒 | Weblog
2007年12月3日 月曜 くもり

きょうは、うちで勉強しました。
夕飯は、妻くんの日記を参照のこと。うまかった。


(一カ月ぶりに、前回の続き)
急遽S夫妻の宿泊先の手配も仰せつかることになり、このまま日本(仮名)教授と話を進めるのは少々危険ではあるまいか、という妻の至極もっともな提案を受け、P氏の携帯電話に連絡。

P氏「もしもし。」
ぼく「ああ。たびたび申しわけありません。あのう、S先生は、その場にいらっしゃいますかね。」
P氏「いいえ。お休みになられました。」
ぼく「でしょうね。それで、ワ兄くんは、いるかなあ。」
P氏「いいえ。彼は、もう寝ています。」
ぼく「そうですか。ワ妹さんは……」
P氏「寝ています。……日本(仮名)先生に、替わります。」
ぼく「……おねがいします。」

日本(仮名)教授「ようっ、夫くん! それで、どうなのよ博士論文のほうは、順調に進んでる!?」

あきらかに、もうベロベロであるわけだが、あまりといえばあまりにも意外な攻め口だ。いきなり主導権を握られた。

ぼく「はあ。おかげさまで、ぼちぼちと……」
日本(仮名)教授「ほら、前回お会いしたときにさ、君の、あの博士論文の序論部でしたか、いただきましたでしょう。読ませていただいたんですがね。
ぼく「あ」。忘れてたよ。「そうでした。はい。何か問題ありましたでしょうか。」
日本(仮名)教授「いやいやいや。問題ない問題ない。もはや、ぼくの専門外だしね。おっ、と思うところがいろいろありましたので、むしろ、こちらのお聞きしたいところを、こう、いちいち克明にメモしながらね、丁寧に読ませていただきました。」
ぼく「それは……、光栄です。ありがとうございます。」
日本(仮名)教授「ところがねえ、その克明に取ったメモが、たっはっは、どこかに行っちゃいましてね。どこにいっちゃったのかなあ、あれは。ねえ。」

知るか。

まだまだ続く。
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酔う!!

2007年11月02日 10時22分54秒 | Weblog
2007年11月1日 木曜 晴れ

きょうは、博士論文の添削を、とある御隠居にしていただきました。
夕飯は、鶏のくわ焼きと、卵焼きと、エルサレムアーティチョークの素揚げと、カリフラワーのスープと、柿でした。うまかった。

(前回の続き)S教授ご夫妻の宿泊先も手配することになった。ご夫妻のエルサレム到着は、来週日曜。しかし、その日の午後2時、ホテル受付に立ち会うべき私には歯医者の予約がある。その旨を伝えたところ、なぜか電話先の一同は大爆笑。

とにかく、昼すぎにはお着きになる予定らしいことを聞き出して、とりあえず電話を切った。

ぼく「うーむ。妻くんよ。」
妻「ホテル、さがすのね。」

察しが良い。

ぼく「もうしわけない。」

妻は、さっそくパソコンに向かい、「足がお悪いとなると、旧市街の近くは人込みも激しいし、道もよくないから、かえって大変じゃないかしら」などとつぶやきながら、ネットで情報検索をしはじめた。有能だ。

妻「それにしても、あれよねえ。ハー教授夫人も、S教授ご夫妻も、事前にホテルの予約とかなさらないで現地に入って、不安じゃないのかしら。」
ぼく「うむ。ほとんどバックパッカー感覚だな。それなりに地位も名誉も金もある人たちだろうに。」
「お若いのねえ。」

妙な感心をしながら熟慮のすえに妻くんのはじきだしたホテルの候補は、5件。値段は高めで、いずれも旧市街からはやや離れるが、大通り沿い。道は鋪装されているし、タクシーも頻繁に止まる。歩行困難な人にとっては、旧市街そばの路地裏にある安宿より、よほど便利で楽だろうという。

