「待った!」の構造

2017-12-16 00:00:34 | しょうぎ
「待った!」というのは将棋で指した手を取り消して別の手を指しなおすことで、反則であり負けになる。相撲の「待った!」は何度やってもいいことになっているし大横綱になると、負けた後、待った!したと主張することができる。将棋では、実際には悪い手に気付いていても「待った!」をすれば負けなので、とりあえず諦めるしかない。諦めずに駒を取り上げて別の手を指して負けにされ、その後タレントになった棋士もいるが、日頃から指した後、駒をトントンする癖があったのが直接原因だろう(藤井君も駒トントンをひふみんから感染されているように見える)。

実際に出現しないので、研究するのは難しいが自分のことから言うと、待った!したくなるのは、「指した瞬間」であることが多い。またセーフではあるが、指したあと駒から指を離す前なら着手終了になっていないので別の手を指してもいいのだが、これも待ったもどきと言える。何手か進んだ時に、少し前の手が悪手だったことがわかることがあるが、これは読みが浅かっただけで待ったとは関係ない。

そもそも長考して決定した手を指そうと思った瞬間に、もっと良さそうに見える手に気付き、ノータイムでその手に変更して失敗したりする。

先週書いたのだが1983年にリベット氏が有名な実験を行っていて、意志のあとに脳に電位差が起きてその後、行為が実行されるのではなく、大脳に行為実行の準備電位が最初に起きてから0.35秒後に、意志が決定され0.2秒後に実行される、あるいは意志が取り消され実行されない。ということで、最初に脳の電位差を発生させるのは意識下ではなく無意識下であるという学説があるわけだ。

将棋で言えば、30分考えるというのは意識下であるのだが、その時も無意識下で、別の手の候補が浮かんでいて、実際に駒を動かす瞬間まで脳の中に二種類の手があるということだろう(直感と精読といってもいい)。

つまり、人間の脳の構造上、どうしても防げない現象のようにも思える。


ところで、「待った」というコトバだが、これも変な感じがする。待ったするのは自分であるのだから「待ったはいけない」と自分に怒るようなものだ。

もしかしたら、相手に対して、「次の手を指すのは待ってくれ、「待った」して別の手を指すから」と要請する目的なのだろうか。待ったする上、相手に次の手を指さないように命令するとは将軍様のような態度だ。やはり語源もよくわからない。


さて、12月2日出題作の解答。

1215k


1214kkk


角の三段活用である。行ったものが戻ってくるというのが妙な味だろうか。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

1215m


最初の方が難しいかもしれない。詰みそうで詰まない筋が多い。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定いたします。




最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (蛇塚の坂本)
2017-12-16 22:08:56
最終手○○○○の〇〇手詰み。
王と龍のオイカッケコ面白い。
Unknown (おおた葉一郎)
2017-12-16 22:10:19
坂本様
正解です。
オイカッケコ ・・・ ?

コメントを投稿