OSQZSS

オープンソース準天頂衛星(QZSS)受信機

GPS信号のRecord & Replay

2014-11-22 00:14:00 | ソフトウェア受信機
小型衛星やロケットなど,特殊な受信環境で動作するGPS受信機を
開発していると,どうしてもGPS信号シミュレータが欲しくなります.

しかし,本格的なシミュレータは数千万円で,とても手が出ません.
LabSat 3は確かに安くなりましたが,必要なオプションを付けると,
やはり百万円を超えてしまいます.

そこで,1年以上も放置していたbladeRFを復活させました.



bladeRFのファームウェアやFPGAのイメージも最新のものに更新.
フロントエンドのDCオフセットは解消していないようですが,
キャリブレーションのツールが提供されていました.

bladeRF: DC offset and IQ Imbalance Correction

GPS信号の受信は,前回と同様に以下の通り.
ただし,LNAのゲインを上げています.

bladeRF> set frequency 1575.42M
bladeRF> set samplerate 8M
bladeRF> set bandwidth 2.5M
bladeRF> set rxvga1 30
bladeRF> set rxvga2 30
bladeRF> cal lms
bladeRF> cal dc rx
bladeRF> rx config file=gps.bin format=bin n=8000000
bladeRF> rx start


サンプリングされた信号の分布は,綺麗にガウシアンですが,
キャリブレーションしてもDCオフセットが残っています.

 (クリックで拡大)

PSDも,相変わらず500kHzの倍数でスプリアスが出ています.
これ,何とかならないかな.



ソフトウェア受信機で,GPS信号が正常に記録されていることを
確認してから,今度はそれを送信してみます.

bladeRF> tx config file=gps.bin format=bin
bladeRF> tx start


bladeRFの出力は,同軸ケーブルでubloxの受信機接続しています.
残念ながら,今のところ,まったく受信が確認できていません.

まずは,GPSの中心周波数でCWが出力できるのか,単純な設定から
動作を確認して行かないとダメみたいです.

スペアナを入手したい.10万円か…

GSP-730: 教育実習用 3GHz スペクトラム アナライザ

【追記】いまさらながら,bladeRFフォーラムでMicheleの投稿に気づく.

bladeRF: TX at 1.6GHz

1年以上も前の投稿だけど,問題は解決したのかな?
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firefly GNSS receiver

2014-11-21 18:26:28 | 小型衛星
宇宙機搭載用GNSS受信機モジュール「firefly」の製品版評価キットを
お借りすることができました.



fireflyにはLNAも内蔵されており,パッシブアンテナでも受信が可能です.
そこで,簡易的に手元にあったパッシブのパッチアンテナとDCブロックを
繋いで,測位してみました.

 (クリックで拡大)

こんなセットアップでも,問題なく測位できました.GPSアンテナですが,
GLONASSも受信できています.アンテナを横に傾けても,十分な衛星が
観測でき,測位が落ちることはありませんでした.

予想外にあっさりと動いてくれたので,これならアンテナ一体型の
スマートアンテナを作れそうです.

しかし,小型のパッチアンテナは,グランドプレーンのサイズで,
中心周波数が大きく変動します.また,アンテナのサイズで帯域も
異なります.

taoglas: GPS Patch Integration Application Note

本来であれば,こちらの基板デザインに合わせて,メーカ側で
調整してもらうべきなのですが,とりあえずグランドプレーンを
大きく取って,帯域の広い25mm角のパッチアンテナを試してみよう.

Digikey: taoglas CGGBP.25.4.A.02

【追記】さくっとスマートアンテナを設計.Elecrowに投げる.



Elecrowは追加費用なして0.8mm厚が選べるので,マイクロストリップラインの
設計が捗る!

 (クリックで拡大)
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ミサイル技術管理レジーム

2014-11-19 23:29:55 | ロケット
ITAR規制品リストから廃止されたGNSS受信機の高度・速度規制ですが,いろいろと調べていたら,
MTCR(Missile Technology Control Regime)という国際輸出管理レジームがあることを知りました.