ぼく「ありがとう。さっそく電話する。候補を絞り込んでもらおう。」
妻「あのう。もう11時半なんだけど。」
ぼく「しかたあるまい。」
妻「S先生は、さすがに寝てらっしゃるんじゃないの。」
ぼく「まあ、長旅の疲れもあるであろうしなあ。でも日本(仮名)先生は、きっと起きてるぞ。」
妻「……日本(仮名)先生は、ちょっと酔ってらっしゃるんじゃないの。」
ぼく「うむ。ちょーっと酔っていらっしゃると思う。いや、酔ってない酔ってないと言っておられたが、厳密には、ヨウレライヨウレライとおっしゃっていた。」
妻「だいじょうぶかしら。酔ったノリでぱーっと先生が決めちゃったのを、あとでS先生が知ってびっくり、なんてことにはならないの。」
ぼく「それはそれで、お二人の問題だ。我々は、日本(仮名)先生の言いつけに従うまでのことよ。」
妻「それはいいけど、そもそも話は正確に伝わるのかしら。そう言えば、今までの話も、日本(仮名)先生としかしてないのよねえ。そこらへんを含めて、その、ワ兄さんとかワ妹さんとかに話を通したほうがいいんじゃないの。しっかりした人たちなんでしょう。」

うーむ。正論だ。P氏の携帯電話に連絡。

P氏「もしもし。」
ぼく「ああ。たびたび申しわけありません。あのう、S先生は、その場にいらっしゃいますかね。」
P氏「いいえ。お休みになられました。」
ぼく「でしょうね。それで、ワ兄くんは、いるかなあ。
P氏「いいえ。彼は、もう寝ています。
ぼく「そうですか。ワ妹さんは……
P氏「寝ています。……日本(仮名)先生に、替わります。
ぼく「……おねがいします。」

私の心情はさることながら、心なしかP氏の声にも無常観が漂っている。

日本(仮名)教授「ようっ、夫くん! それで、どうなのよ博士論文のほうは、順調に進んでる!?」

もうベロベロだよ!!

続く。
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着いてすぐ!!

2007年10月16日 08時35分08秒 | Weblog
2007年10月15日 月曜 晴れ

きょうは、うちで本を読みました。
夕飯は、カレーと、蕪の味噌汁と、フルーツサラダでした。うまかった。


(前回の続き)ホテル予約追加の件で電話したところ開口一番「もう一件、予約してくれないかなあ!!」と日本(仮名)教授。

ぼく「……先生。酔ってませんよね!?」
日本(仮名)教授「酔ってない酔ってないっ! 夫くん、史学科のS教授をご存じ?」
ぼく「はあ。よく存じ上げております。」
日本(仮名)教授「Sさん、研究休暇をトルコで過ごしていらっしゃるんですがね。奥様とごいっしょに、今回わざわざイスラエルの発掘現場を見学に来てくださるということで、たった今! ほんと今、到着なさったの!!

なるほど、それで少々たてこんだわけか。

ぼく「長旅お疲れさまでした。」
日本(仮名)教授「それでねえ。明日の金曜は調査隊とごいっしょに見学旅行、明後日の安息日はこちらにお泊まりになって、週明けの日曜にエルサレムで一泊して、月曜にはもうトルコに戻られるらしいの。その、エルサレムでのSさんの宿泊先をねえ、夫くんに何とかしていただけるとありがたいんだけれども、やっぱり無理かしら?」

S教授とは何かの用事で一度か二度くらい立ち話をしたことしかないのだが、「よく存じ上げている」と言ったのは嘘ではない。彼の学問と人柄を慕う学生は非常に多く、学部・修士時代を通じて、事あるごとに史学科所属の友人たちに話を聞かされていたからだ。そんな偉い人をほったらかしたら、天下に俺の悪名が轟いてしまう。

