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鳩山氏「友愛」実現まではひと山ふた山も(産経新聞)

2010-02-09 23:35:22 | 日記
【松本浩史の政界走り書き】

 4日の参院決算委員会で行われた鳩山由紀夫首相の答弁を聞いて、「この人らしいな」としみじみ感じる一幕があった。ときあたかも小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の土地購入をめぐる事件で、東京地検特捜部が小沢氏や元秘書らを起訴するかどうか、政界関係者はかたずをのんで、その行方を注視していた折である。

 「自由が行き過ぎると弱肉強食になってしまう。その一方、平等を重んじると自立心が失われてしまう。そのバランスをとるところに『愛』がある」

 自民党議員が発した「『友愛政治』とは」との質問に、わが意を得たりと熱く語っていた。特捜部の出方次第では、政権の足元が揺らぐ危機に見舞われそうな中で、「愛」を堂々と語っている姿に、のんきなのか、ものすごい大物政治家なのか、つかみどころのない振る舞いに、そう感じたのである。

 鳩山氏が掲げる「友愛」の政治理念は、鳩山氏が尊敬してやまない祖父・一郎元首相が掲げていたもので、オーストリアの政治家、リヒャルト・クーデンホフ・カレルギー氏が打ち出し、欧州連合(EU)構想のベースになった。

 鳩山氏の発言が誘い水となって、一郎氏の「鳩山一郎回顧録」(昭和32年出版、文芸春秋新社)を書棚から取り出してページをめくっていくうちに、日本自由党を結成した昭和20年当時を振り返った一説に目がとまった。

 「日本には利益や権力を主眼とする政党はあるが、主義主張を主眼とする政党はない様に思い出した。又政党には情義を重んじ過ぎてはいけないかもしれないが、しかし情義のない政党の党員となっていることを非常につまらぬように考えた」

 海千山千がうごめく政界にあって、鳩山氏は、政略や駆け引きが不得手な理念型の政治家だ。今国会の施政方針演説は、「命を守りたい」というフレーズで始まり、マハルト・ガンジーの慰霊碑に記された「理念なき政治」など「七つの社会的大罪」にも言及したように、政治理念がふんだんに盛り込まれていた。

 鳩山氏には、「主義主張」や「情義」を重んじる一郎氏のDNAが強く受け継がれているようで、その輪郭が「友愛」なのだろう。

 しかし、この「友愛」理念に拘泥すれば、自由と平等の狭間(はざま)で身動きが取れなくなり、為政者としての強いリーダーシップを発揮できない陥穽(かんせい)に陥らないか。人を押しのけて政界の階段を駆け上がるイメージとはほど遠く、名家生まれの人柄のよさをそこはかとなく漂わせる本人のキャラクターが加われば、そうした懸念はなおさらだ。

 自身の弱点を自覚しているのか、先の衆院選で民主党が単独過半数を獲得し、組閣・党役員人事に頭を悩ましていたとき、代表代行だった菅直人副総理・財務相の処遇が話題になり、鳩山氏は周辺にこう語っている。

 「菅さんの行動力ってすごいんだよな」

 薬害エイズ事件では、旧厚生省を向こうに回し、行政側の過ちを証明するファイルを公表。国民に鮮やかな政治主導を印象づけ、国会審議でも舌鋒(ぜっぽう)鋭くときの政府に切り込んだ菅氏の政治スタイルをうらやむ気持ちが垣間見える。

 鳩山氏と同様、一郎氏にもアクの強さが欠けるとの評がついて回った。だが、一郎氏には寝業師の大野伴睦、三木武吉ら弱点を補える側近がいた。鳩山氏はどうか。剛腕で鳴らす小沢氏がキングメーカーとして君臨しているのは明らかで、党運営は言うに及ばず、政権運営にも小沢氏の影がちらついている。

 もっとも、政治資金の虚偽記載をめぐる自身の「政治とカネ」問題と相まって、その小沢氏も同じ問題で世論の批判を浴びていることが、いま現在置かれた鳩山政権の混迷ぶりを物語っている。幹事長を続投する小沢氏や、それを容認した民主党に対する世論の矛先は鋭さを増すばかりだ。

 回顧録で一郎氏は、斎藤実(まこと)内閣で旧文部相を辞任したときの経緯に触れている。ある贈収賄に絡み国会で執拗(しつよう)な攻撃を受け、「明鏡止水の心境において善処します」と答弁した。ところが、意に反して辞任の意思表示だと受け取られ、本当にそうなってしまったという。「ヒョイと頭に浮かんだ」と回想している「明鏡止水」は、当時の流行語になった。

 祖父と孫が「政治とカネ」問題で国会追及を受けるのも皮肉な巡り合わせだ。

 鳩山氏にとってここしばらくは、政権交代の「祝福ムード」も消え、昭和61年に初当選を果たして以降、経験したことのない試練が続く。「政治とカネ」問題の代償は今後もついて回るだろう。5月までに決着させると公言した米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題も重くのしかかる。「友愛」の理念を結晶化させるには、超えなくてはならない山がまだひと山もふた山もある。

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