この中では,カテゴリーIIの規制品として,11.A.3に速度600m/sを超えて測位情報を提供する
GNSS受信機がリストアップされています.

MTCR: EQUIPMENT, SOFTWARE AND TECHNOLOGY ANNEX

このレジームには,日本はもちろん,アメリカも参加しています.
それなのに,リストの規制品を自国の輸出規制品から外してしまう?

条約ではないので法的な拘束力はありませんが,紳士協定的にどうなのだろう.

ところで,すでに解消したCOCOMと,それに続く国際輸出管理レジームの解説は,
ここが判りやすいです.

武器と市民社会:安全保障輸出管理 国際輸出管理レジーム

【追記】調査を続けていたら,Code of Federal Regulationsという連邦規則集があることを知りました.

GPO: Electronic Code of Federal Regulations (e-CFR)

この規則集のPart 774には,輸出規制品に関する連邦規則がリストアップされています.

e-CFR: Commerce Control List

GNSS受信機に関連した規則を探してみると,まず7A005において,These items are subject to the ITARと
記載されています.

しかし,どうもこれだけではなく,7A105にはMTCRに準じた600m/sの速度規制が記載されていました.
規制の理由であるMTはMissile Technologyのようですが,ATが何を示しているのか不明です.

いまひとつルールが良く判りませんが,GNSS受信機に関連する輸出規制の根拠はITARだけではなく,
他にもあるということなのでしょうか?

いずれにせよ,USMLからGNSS受信機の高度・速度規制が廃止されたからといって,
すんなりとロケットや人工衛星に搭載可能な製品が入手できるようになるわけではなさそうです.
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Elecrowを試す

2014-11-04 18:49:01 | 小型衛星
小型衛星用GNSS受信機モジュールの評価基板を設計.
今回のPCB製造は,Elecrowのサービスを試してみました.

基板のサイズは5cm×7cm.レジストの色は赤を選びました.
色のオプションが無料なのが良いですね.

10月23日に発注して,28日に出荷.11月2日に届きました.
2週間かかっていません.速いよ!

DHLを指定したのにEMSで送られてきたことには目をつぶろう.
送料込で,3,000円程度です.



仕上がりは悪くない.
シルクスクリーンの小さな文字やロゴも綺麗にでている.



viaがレジストで埋められているのも良い感じ.
試作だけのつもりでしたが,製品版もElecrowにしようかな.

ちなにみ,受信機の名前はfireflyにしました.
ちょっとかぶるけど,前からこの名前に決めていたので.

早速実装して動作確認.
シリアルUSB変換はFTDIのFT230XSです.



USBに接続すると,そのまま受信機に給電されてNMEAが出力されるのですが,
やはりシリアルマウスの誤認識が発生しました.

PC側がシリアルポートだと認識してからNMEAを出力しないとダメなようです.
製品版では,電源ラインにスライドスイッチを追加しよう.
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観測ロケットの新型ランチャー

2014-11-03 12:37:15 | ロケット
観測ロケットの新型ランチャーの写真を発見.
JAXA公式ではなく,鹿児島県肝付町役場のニュース.

肝付町役場:観測ロケットS-520-29号機・新型ランチャー公開

しかし,何とも言えない微妙なデザイン.
ランチャーに固定された状態でのGPS信号の受信は,かなり不安だ.

引退してしまった可搬型のランチャーの方が,圧倒的に格好良かったよ!

JAXA:2013年度第一次観測ロケット実験の実施について

アオシマから旧型ランチャー付きのS-310とS-520の模型が出ないかな.

アオシマ:スペースクラフトシリーズ
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速度・高度規制の廃止

2014-10-28 14:13:56 | ロケット
GPS/GNSSシンポジウムの午前の部で,衛星測位システム協議会の穴井様から,
第52回CGSIC会議の報告がありました.

この中で衝撃的だったのが,ITAR規制品のリストであるUSML(United States Munitions List)から
GPS受信機の速度・高度規制が廃止されるという情報です.