ぼく「それはいけません! 無理じゃありません、予約します!! Tホテルのダブルを一部屋追加で、よろしゅうございますか。」
日本(仮名)教授「いや。最近、Sさん足を悪くなさって、歩くのが不自由なの。エルサレムでは旧市街を見て回りたいらしいので、もうしわけないけれども、できるだけ旧市街に近いホテルを取っていただけませんか。」
ぼく「できるだけ旧市街に近いホテルですか。お泊まりは週明けの日曜ですよね。明日の午後から安息日ですから、もう今夜中にホテルを探して予約をするしかありません。夜遅くにいろいろ御連絡することにならざるを得ませんが、よろしゅうございますか。」
日本(仮名)教授「よろしゅうございます。」
ぼく「それで、ホテルのお支払は……」
日本(仮名)教授「私のクレジットカードで、よろしくおねがいします。」
ぼく「そうしますと、予約者は〈夫くん〉、支払は〈日本(仮名)〉で、当日の宿泊者がS先生ご夫妻、ということになります。もしかすると、当日ホテルで説明に手間取るかもしれませんので、私とフロントで待ち合わせたほうがよろしいかと思うのですが、実は私、その日曜の午後2時に、ちょっと医者に行かねばなりませんので……
日本(仮名)教授「ええっ!?」
ぼく「いや、歯医者なんですが……」
日本(仮名)教授「歯医者あ!? 夫くん歯医者に行くの?」

電話の背後で、え? 夫くんが歯医者に? ゲラゲラゲラゲラと大勢の笑い転げる声。

ほっとけ!!

続く。
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増える!!

2007年10月15日 09時16分10秒 | Weblog
2007年10月14日 日曜 晴れ

きょうは、妻くんと買い物をしました。夕飯は、ぼくの作ったカレーと、スープと、サラダでした。うまかった。

(前回の続き)「日本(仮名)教授御一行のエルサレム滞在中、何ならあなたもホテルに泊まってはどうか」との心優しい妻の提案に涙していた矢先、当の教授より「もう一部屋、追加ししてくれはくれまいか」と意外な展開。

ぼく「え、もう一部屋、ですか。」
日本(仮名)教授「うん。夫くんは、H(ハー)教授をご存じ?」
ぼく「はい。ドイツのユダヤ学者ですね。」
ハー教授は、日本(仮名)教授の若き日の御学友。その縁を頼り、お宅に現在Y氏(前述。ワ妹氏の兄上。以下、ワ兄)が下宿しているはずである。
日本(仮名)教授「そうそう。そのハーさんの奥様がね、いまイスラエルに来てるんです。レンタカー2台のうち1台は、彼女が運転してくれるの。エルサレムでは、お友だちのうちに泊まるとおっしゃっていたんですがね、どうもその予定が駄目になったらしくて、申しわけないんですが、よろしいかしら。我々と同じホテルで、シングル一部屋追加。」

なるほど。そういうことか。

(1)日程(何泊?)---8.26、27、28(3泊)
(2)人数---4+1
(3)予算---$100前後(1人あたり)、シングル2、ダブル1+シングル1
(4)活動---旧市街周辺
(5)交通 ・バス、タクシー? ---
      ・レンタ? ---! 2台
      (到着 午後7時ごろ)


以上、予定表を変更。かくかくしかじか、ちょうど夕飯を支度中であった妻くんに説明。夕食後、妻くんはパソコンに向かい追加予約の手続きを完了した。

8月14日、火曜。ホテル側より予約確認のメール。
しかし一安心したのも束の間、翌15日、水曜。追ってホテルから問い合わせのメールが届いた。要するに、「ほんとに、これでよろしいのでしょうか。至急、再確認お願いします」という内容である。考えてみれば、予約者は「夫くん」で、支払者の名義は明らかに別人の「日本(仮名)」、くわえて人数の追加。不審を抱くのも無理はない。あわてて「ほんとに、これでよろしいのです」と釈明のメールを返信。

8月16日、木曜。ホテルより「万事了解」のメールを受信。
同日、夜9時30分すぎ。日本(仮名)教授に報告すべく、電話の受話器を取ろうとしたところ、茶をすすりながら妻が問いかけた。

