ロボットはお好き?

2016-10-24 00:00:14 | 市民A
今、将棋界を震撼させているのは「高段棋士のカンニング事件」である。専門的に書くと長編小説になってしまうので、ごく簡単に言うと、将棋界最高賞金(4000万円超)のタイトル戦の挑戦者に決まっていた棋士が、他の棋士との対局中に何度も中座して、スマホを利用してなんらかのカンニングをしたのではないかという疑いをかけられ、タイトル戦の直前に、年末までの出場停止処分を受けたが、本人は、絶対に不正はしていないと主張し、スマホや自宅のPCについて、相互に検証しようということになったということ。周辺では、様々な関係者の力関係が不均等に働き、混迷状態といったところだ。

カンニングの可能性として、

 1.外部の第三者がネット中継を見ながらPCソフトで最善手をみつけメール送信。
 2.スマホから自宅PCを遠隔操作し、最善手を確認する。
 3.スマホにダウンロードしたアプリで最善手を探す。

の3種類の手法が考えられる。


本件の決着はさておき、論争の中ではっきりしたのは、ほとんどの棋士は対局室に電子機器を持ちこむことは「NO」と認識している一方、自宅での研究用にソフトを使うことは「OK」と考えているということ。現在疑惑状態の棋士も、「事前にソフトで研究している手を指したのだから、スマホアプリの手と一致するのは当然で、不正行為ではない」という見解を持っている。

で、ここからが本論(短いが)なのだが、

「パソコンの指し示す手順を覚えてきて、相手との対戦でそれを用いる」という行為なのだが、何か変ではないだろうか。

人間が考えたことを、その通りに実行する機能のことを「ロボット」というはずなのに、ソフトのAI機能とかディープ・ラーニングとかで導き出された戦術を覚えて、その通り人間が実行するというのでは、人間が、人工知能に支配されたロボットになっているということではないか。

今回の件で、ある高段棋士は「人間がコンピューターに支配される世界なんて、まっぴらごめん」と言い切り、それに共感を覚えている人は多いのだが、といって将棋界に限らず、これから人間とAIの主従関係争いが始まる、あるいはすでに終盤戦なのかもしれない。


自動運転車の開発が進んでいるが、戦争の無人化につながる技術という人もいる。巨額の投資をして自動運転車を開発しても、行きつくところは、自宅の車庫から目的地を東京駅前とか指定して、あとは熟睡1時間で到着という位の効用だろう。よく考えれば、それは、「タクシー」に過ぎないわけだ。研究の先に隠れ見えるのは戦争道具だろう。

頭脳をAIに任せた場合、人間の脳の力は確実に落ちてゆくだろう。また、前の世界大戦ではドイツと日本が負けたのだが、その作戦を緻密に解析すれば、少ない戦力でも勝てたかもしれない作戦があったわけで、AI側が戦争に勝つことが価値と考え、必勝作戦を構築し、兵員を移動したり、物資を輸送したり、経済封鎖をしたり(つまり信長の野望ゲーム)、作戦を立て、人間(軍隊)に命令を出し始めたらどういうことになるのだろう。

今後AI化が進み、人間の職場が奪われるのではないかと心配しているわけだが、実際には、人間がロボット化することにより失業者が増えない可能性もあるのだが、少なくても人間は、睡眠したり、食事という名の燃料補給が必要だし、同時にいくつものことを考えられない動物で、不経済で、競争力がない不完全なロボットにしかなれないのだろうと、うっすら感じる。


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2 コメント

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Unknown (市橋宗士 )
2016-10-27 18:40:20
葉一郎様

 もう十年以上前、「アイ、ロボット」という映画で、
 久し振りに、「ロボット三原則」が(画面に)出てきて、
 現代的解釈のもとに、ストーリーが展開していった。
 葉一郎様が書いてみえるように、ロボットが人間に
 近づくよりも、人間がロボットに「近づく」ほうが、
 ある意味、怖い状況だと思います。
 アシモフの原作から半世紀を過ぎて、彼の想像しえ
 なかった世界がやって来ようとしているのでは。
                               市橋
Unknown (おおた葉一郎)
2016-10-27 21:15:35
市橋様
ロボット三原則ですね。人間を傷つけない。人間の命令に服従する。ロボット自体を自己防衛する。

少し前に、アメリカで立てこもり犯に近づいた警察のロボットが自爆して犯人をバラバラにしましたが、第一条、第三条違反ですね。

無人兵器は第一条違反。

ロボットに職を奪われた人は、心の健康を傷つけられるので第一条違反。

将棋ロボットは、人間の方が命令に服従するので、違反じゃないかな。

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