早速調べてみたところ,2014年5月13日のFederal Registerの報告で,
GPS受信機に関するCategory XVの制約が,次のように改定されていました.

(c) Global Positioning System (GPS) receiving equipment specially designed for military
application, or GPS receiving equipment with any of the following characteristics, and
specially designed parts and components therefor:

(1) Specially designed for encryption or decryption (e.g., Y-Code) of GPS precise
positioning service (PPS) signals (MT if designed or modified for airborne applications);

(2) [Reserved]

(3) Specially designed for use with a null steering antenna, an electronically steerable
antenna, or including a nullsteering antenna designed to reduce or avoid jamming signals
(MT if designed or modified for airborne applications);

(4) Specially designed for use with rockets, missiles, SLVs, drones, or unmanned air
vehicle systems capable of delivering at least a 500 kg payload to a range of at least
300 km (MT if designed or modified for rockets, missiles, SLVs, drones, or unmanned
air vehicle systems controlled in this subchapter).

今回,Reservedとなった(2)ですが,改定前は以下のように,高度と速度が規制されていました.

(2) Designed for producing navigation results above 60,000 feet altitude and at
1,000 knots velocity or greater;

これで,普通に衛星やロケットに搭載できるGPS受信機が購入できるようになるのでしょうか?

あれ?カスタム品への投資はどうなるの?

【追記】高度・速度制限の廃止については,以下の資料で紹介されています.

CGSIC Plenary Session: U.S. National Space-Based PNT Update

該当ページの抜粋はこちら.施行は2014年11月10日から.

 (クリックで拡大)
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piNAV-L1 CubeSat GPS Receiver

2014-10-26 23:24:57 | 小型衛星
CubeSat向けのGPS受信機で,こんなものを発見.

SkyFox Labs: The World's First Ultra Low Power CubeSat GPS receiver piNAV-L1

大きな写真はこちら

Contact情報を見てみると,どうやらWitch Navigatorと同じ開発チームらしい.

見た目は普通にFPGAベースの受信機だけど,消費電力が120mWというのは
ASICの受信機モジュールなみだ.何を載せているのだろう?

15チャンネルで信号捕捉エンジンもないのに,コールドスタートからのTTFFが
軌道上で5分以下というのも,ちょっと信じ難い.

FMで$7,450と,微妙なお値段.これなら,もう少し出してNovAtelのOEM6を選ぶかな.

【追記】ちなみに,CubeSat KitのOEM6の値段は$7,980.ただし,消費電力は1W以上.

Pumpkin Price List: GPSRM 1 GPS Receiver Module Kit
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USBシリアルとGPS受信機の相性

2014-10-16 11:53:45 | みちびき
GPS受信機ユーザのあるある.

GPS受信機のシリアル出力をUSBシリアル変換でUSBポートに接続すると,
シリアルマウスと認識されてイラッとくる.

いまひとつ発生する条件が不明なのと,解決手段がよく判らない.

とりあえず,これを試してみよう.

Microsoft Community: Windows 7 recognized USB GPS as a serial Mouse in Windows 7
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RTKGPS+

2014-09-30 10:01:31 | RTKLIB
Android版RTKNAVIのRTKGPSがRTKGPS+として復活!

Google Play: RTKGPS+

作者は違うけど,ほぼオリジナルを引き継いだ感じ.
GitHubでソースも公開されているので,後でビルドしてみよう.

早速インストールしてCHOFに接続してみました.

 (クリックで拡大)

 (クリックで拡大)

 (クリックで拡大)

RTKGPS+のマップ表示では,外付けのSDカードがなくても
タイルがダウンロードされるようです.

MADOCAプロダクトでPPPも試そう.

【追記】PPPの精度に効いてくる疑似距離誤差の設定がRTKGPS+では
見当たらない.ANTEXやPCVの選択もできないようだ.

しばらくMADOCAプロダクトを使ってPPPモードで動かしてみたけれど,
1メートル程度の測位誤差でふらふらしている感じ.