妻「ねえ。いつもいつも、電話に出るのは、まずPさんなんでしょう。」
ぼく「それはそうだ。P君の携帯電話だからな。」
妻「取り次ぎ役みたいになっちゃって、迷惑じゃないの。それも、こんな時間に。」
ぼく「彼は、発掘の現場監督もしている。朝昼に電話したら、仕事の妨害だ。発掘作業というのは、たいてい朝の4時か5時に起きて現場に直行。正午前には作業を終えて、飯を食ったら昼寝。夕方には出土品の選別。それで夕飯の後はミーティング。自由時間は夜しかない。」
妻「夜は早く寝るんじゃないの。」
ぼく「いや。今日は木曜だろう。週末で、明日は安息日だから発掘作業はない。となれば、まず酒盛りだ。寝るやつは寝るが、おそらくP君は起きている。」

かくして、P氏の日本(仮名)教授に電話(厳密にはP氏の携帯電話に)。

ぼく「もしもし。」
P氏「あ。すみません。ただいま少々たてこんでおりまして。また後ほど電話していただけますか。」

はて。こんな時間に何かあったのだろうか。
ともかく夜10時、あらためて電話。

ぼく「もしもし。たびたび申しわけない。」
P氏「日本(仮名)教授に換わります。」
日本(仮名)教授「おおっ! 夫くん、ちょうどいいところへ!!」
ぼく「はあ。ホテルの予約追加の件ですが……」
日本(仮名)教授「そう! ほんとうに申しわけないんだけど、もう一件、予約してくれないかなあ!!」
ぼく「……先生。酔ってませんよね!?」

続く。
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決まる!!

2007年10月14日 10時14分04秒 | Weblog
2007年10月13日 土曜 安息日 曇りのち晴れ

(前回の続き)8月8日、水曜。こともあろうに日本(仮名)教授は、うちに電話をかけてきたのである。数分後、教授との会話を終え、電話を切り呆然とする私に、妻が「どうしたの」と声をかけてきた。

ぼく「いや。それが意外なことに、先生から連絡をいただいた。今後の御予定だ。こんなところで、よろしく。」

と、先日用意した台本に書き込みを加えたものを、妻に提出。

(1)日程(何泊?)---8.26、27、28(3泊)
(2)人数---4
(3)予算---$100前後(1人あたり)、シングル2、ダブル1
(4)活動---旧市街周辺
(5)交通 ・バス、タクシー? ---
      ・レンタ? ---! 2台
      (到着 午後7時ごろ)


以上の条件にもとづき、妻くんがインターネット検索で収集した情報を更に絞りこむ。
結果、新市街のTホテルが最有力候補に浮上した。宿泊費は一人100ドル強。駐車場完備。旧市街からはやや離れるが、車なら5分、徒歩でも2、30分あれば着くので問題はない。

ぼく「Tホテルか。あそこはいい。発掘調査隊が何度も利用しているから、先生も場所を知っているはずだ。よし。決定。」
妻「ただ、あのホテルの周りは一方通行路だらけだから、自動車で来るとなると大変かもしれない。そこらへん、注意しておいて。」

8月9日、木曜。日本(仮名)教授に電話(厳密には、P氏の携帯電話に)。

ぼく「先生、Tホテルはいかがでしょう。」
日本(仮名)教授「Tホテル? あ、あそこですか。たしかキングジョージ通りを左折するんだっけね。」
ぼく「そうです。キングジョージ通りを左折、ヒレル通りです。玄関前には、それで着けるのです。ただ、駐車場は裏手です。あのホテルの周辺は一方通行路が非常に多くて、素直に玄関から裏手に回れるかどうか、わかりません。どこかホテル近辺で私を拾っていただければ、誘導いたします」(以上、妻の入れ知恵を反復)。
日本(仮名)教授「わかりました。それじゃ、よろしくお願いします。」
ぼく「インターネットで予約をしたいと思うのですが、クレジットカード番号が必要なのです。それで……」
日本(仮名)教授「私のを、お教えします。よろしいですか。」

