将棋紳士録第10版掲載詰将棋について(2)

2016-09-24 00:00:51 | しょうぎ
先週(2016年9月17日)に引き続き、将棋紳士録第10版(1974年刊)掲載の詰将棋6題についての考察。今回も不詰問題がある。

sinsirokub


B-1:一見で詰まないのは私の実力不足からだが、▲1三桂成と捨てて、▲1一飛成と香を取り、△1二金または△1二飛と合駒をしても▲1五香あるいは▲1二龍のどちらでも詰む。しかも駒が余る変化が多い。4三金を飛にすれば、少なくても飛合はなくなるが、それでも完成作には遠い。

B-2:2二銀の捨て駒から始まり攻方だけなら3一角、4二角成、3三銀、1三金(捨)以下2二馬までだろうが、問題は二つ。まず余詰めだが二種類。簡単なのは初手の銀打ちと9手目の金打ちは駒を交換してもいい。さらに7手目に3三金として強引に2三歩をむしりとっても詰む。以外にも同一作があって、京須氏と下平氏が発表している。自作でないうえに余詰め2つ。持ち駒の金、銀、銀を銀×3にするといいが2二銀打ちに3二玉でわずかに詰まない。玉型に5二歩を追加するとか。

B-3:これは見るからに古作物で、筋がいい。作者不詳のようだ。2一の桂は要らないかな。

B-4:作意は3三金と1一金と捨て同玉に1二銀から2二龍の7手詰。ただし、1一金を同玉なら3三龍以下9手駒余り(二手長手余り)まあ許容範囲かな。

B-5:これは、難問だ。早い話が詰まない。初手▲3三銀で△1二玉なら、▲1三龍と捨て、その後2一の桂馬を取って、最後に▲2五桂で詰む。そのためには4二のと金は4三に引越しとなるが、そうなると古作図になるし大山氏も使ったことがある。名人が使うのだから私が使ってもいいと判断したのだろうか。

B-6:これも大変だ。一目、▲5二金、△3二玉に▲2三桂成と捨て、金銀二枚を重ねて打つと、7手詰めで駒が3枚も余る。おそらく全12問で最高の難易度だろうから、推測も困難を極めたが、柿木氏の協力も得ながら苦闘した結果、3五の桂を3六に引越しすると37手詰みとなる。ただし辿り着いた結果、古作物だった。

ということだったのだが、実は最後に豊洲市場地下空間的(カフカの「城」的ともいえるが)な巨大な謎と直面する。というのもこの12題だが、すべて、「○、○分で詰めば○、○級の棋力」となっている。例えば、一番やさしい(とも思えないが)のが、「五、六分で詰めば五級の実力」。一番難しいのは「八、九分で詰めば一、二級」となっているのだが、

そもそも、この「紳士録」に書かれた人は全員が有段者のわけだ。読者が有段者だったら、大変失礼な書き方だ。

ということは、有段者でもほとんどが初段未満ということだろうか。あるいは、紳士録を売りさばく相手は、記載された人ではない(つまり名簿売買)、ということだろうか。なんとなく真相が見えているような気がする。


さて、9月10日出題作の解答。

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飛車や角をぶん回すという野蛮的な手順。どうも既視感が漂うのだが、そういうことではないからね。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数を記していただければ、正誤判断。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (蛇塚の坂本)
2016-09-27 18:21:46
最終手○○○○の○○手詰み。
小気味良くテンポの有る流れ。
Unknown (おおた葉一郎)
2016-09-27 18:22:45
坂本様
やはりそういう感じですか。

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