2013年10・11月号(通巻489号):目次

■市民活動総合情報誌『ウォロ(Volo)』
2013年10・11月号・目次
(11月1日発行)
定価500円(年間購読10冊:5000円)

《V時評》
NPOが「ブラック団体」と言われないために

《特集》
赤い羽根共同募金
 改革をリードする地域の底力


《うぉろ君》
「ダイバーシティ」って?

《語り下ろし市民活動》
「僕は僕でよかったんだね!」
「子どもが原点」を貫き、フリースクール28年②
奥地圭子(NPO法人東京シューレ理事長)

《私の未来予想図》
アートと市民活動の垣根を越えた「当たり前」のことへ
小川直人(せんだいメディアテーク学芸員/logueメンバー)

《この人に》
長谷川集平さん
(絵本作家・ミュージシャン)

《私のボランティア初体験》
サンダル履きのボランティア~病院と地域の間で
信田禮子(さかいボランティア連絡会会長)

《記事広告》
ファンドレイジング・日本2014
~あなたとともに、次のステージへ。
2014年2月1日、2日開催・申込受付中
対談 鵜尾雅隆×早瀬昇

≪現場は語る≫
福祉施設での個別ニーズをコーディネーションする
 情緒障害児短期治療施設「那須こどもの家」におけるボランティアの取り組み
を追う
二見令子(国際医療福祉リハビリテーションセンターボランティアセンター ボ
ランティアコーディネーター)

《東日本大震災岩手から》
二つの地区を結ぶ、架け橋に
 ミニコミ紙『いちご新聞』
岩崎真実(情報ボランティア@仙台)

《昼の月》
どこを向いてたの?

《おしゃべりアゴラ》
「モモの家」~つながりのなかで、はたらき、まなび、あそぶ

《わたしのライブラリー》
憲法改定について考える1冊

《市民視点の映画を紹介する共感シネマ館》
必見!ドラマチックな環境ドキュメンタリー映画
今井友樹(記録映像作家)

《パラボラ・ニュース》
シンポジウム「水俣病に向きあった医師たち~今とこれから~」今月開催、ほか

《市民活動スクエアCANVAS谷町のご案内》
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2013年10・11月号(通巻489号):V時評

NPOが「ブラック団体」と言われないために

編集委員 早瀬昇

■「ブラック企業」への注目

 「ブラック企業」という言葉をよく耳にするようになった。意図的・恣意的に過酷な労働搾取を行う企業をさす言葉で、元々、求人広告業界の隠語に由来するなどと言われている。
 08年に『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』(新潮社)が、昨年には『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(今野晴貴著・文春新書)が出版された。今年7月の参議院議員選挙でも、ある候補者の経営する企業が「ブラック企業だ」と批判を集め、これも影響してか厚生労働省が9月から約4000社を対象に実態解明の調査を始めた。
 この背景には公正な労働環境が崩れ出している現実がある。サービス残業、過労死、偽装請負、派遣切り、雇われ店長、名ばかり管理職、追い出し部屋……。それこそ〝ブラック〟な言葉が次々に生まれている。

■市民活動団体での労働環境は?

 ひるがえって市民活動の世界で働く人たちの環境は、どうだろうか?
 内閣府が昨年8月に発表した「NPO法人実態調査23年度版」によれば、NPO法人で働く常勤有給職員1人当たりの人件費は平均207万円。国税庁の「民間給与実態統計調査結果」では平均年収409万円だから、ほぼ半分だ。しかも平均年収の34%は150万円以下、22%は100万円以下だった。
 給与水準が低いだけでなく、時間外手当などの整備も進んでいない。NPO法人ユースビジョンが09年に行った「若年層NPO・NGOスタッフ就業実態調査」によると、回答者の85%には超過勤務手当が支給されていなかった。時間外労働自体がない場合もあるが、実労働時間は平均9・1時間だから、この実績は低すぎる。また全体の42%で昇給があるものの、55%は昇給がなく、4%は減給されたという。そういう背景からか他の職場でも働いている人が16%もいた。また厚生年金保険、健康保険の加入率はそれぞれ84%、87%で、退職金制度のある団体は22。10人以上を雇用すると就業規則の制定が必要だが、14%で規則が作られていなかった。
 実利的なメリットがないのに、こうした調査に回答する団体は、きちんとした運営に努めている場合が多い。そうした団体の調査結果であることをふまえると、実際はもっと厳しい状況だと考えられる。