教授と私の会話を聞きながら、横で妻がバシバシと予約サイトに情報を入力。作業は全て完了した。おそろしいくらい、とんとん拍子である。

ぼく「いやあ、よかったよかった。君のおかげだ。」
「実は、あなたもTホテルに泊まりたいんじゃないの。みなさんと積もる話もあるでしょう。一部屋、追加したら?」
ぼく「いいよ。そんな金ないし。まあ、先生が払ってくれると言うなら別だが……。」

なにしろ、金がないのは、私が数週間前に財布を落としたせいなのだ。それを責めることなく、そんな提案をしてくれる妻の思いやりが身に沁みた。

週が明け、8月12日、日曜。パソコンのメールボックスにホテルから予約確認の連絡が届いていた。早速、日本(仮名)教授に電話(厳密には、P氏の携帯電話に)。

ぼく「もしもし。夫くんです。本日、予約を確定いたしました。」
日本(仮名)教授「ほんとうに、ありがとうございます。いろいろ御迷惑をかけて申しわけない。それでね、もう一部屋、取っていただけませんか。

お?

続く。
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斬る!!

2007年10月13日 08時01分39秒 | Weblog
2007年10月12日 金曜 晴れ

きょうは、妻くんと街で買い物をしました。

夕飯は、お粥と、鶏の唐揚げと、ポテトと、サラダと、野菜スープでした。うまかった。


(前回の続き)これは、もはや戦である。万全の策を整えて臨まねばならない。
8月5日、日曜、日本(仮名)教授からの連絡はなかった。8月6日、月曜。8月7日、火曜。やはり連絡はない。エルサレム訪問予定の26日まで充分に余裕はある、というのは常人を相手にした場合の話だ。この場合、相手が相手なので、はやくも残り20日を切ったのである。とりあえず、この三日間、妻くんにはインターネットでエルサレム市内のホテル情報を検索収集してもらい、私は不安を忘れるために睡眠不足を押して大学図書館へ日参し研究に没頭。休憩に学内の喫茶店で計略を練り続けた。

日本(仮名)教授御一行様に会いたいのは山々だ。それには、こちらから連絡を取るのが無難であるにはちがいない。しかし、それでは相手の軍門に下ることになる。断じて、こちらからは動くまい。よけいな苦労はしないにかぎる。
ただ、その場合、ワ妹氏は、こちらの苦労しないぶん、よけい右往左往することになる。しかたない。戦に犠牲はつきものである。エルサレムで再会のおりに、あるいは、たとい再会できずとも、のちのち何らかの形で「あのときは大変だったんですよ。ひいひい」と、散々な話を聞くことはできよう。それはそれで、ものすごく面白そうだ。倫理上の問題は若干なくもないが、戦に手段は選ばない。ワ妹ちゃんを斬る。

万全の策は成った。いま思い出せないのだが、その夜は何だかとても楽しい夢を見た。

ところが、ここまで人に悲壮な決意を固めさせておきながら、8月8日、水曜、こともあろうに日本(仮名)教授は、うちに電話をかけてきたのである。

数分後、教授との会話を終え電話を切り唖然とする私に、妻が「どうしたの」と声をかけた。

続く。
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勝つ!! (今回から『サムライ7』風に決めてみる)

2007年10月06日 09時20分07秒 | Weblog
2007年10月5日 金曜 晴れ

きょうは、妻くんと買い物をして、うちに帰りました。

夕飯は、ぼくの作ったカレーと、妻くんの作ったサラダと、ラッシーでした。うまかった。


(前回の続き)深夜、妻くんの寝たあと、ひとり萎えつつパソコンのメールをチェックしてみると、ワ妹氏より返信が届いていた。いわく、

そうですか、連絡行ってませんでしたか・・・。今、まさに隣にいる日本(仮名)先生に確認しましたら「こちらから」連絡する!!と申しております。いつものように忘れることがあり得ますので私も注意しておきますが、あまりに連絡が行かないようでしたらお手数ですが電話を一本頂けると助かります。それでは、お目にかかれるのを楽しみにしております。(以上、御本人の許可を得て掲載。ほぼ原文ママ。)

