ナボコフと詰将棋をリンクするのは

2017-12-02 00:00:39 | しょうぎ
ウラジミール・ナボコフと詰将棋をつなぐ(リンクする)のは何かというと、詰将棋に詳しい方ならすぐに思いつくのが英文学者の若島正氏。ロリータ研究で有名な英文学者で、詰将棋作家でもありナボコフ感のある難解で長い手数の作品が得意だ。まさにミッシングリンクと言いたいが存命の方に使うべきことばではないだろう。

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そして、もう一つナボコフと詰将棋をつなぐことばが「チェス・プロブレム」。チェスの詰将棋(や必至)のこと。ナボコフはプロブレム問題の作家でもあった。またチェスが登場する小説も多い。

新潮社の書評誌「波」にナボコフコレクション(全5巻)発行に因んで、若島氏とロシア文学の沼野充義氏の対談が掲載されていた。ナボコフは若い時はロシア語で書き、晩年は英語で小説を書いていたので、どうしても英文学者とロシア文学者が必要になる。

ナボコフ論をここに展開するわけにはいかないが、彼のロシア語で書いた小説は英訳され英語で書かれた小説はロシア語訳されている。もちろん日本語訳もある。英語とロシア語の文法の差で、ロシア語は文章が長くなっても主語述語があいまいになることはないとされているので、基本的に長文構造に適している。(アラビア語もそうだが、動詞の活用がたくさんあって、動詞を見れば主語や時制を類推できる仕組みなのだ)

英語もwhatやthatを多用すれば長文化は可能だが、読むほうがギブアップする。

話を戻すと、この対談の中で、若島教授は、ナボコフのチェス・プロブレム作家の腕前について、「じつに凡庸としか言いようがない」と酷評している。「19世紀でとまっていて20世紀以降の進展には全く興味がなかった人です」と言い切っている。

実は、20世紀と19世紀の違いというのについて、自宅にある多くのチェス関連書籍で探してみた。残念ながらナボコフ作を見つけることができなかったのだが、19世紀の終わりから世界各地で日本的に言うと「狙い」を明確にした動きがみられる。ボヘミアンスクール、北アメリカスクール、イギリススクールなど。

しかし、さらに調べてみると、ルネサンスのようなこの動きは、1842年に発行された「インドのプロブレム」という書に行きつくらしい。つまり古来インドに伝わる古典をまとめたものがベースになって、プロブレムの芸術化が進んだらしいのだ。


さて、11月18日出題作の解答。

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縦長の配置から、横長の配置に変わってしまうわけだ。

動く将棋盤は、こちら


今週の出題。

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ヒント:有能な中間管理職でも不要になれば、すぐに解雇。ある駒が7マス動く。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定いたします。






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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (蛇塚の坂本)
2017-12-05 13:59:06
最終手○○○の〇〇手詰みと成りました。
金と銀が、消えてスッキリ
Unknown (おおた葉一郎)
2017-12-05 14:00:40
坂本様
正解です。
3七の地点がホットコーナーです。板門店?

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