2014年1月号(通巻491号):目次


■市民活動総合情報誌『ウォロ(Volo)』
2014年1月号・目次
(1月1日発行)
定価500円(年間購読10冊:5000円)

《V時評》
自分で考え、積み上げていく――「NPOの信頼性向上」のために必要な視点

《特集》
長年活動してきたボランティアが認知症に・・・・・・
~その実情と私たちへの課題~


《私のボランティア初体験》
人生、どう転ぶかわからないですね
市川 斉(シャンティ国際ボランティア会 常務理事)

《うぉろ君の気にな~る☆ゼミナ~ル》
「エシカル」って?

《語り下ろし市民活動》
「ボランタリズムの精神」が“麗しき幻”を現実のものにする①
岡本榮一(大阪ボランティア協会 顧問)

《CRM入門講座》
CRMに関する誤解を解く
CRM(コーズ・リレーテッド・マーケティング)研究会

《この人に》
山田 真さん(子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク 代表)

《昼の月》
暮らしを変えた未熟者

《コーディネートの現場から~現場は語る》
スマートフォン時代におけるボランティアコーディネーション
梅田純平(大阪ボランティア協会 ボランティアNPO推進センター)

《東日本大震災-宮城から》
遅々として進まない、しかし進んでる
大久保 朝江(杜の伝言板ゆるる 代表理事)

《レポート》
新たな国際的な開発目標づくりを「連帯」の機会に
今田 克司(CSOネットワーク 代表理事)

《共感シネマ館》
『未完の映画』をめぐる話
島田 隆一(映像制作者)

《私の未来予想図》
NPOが地域金融機関の預貸率を上げる!?「地域内“志金(しきん)”循環モデル」への挑戦
木村 真樹(コミュニティ・ユース・バンクmomo 代表理事、あいちコミュニティ財団 代表理事)

《おしゃべりアゴラ》
トンカ書店

《わたしのライブラリー》
一人の人間としての自分らしい感情とは

《お知らせ》
2014年4月『ウォロ』が変わる。
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2014年1月号(通巻491号):V時評

自分で考え、積み上げていく
 「NPOの信頼性向上」のために必要な視点


編集委員 水谷綾


 特定非営利活動促進法(NPO法)ができてから15年が経過した。NPO法人数は4万8000を超え、NPO法人の認知度があがっていく反面、 大阪では2013年11月、国の求職者支援制度の支援金を不正受給した詐欺容疑でNPO法人関係者が逮捕される事件が発生。メディアが連日大きく 取りあげる事態になった。メディア沙汰で言えば、岩手県山田町で7億円という委託金を受けながら、地域住民を突然解雇したNPO法人「大雪りばぁ ねっと。」の事件も記憶に新しい。このようなニュースが流れるたび「NPOって何だか怪しい……」という声があがり、「NPOの信頼性の向上が必 要」と強く指摘されるようになる。

■NPO自身も「監督強化」を望んでいる?
 こういった世論が背景にあってか、13年春より内閣府が今後のNPO政策のあり方を考える「共助社会づくり懇談会」を開始し、その検討も終盤に 入った。懇談会では、NPO法人等が地域のつながりを生かして共助的に支え合う活動を推進するための支援策を、NPOの「人材面」「資金面」「信 頼性の向上」の三つの切り口で検討している。「信頼性の向上に関するワーキング」が必要とされるのも、冒頭の事件等によるNPO不信(?)を払拭 しようというねらいだろう。NPO法人の情報開示や会計処理のあり方に加え、信頼を毀損する団体への厳格な対処など、NPO法人への指導・監督の あり方が論点になっている。
 12月24日開催の上記懇談会で報告された「平成25年度特定非営利活動法人実態調査(概要)」(執筆時点では12月中に公表予定とされてい る)によると、NPO法人に「必要と考える行政による環境整備」の一つに、NPO法人の15%が「所轄庁からの監督強化等によるNPO法人の社会 的信頼の向上」と回答している。また、認定・仮認定NPO法人の回答に絞れば21%を超える結果であった。これは、NPO法人自身も広がる社会不 安をなんとかしたいという願望を持っているのか、それとも、「権威による監督や制裁」にすがりたい意向と見た方が良いのか、少し悩ましい結果であ る。