不安定なネット回線のたまたま通じた瞬間をつき、しかも教授の目を気にしつつ、蒼惶として書き送った必死の文であると見受けられる。このように諸々の制限を伴う状況下で書かれた文章は、往々にして書き手の真意を全て伝えきるものとはならない。行間にこめられた万感を推察するのが、受け手の責任というものである。それは察するに以下のごときものとなろう。

やはり予期していたことが……。私を仲介すれば話は早くて確実であるとは思うのですが、なんだか妙に張り切っちゃってる先生を差し置くわけにもいきません。できるかぎり努力はしますが、それにも限界はありますので、お覚悟の上どうか助けてください。ほんとうに、会えるのでしょうか。

よろしい。
もはや、これは戦である。戦であるからには、万全の策を整えて臨む。そして、勝つ。

そう決意を固めつつ、寝床に就いた。

続く。
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皇帝も知らない八月(3)

2007年10月04日 08時43分35秒 | Weblog
2007年10月3日 水曜 晴れ

(前回の続き)どうやら日本(仮名)教授御一行様の宿泊先を探さなければならないことになるらしい。こうした場合、一番あてにならないのは俺自身である気がする。考えてみると、人のためはおろか自分のためにすら宿さがしとか予約とかしたことがほとんどない。私は旅が嫌いだ。

ぼく「いっそ、うちに泊まっていただこうか。」
妻くん「2、3人ならかまわないけれども、何人になるか分からないんでしょう。」
ぼく「君と結婚する前、ここより狭い部屋に下宿していたのだが、一度に11人を泊めたことがあるぞ。やはり発掘調査隊の人たちであった。」
妻くん「うちよりも、かえって相手が気を使うことになるから可哀想なのよ。それに先生も学生も、男も女も雑魚寝というのは、さすがにまずいでしょう。」
ぼく「面白いと思うがなあ。だいたい、宿さがしなんて大変じゃないか。」
妻くん「そんなもの簡単よ。いまどきネットで全部できるんだから。それくらい、私だってできるわよ。」
ぼく「じゃあ、やってくれるかね。」
妻くん「いいわよ。日程と人数と予算さえ分かれば。それと、どこらへんを中心に回るのか。あと、エルサレムに入る交通手段。バスとかタクシーなら問題ないけれども、レンタカーだと駐車場のあるホテルのほうがいいでしょう。次に先生とお話しするときに、そこらへんを確認してちょうだい。」

複雑だ。要件が3つ以上におよぶと憶えきれない。しかたなく、次の連絡にそなえて台本を作成することにした。そこらのメモ用紙に書きつけておくとなくしてしまうので、博士論文草稿の裏に、

(1)日程(何泊?)---
(2)人数---
(3)予算---
(4)活動---
(5)交通 ・バス、タクシー? ---
      ・レンタ? ---


と記入。

しかし、どうも、あれだ。こうしてみると、俺、じつは日本(仮名)教授の同類なんじゃないだろうか。いや、もちろん研究者としてではなく、なんというか、こう、人として。

萎える。

続く。
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皇帝も知らない八月(2)

2007年10月03日 07時26分43秒 | Weblog
2007年10月2日 火曜 晴れ

今日は、一日うちで勉強しました。夕飯は、野菜カレーと、鮭のカルパッチョと、キャベツの味噌汁でした。うまかった。


(前回の続き)いちじるしい不安を抑えつつ、とりあえず簡単な御予定をうかがい、あらためて御連絡いただく約束を取りつけることで一安心し、電話を切ったところで妻くんに事情を説明した。

