杜の里から

日々のつれづれあれやこれ

『廃炉図鑑』を読む

2016年09月19日 | 原発
この夏、我が家の本棚に一冊の本が加わりました。
福島第一原発の事故から5年半、今ではメディアでもあまり語られなくなった廃炉作業の現場を多角的に紹介した、「福島第一原発廃炉図鑑」というぶ厚い本です。

 


今年(2016年)の初め、たまたまネット内で開沼博さんのこの様な記事を読み、その後石戸諭さんや永田泰大さんのルポ(これとかこれ)も発表され、廃炉作業の現場がどういうものなのかもっと知りたいと思っていました。

本書を書店で見かけて開いた時、初めはそのあまりの情報量の多さに思わず圧倒されてしまいましたが、でもその中身は、廃炉作業にまつわる複雑に絡み合う様々な問題をまずはキーとなる数字で紹介し、自分が興味がある項目から読み進められる様な形式となっていました。
 
 

中身は文字ばかりでなくイラストも多様され、その形態はまさに「図鑑」というものでした(「いちえふ」の竜田一人さんのルポマンガも有り)。

 

また、復旧した国道6号線沿いのグルメMAPなども掲載されていたりと、多岐に渡る内容の豊富さには驚かされます。

 

ネットではつい先頃、林智裕さんが事故当時流されたデマを検証する記事が紹介されましたが、これを見て今回、改めて林さん執筆の項目を読み直してみました。

 

図鑑の中で林さんはそれぞれのデマのパターンを分析し、なぜこの様なデマが生まれ拡散したのかをあくまで冷静に伝えていましたが、私にはその行間から、林さんの静かな怒りが滲み出ている様に感じられました。
そして同時に、今現在、実際どれほどの人に原発事故の現場が理解されているのかという疑問が湧き上がってきます。

5年半も経ってるのに、未だに事故当時の不確定情報に支配され続けている人達がいる。マスコミは原発は今や興味の対象外。そして新しい情報が更新される事なく、間違った古い情報が世界にまだ拡散され続けている。
ついこんな重苦しい現実を思い浮かべてしまいますが、実際私自身も、日々の生活の中で原発事故の事はすっかり消え失せている事もあります。

この本の中に書かれている情報は膨大で、私自身まだ全部読み進めた訳ではありませんが、でもこの本をただ眺めるだけでも、今この時も廃炉作業は着々と進められているのだという事を改めて思い知らされます。
その作業の終了を自分は最後まで見届ける事が出来るかどうかは分かりませんが、廃炉作業というのはやがて老朽化する原発が必ず辿る道でもあり、これから次の世代に繋いでいく一大プロジェクトであるのは間違いありません。
それを見守り語り継いでいくためにも、福島第一原発の「今」を正しく伝えていく事が何よりも大切な事であるという、この図鑑にはそんな「思い」が詰まっています。



クラウドファンディングより手にした図鑑の表紙の裏には、開沼博さんの「思い」が書かれていました。



※クラウドファンディング
 「福島第一原発のいまを調査して世界に伝えたい! 世界初、民間・独立の調査研究プロジェクトがその実態を記録し発信する」こちら

(参考)
・DIAMOND online より「福島第1原発、廃炉現場の語られざる真実」
・幻冬舎plusより「3・11から5年目にやるべき仕事 『福島第一原発廃炉図鑑』が埋める「空白」」
・BuzzFeed より「福島第一原発ルポ 7千人が働く廃炉作業の現実」
・永田泰大 「福島第一原子力発電所へ。」
・YAHOO!ニュースより「笑顔も活気もあるじゃない! カンニング竹山さんが驚いた福島第1原発」
・「野尻抱介(尻P)のブロマガ」より「まつろわぬ人々の福島第一原発ツアー(その2 Jヴィレッジ&1F編)」
・togetter より「福島第一原発廃炉図鑑(開沼博・編/太田出版)デマ検証コラム用序文」
・THE HUFFINGTON POST より「"福島の魔女狩り"に加担しないためには?「福島第一原発廃炉図鑑」開沼博さんに聞く」
・SYNODOS より「あなたの思う福島はどんな福島ですか?――ニセ科学とデマの検証に向けて」
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