■「労働者」と「活動家」の関係

 この背景には、まず財政力の弱さがある。時間外手当も払いたいし退職金制度も整備したい。しかし、財政的裏付けがないと、このような事態が起こりがちだ。
 ただし、ここで当の職員が「搾取だ」と不満を示すことは実は少ない。ある程度、厳しい労働環境であることを覚悟しつつ、進んで職員を志願している場合が多いのだ。いわば、「労働者」である以前に「活動家」として事業に取り組んでいるわけだ。
 この「労働者」と「活動家」の関係は複雑だ。そもそも「労働者」とは賃金を受け取る代償として雇用主の指揮監督下で労務を提供する者をいう。雇用主や自営業者は、働いてはいるが労働者ではない。従業員、使用人といった言葉が象徴するように、労働者とは雇用主に従属して使用される立場を指す。
 しかし、市民活動団体では、自ら課題に気づき、その解決に向けて主体的に努力する姿勢も期待される。雇われているというより、「活動に専念できる専従者として関わる」と言う方がしっくり来る。
 雇用主=組織のリーダーに対して弱い立場になりやすい職員を守るため、労働者としての保護はもちろん重要だ。しかし、保護を徹底すると、所定労働時間を超えれば時間外勤務となり、所属長の許可がなければ仕事ができなくなるなど、活動家としての主体的な関わりが制約される場合も出てくる。
 保護と規制は裏返しの関係となるが、この居心地の悪さをどう解消すれば良いだろうか?

■二つの活動ルールを整備しよう

 ここまで職員の関与だけを考えてきたが、市民活動団体には多くの市民がボランティアとして参加することも多い。上記の「活動家」という立場は、このボランティアと共通するものだ。
 そこで、市民がボランティアとして参画する場合のルールと、職員=労働者として関わるルールとを分け、図のように整理することが必要だろう。 ボランティアが団体に関わる上では、「意欲的に活動できるためのルール」が必要だ。具体的には、企画段階からの参加、必要な情報の共有、フラットな関係で議論し合える環境整備、研修の機会、職員・ボランティア間の適切な役割分担、交流の機会などを保障することが必要だ。その一方で、ボランティアには多様な参加のスタイルがあることをメンバー間で認め合うことや、それぞれの役割分担に固執しすぎず積極的に助け合うことなど、守りたいルールも皆で確認したい。
 そして、「意欲的に活動できるためのルール」は職員にも適用され、職員自身も意欲的に仕事を進められるよう配慮されなければならない。職員の活動家としての活動環境は、このルールで保障されるべきものだ。
 その上で、職員が「ディーセントワーク」(働きがいのある人間らしい仕事)ができるよう、労働法規をきちんと守った就業規則を作らねばならない。就業後や週末に活動する勤労者ボランティアとの協働を考えると、フレックスタイム制や柔軟な勤務シフトの導入が必要な場合もあるだろう。
 財政力の強化とともに団体運営上のルールを整備することで、活動しやすく働きやすい場を目指したい。
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2013年10・11月号(通巻489号):特集

《特集》
赤い羽根共同募金
 改革をリードする地域の底力


 毎年10~ 12月に展開される赤い羽根共同募金。
 どのまちでも目にする「赤い羽根」の認知度は高いが、募金額については1995年をピークに減少を続けている。中央共同募金会は07 年の答申を受け、都道府県共同募金会・市町村共同募金委員会をはじめとするさまざまな関係者を巻き込み、改革を進めた。
 共同募金運動を「じぶんのまちを良くするしくみ」と伝え、各地の改革を横ぐしにするキーワードは「当事者性」「社会課題性」「募金手法の開発」「共感と参加」。
 先駆的でユニークな各地の実践を伝え、共同募金の改革、新たな展開が地域社会の課題解決に向けて与える影響を、各地の実践を推進する担当者の熱き思いから、探ってみた。


1.共同募金の改革

中央共同募金会 
企画広報部 阿部 陽一郎

2.黒部市共同募金委員会「あったか雪募金」~雪と共に生きる募金

黒部市共同募金委員会 主査 小柴 徳明

3.福井県共同募金会「パートナーミーティング」~市民や幅広い関係者がつながる場づくり

福井県共同募金会 主任 鷹尾 大英

4.山口県共同募金会「募金百貨店プロジェクト」~寄付つき商品の開発から

山口県共同募金会 ディベロップメント・オフィサー 久津摩 和弘

5.参加の力が運動を変える

大阪ボランティア協会事務局次長、共同募金改革モデル事業パートナー 永井 美佳
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