ぼく「だいたいのところは分かった。ワ妹さんにいただいたメールと日本(仮名)先生の話を照らし合わせて要するに、今回、先生ひきいる学生たちが、発掘調査隊とは別働の撮影班みたいなものを担当するらしい。発掘の合間を縫い、イスラエル各地の重要な遺跡だの史蹟だのをビデオ撮影して映像資料を制作しに遠出するという。その一環として、エルサレムにも立ち寄るであろうから、そのときに会いましょうというわけだ。27、8日あたりだと。うひゃひゃ。で、宿を探してくれるとありがたい、と。うひゃひゃひゃ。近いうちに、あらためて連絡いただけるそうだ。うひゃひゃひゃひゃ。」
妻くん「いらっしゃるのが仮に27、8日であるとして、それは1泊2日? 2泊3日?
ぼく「はて。どうなのだろう。」
妻くん「人数は?
ぼく「いちおう3人らしいが、まだ正確には決まってないらしい。」
妻くん「御予算は?
ぼく「ううむ。金に糸目はつけない、という身分ではなさそうだが……」
妻くん「エルサレムは、どのあたりを中心に撮影して回るの?
ぼく「さて。おそらく旧市街の周辺だろうが……」
妻くん「要するに、まだ何も分かっていないわけね。お泊まり先は、それ次第でしょう。」
ぼく「……迂闊だった」
妻くん「まあ、そこらへんの御都合については、いらっしゃる前に連絡いただけるのよね。だいじょうぶでしょう。」

だいじょうぶだろうか。どうも、こうした場合一番あてにならないのは俺自身の気がする。

続く。
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皇帝も知らない八月

2007年10月02日 08時44分59秒 | Weblog
2007年10月1日 月曜 晴れ

今日は、妻くんと買い物に行きました。夕飯は、野菜カレーと、千草巻きと、サラダでした。うまかった。


2007年8月4日、土曜。いちおうY女史には返信したものの、すでに現地入りしているとなると、ネット環境の整わない僻地で見てもらえるかどうか、はなはだ心もとない。P氏の携帯電話に連絡。

P氏「もしもし」
ぼく「もしもし。夫くんです。先日はどうも。そちらはいかがですか。」
P氏「はい、調査隊のかたがたも無事に現地入りしました。みなさま御元気です。」
ぼく「それはよかった。ところで今回、調査隊員にY君の妹さんのY女史(以下、ワ妹)が参加なさっているそうで……」
P氏「ええ。ワ妹さんもYさんもいらっしゃいます。」
ぼく「そのワ妹さんから昨日メールをいただきまして。日本(仮名)教授とエルサレムにいらっしゃる御予定だそうです。」
P氏「あ。そうなんですか。」
ぼく「そうなんですよ。それで、教授から連絡が行っているはずだ、と彼女は書いているのですが、ぼくとしては、そのような連絡を受けた覚えがありません。」
P氏「ああ。そうでしょうね。では、日本(仮名)教授が隣におられますので、換わります。」
日本(仮名)教授「いよう、夫くんっ、日本(仮名)です。元気い? たっはっは。博士論文の進み具合はどうですか。」
ぼく「はあ。おかげさまで、なんとか進めさせていただいておりますが……」
日本(仮名)教授「たっはっは、何だい。いただいておりますってのは。」
ぼく「はあ。いろいろと、こう、いただいておるわけでございまして……」
日本(仮名)教授「どう、発掘現場には来るかい? 楽しいぞお、こっちは!」
ぼく「はあ。それが何かと……」
日本(仮名)教授「ああ、無理か。よしっ、それじゃこっちから行くよ! エルサレムで会おうっ。たっはっは。」
ぼく「それは嬉しゅうございます。日程は……」
日本(仮名)教授「うーんとねえ、二十……何日とか、そんなところ、だったと思う!
ぼく「おそらく、27日、28日ではありませんか。」
日本(仮名)教授「そう、そのあたりでした。はっは。」
ぼく「宿泊先は、お決まりですか。」
日本(仮名)教授「いやあ、君に探しておいてもらえると、すごく助かる。」

いちじるしく不安だ。

続く。
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