OpenStreetMapのズームも,PPPのばらつきが判るほど拡大できない.
RTKPLOTに相当する表示機能がないのが残念だ.
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MADOCAプロダクトでPPP

2014-09-29 12:28:32 | みちびき
JAXAが開発を進めているGPS+GLONASS+QZSSの精密軌道・クロック推定システムである
MADOCAによる補正データのネットワーク配信が始まりました.

QZ-Vision: MADOCAプロダクトリアルタイムインターネット配信開始のお知らせ

誰でもアクセスできますが,ユーザ登録が必要です.
MADOCA Real-Time ProductsサイトのApplicationのページからApplication Formを
ダウンロードし,必要事項を記載してサポートディスクにEmailで送ります.

同ページでRTKNAVIによるMADOCAプロダクトの使い方も紹介されていますが,
個人的にメモを残しておきます.

基本的には,IGS Real-Time Serviceなど,他のNtripによる配信サービスと同じです.

Input StreamsとしてRoverには,MGEX局である調布(CHOF)を選びました.



CorrectionにMADOCAのmountpointのひとつであるMDC1を選びます.



MADOCAに含まれる精密軌道は,ephemerisに対する補正データなので,
何らかの形でephemerisも受信しなければなりません.CHOF局のRTCMは
観測値だけでephemerisは含まれていないため,Base Stationsとして
RTCM3EPH-MGEXを選び,ephemerisもネットワーク経由で受信します.



Optionsの設定は,Applicationページに紹介されていたマニュアルを
参考にしました.









Filesタブにおいて,igs08.atxにはGPSやGLONASSのアンテナ位相中心の
情報が含まれています.このファイルは,National Geodetic Surveyの
ANTCALで公開しており,RTKLIBのDataフォルダにも入っています.

一方,Roverのアンテナ位相中心の情報を含む.pcvは,受信アンテナに応じて,
ユーザが準備する必要があります.代表的なアンテナについては,
RTKLIBのDataフォルダに入っているngs_abs.pcvを使うことができますが,
CHOF局のアンテナであるTrimbleのTRM57971.00は含まれていません.

これら受信局アンテナのPCVは,ANTCALでANTINFOとして公開されています.
TrimbleのリストからTRM57971.00のANTINFOを検索し,madoca.pcvという
ファイルを作りました.

.pcvにリストアップされている受信局アンテナは,Positionsタブの
Antenna TypeでAutoを選択しておくと,RTCMに受信局のアンテナ情報が
含まれていれば,自動的に選択してくれます.

しかし,今回はCHOFのアンテナタイプが判っていますので,
プルダウンからTRM57971.00を選んでいます.

これで準備完了です.Startボタンをクリックして,測位を開始します.

 (クリックで拡大)

みちびきも観測されていますが,RTCM3EPH-MGEXからは
ephemerisが取得できず,測位には使われていません.

24時間動かしてみた結果は,こちら.

 (クリックで拡大)

何とも言えない微妙な精度です…
悪くはないけれど,センチメートル級と呼ぶのは躊躇します.

12時と24時に30分ほどデータ配信が停止するのも気になるところ.
今後のアップデートに期待しています.

折角のネットワーク配信なので,もっとユーザが増えて,
いろいろな環境での測位結果を公開して欲しい.

【追記】測位誤差をプロットする際のCHOFの精密位置は
三鷹の電子基準点を使って,RTKで求めています.

緯度:35.674544543 [度]
経度:139.531062059 [度]
高度:93.9147 [m]

【追記2】taro君のアドバイスに従い,Code/Carrier-Phase Error Ratioを
1000に変更して,再挑戦してみました.



RTKLIBでのPPPの実装はカルマンフィルタを使っているため,疑似距離の
観測誤差を大きく(重みを小さく)しないと,PPPの結果が疑似距離誤差に
引っ張られてしまうようです.

新しい設定での結果が,こちら.

 (クリックで拡大)

時々補正データが途切れていますが,解が収束すると水平方向は+/-10cmに,
鉛直方向は+/-20cmに収まっています.Ambiguity resolutionをOFFにしている
ことを考えると,十分な性能です.

微妙な精度なんて言って,ごめんなさい.
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