■誰のための、何の信頼性が必要なのか?
 実際「信頼性の向上」と言っても、「誰から、どういう信頼を得たいのか」という視点を確認した上で、それを踏まえたさらなる議論が必要だと感じ る。
 例えば、冒頭の事件で言えば、対象となったNPO法人は、行政のポータルサイトに事業報告書や財務諸表も公表し、最低限の情報公開をしていた。 ただ、肝心の内容は、決算書の貸借対照表がその体をなしていなかったり、決算なのに数字を丸めていたりと、通常ではありえないものだった。この程 度の報告しか作成できない組織に公金を大量に投入した側の問題であるはずだが、そこに踏みこまないまま、NPOの情報公開の脆弱さばかりを問うの は、問題の本質を避けているようにも映る。情報公開においては、「(資料を)見る側」「(事業を)出す側」の力量形成の必要性を問わずに一面だけ 捉えた議論を進めても、本来の公共的課題の解決にはつながっていかないだろう。
 一方で、活動実態がない法人や3年間事業報告書の提出がない法人に対し厳しく対処せざるをえないという方向性は支持したい。NPO法人制度は、 「市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進する」ことを目的に、行政の関与・監督を極力排除することで市民の自由 な貢献活動を進めようとしてきたし、認定NPO法人制度も実績判定主義を採用し、主に寄付という収入面の実績によって公益性を認定しようというフ レームである。その理念を担保しようとするなら、法人の「実績」「実態」をもとに、法律の範囲内で一定程度厳格に対応していくことはやむを得ない と考える。
 また、懇談会が出すワーキング報告には、寄付者等の支援者にわかりやすい報告書等に改善できるよう、所轄庁が発行する手引きを改善することも盛 り込まれている。本来、NPO法人の事業報告書は自由に作成すれば良いのだが、手引きの書式に従えば、法人運営上、支障をきたさないだろうと NPO法人の実務者も思いがちで、情報公開の自由なあり方を阻んでいる側面も否めない。実際、どんなに手引きの見本(や書式)を改良しても、行政 の視点だと市民活動が持つ自由さや豊かさを表現することは難しい。だから、手引きの改編だけに頼るのではなく、NPO自身が多様なあり方を開発 し、提示していかなければならないだろう。

■「WHY(なぜ)」を広げることによる、信頼性の獲得
 突き詰めれば、立ち返るべきところは、私たちはなぜNPOでやっているのか、という原点ではないだろうか。行政ではできない、市民の自由な発想 と動きで公共を立ち上げようとする「運動体」としての機能を、もう一度問いなおすことにもつながる。公共的な活動を進める組織であるNPOは、自 組織の中にも、それぞれが理想とする社会形態の実践が必要だと思う。例えば、あなたがより自由で民主的な社会を創りたいのではあれば、あなたたち の組織をいかに民主的に運営するのか、という視点が大事だ。また、地域や市民が学びあう機能を持ちたいなら、自組織の中の学習機能をどう高めるか という実践も必要だろう。活力があって風通しの良い社会を創っていきたいなら、風通しのよい状況の中で、メンバーが活力を持って、団体が掲げた大 義(もしくは、ミッション)のために働くことができているか、が問われる。結局、そういった姿勢や物語に人々は共感し、関心を寄せることから〝信 頼性〟が獲得され、これらの積み上げが信頼性の向上につながっていくと信じたい。
 権威ある主体に管理され、取り締まってもらおう――この風潮が行きつく先は、思考停止型の社会でしかない。活動を進める人が「なぜ、それをする のか」という物語を分かち合いながらゆっくり広げていく中で、組織の信頼性も醸成されていく。団体情報を正しく、わかりやすく示そうとする姿勢 も、その分かち合いの一つである。つまり、私たちの内発的なものからしか、人々や世間からの「本当の信頼感」を得ることはできない。それは、今 日、明日でできることではないのだ。私たちが各々に掲げる大義(もしくはミッション)に向かうためにも、自分たちがどうありたいかを考え、それぞ れの喜びや楽しみ、苦労を分かち合うものとして、自らのやり方によって信頼性を獲得しその向上を目指そう。これを新年初頭にあたっての抱負の一つ としたい。
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2014年1月号(通巻491号):特集

《特集》
長年活動してきたボランティアが認知症に・・・・・・
~その実情と私たちへの課題~



「ずっと活動してきたボランティアが認知症になったようで、活動に支障がでてきた。しかし本人はやる気があるのでどのように対応したらいいか」
この1~2年、福祉施設や病院のボランティアコーディネーターから、そんな悩みが聞かれるようになった。
すでに日本の高齢化率は約24%。ある調査によると65歳以上の高齢者のうち認知症有病率は推計15%とされ、439万人にのぼるというから、こうしたケースが出てきてもおかしくはない。現在はまだ少数だろうが、おそらく今後、さまざまなボランティアの活動現場で同様の問題が生じてくるものと思われる。
今回の特集では、その実情や対応の状況について検討する。


編集委員 筒井 のり子
特別寄稿 大熊 由紀子(国際医療福祉大学大学院教授)
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