2012年11月号(通巻480号):目次

《V時評》
寄付が生み出す「関係性」という力 


《特集》
協同組合とNPO-その連携の可能性


《うぉろ君の気にな~る☆ゼミナール》
「南海トラフ」って?

≪私のボランティア初体験≫
人と交わり、自分と向き合うボランティア活動
片山 信彦さん
(特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン常務理事・事務局長)

≪語り下ろし市民活動》
一人の子どもと徹底的に向き合い「愛の手」探して半世紀②
岩 美枝子さん(社団法人家庭養護促進協会理事)

《昼の月》
臨認知症体験

<この人に>
杉本 彩さん
女優・タレント

《現場は語る》
「プリズムホールをどんどん好きに! ますます積極的に!
プリズム市民サポーター」
…大久保 充代(八尾市文化会館プリズムホール館長)

≪私の未来予想図≫
自産自消の輪が農業を変える!
…西辻 一真(株式会社マイファーム代表取締役)

《わたしのライブラリー》
無差別都市爆撃の発想と歴史~日本人は単なる戦争被害者ではない
『戦略爆撃の思想~ゲルニカ、重慶、広島』

《東日本大震災-宮城から》
見えない「みなし仮設」 ある4コマ漫画ブロガーからのメッセージ
岩崎真実(情報ボランティア@仙台)

《パラボラ・ニュース》
湯浅誠さんらが大阪で「AIBO」(相棒)
課題解決へ市民企画をサポート

《某覧提案》&《特集こぼらばなし》
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2012年11月号(通巻480号):V時評

寄付が生み出す「関係性」という力 

編集委員 水谷 綾

■ノーベル賞受賞が喚起したもの
 2012年10月、日本中が沸いたニュースとして、山中伸弥・京都大学教授のノーベル賞受賞があげられるだろう。病気やけがの再生治療に道を開くとされるiPS細胞の発見は、難病などを抱える人たちに大きな希望を与えるもので、その功績が評価された受賞だった。
 山中教授への注目は、それだけに留まらなかった。彼自身が2012年京都マラソン完走にチャレンジし「寄付」を集めようとした取り組みが世間の関心をひいたのだ。これは、JustGiving Japan(※1)という、何らかのチャレンジを行う個人の活動に共感する人から寄付を集める仕組みの一つである。このウェブサイトには、山中教授が研究費用1千万円を募ろうと、「現在、国から多額の研究資金をいただき、研究活動を進めておりますが、公的資金は年度毎に変動し、将来が約束されているわけではありません。実際、平成26年度以降の十分な資金確保のめどがついておりません。(中略)iPS細胞研究基金へ、民間の方々からのご支援をお願い致します」というメッセージが記されている。これだけの世紀の大発見をしてもなお、将来の保証がない不安から、教授自らが率先して資金を集めようとしている姿に、多くの人が感じるものがあったのだろう。受賞決定後、寄付額は2千万円を超えそうな勢いになっている。

■資金不安社会の到来?
 NPOも、いつものことながら資金の悩みが尽きることはない……。公的資金の先細り感が強い昨今、成果を示しにくいものに対する評価は厳しい。NPOが取り組む公共的な事業と言われるものも、山中教授の悩みと同じく、将来の保証はまったくなく、常に資金に対する不安がつきまとう。だからこそ、私たちも本来は、多様な財源を確保した運営をすると良いのだが、日々の活動に追われ、これもなかなか厳しい。
 こういった不安な状況の中で、「寄付」という資金源が次の打つ手として注目されている。特に、昨年度、NPO法の改正に伴い認定NPOのハードルが下がったことが、この動きを後押ししているのだろう。これまで収入の2割以上の寄付がなければパブリックサポートテスト(PST)をクリアすることはできなかったが、3千円以上を100人以上から集めることができればPSTをクリアするという新基準が加わった。「とにかく100人集めれば、認定が取れる!」と、前向きに寄付集めに取り組み始めたNPO法人が増えてきているのだ。

■単なるおカネ集めではない本質
 地元・大阪の様子も変化している感がある。緩和前の10年間、大阪府内の認定NPO法人数は、(3000近くある法人数のうち)4法人のみだった。しかし、新制度が本格始動した今春以降の半年間で、さらに四つの認定NPO法人が生まれ、全部で8法人に(※2)。それだけではない。「認定NPO取得キャンペーン」と銘打って、3000円以上の寄付者獲得を目指すNPO法人が増え、すでに100人獲得を達成したところも出ている。
 認定NPO法人制度は、寄付者にとってメリットが大きい。しかし、認定が取れたから自動的に寄付が増えるものでもない。「何か解決したい、協力したい」という思いを持った人が、「頑張ってなぁ」と団体に託してくれる資金が寄付なのである。私たちは、何かと「寄付」を魅力的な「資金」として見てしまいがちで、そこに託された「思い」を見落としがちである。だからこそ、NPOは立ち止まり、寄付者側に立って、「なぜ、私たちに寄付してくれるのだろう」ということを常に考える必要がある。ただ「自分たちを支えて!」ではなく、「一緒に何かを」という「with(ともに)」の精神に、NPOが応える心の用意があるのか、これが最大のポイントになるだろう。そう、これはボランティア活動の
本質とまったく一緒なのだ。
 寄付をする側が、どんな思いで、どんなタイミングで、どんなやり方なら寄付をしたくなるか。そこに、NPOも思いを馳せられないと、認定の有無だけでは、多くの寄付を集めることはできない。

■少しでも有効に、丁寧に
 提供されるのは物言わぬ「おカネ」であっても、そこに「課題を一緒に解決したい」「団体を応援したい」という気持ちが込められている分、もらった側は大いに励まされる。これは一度でもしっかり寄付を集めたことがある人ならわかるだろう。寄付は、託す側と受け取る側の思いをつなぐ『関係性』の財源である。そんな関係性のあるお金を無碍には使えない。だから、少しでも有効に、そして丁寧に使いたい気持ちになるのだ。
 「公的資金がほとんど期待できないから、民間から資金を!」という動機からなら、何も無理に寄付という資金でなくても良いだろう。冒頭の山中教授の例で言えば、あれほどの発見なのだから、企業等からも相当の引き合いがあったはずだが、なぜ彼は寄付という形をとったのだろう? 実際のところ、そこは直接聞いてみないとわからない。そこで、私はこう思うことにした。「みんなで夢を見る場を、自分が創ってみよう」と山中教授は考えたのではないだろうか。つまり、社会との「関係性」を生み出したかったのかもしれない、と。
 認定NPO法人になるための「100人ゴール」は、単なるおカネ集めで終わっては少し寂しいし、あまりにもったいない。100人の一人ひとりとどう「関係性」を結ぶか――寄付は、社会に対する投げかけの手法なのである。
 寄付は、愛のように、奥深いのだ。

■予告■ 
大阪ボランティア協会では、大阪府内のNPO支援センターとの連携企画として、「ファンドレイジングフォーラム in 大阪」を開催します(開催日:2013年1月20日(日))。寄付について、とことん考えるフォーラムです。ぜひご参加ください。詳細は、後日、協会ウェブサイトにて!

※1:JustGivingは、2001年に英国で始まったファンドレイジングを促すオンライン寄付ツールの一つ。日本ではチャリティプラットフォームが2010年よりこの仕組みの日本版「JustGiving Japan」として開発。寄付を通じた社会参加の場を提供している。http://justgiving.jp/
※2:当協会の専用サイト「寄付を集めて認定を目指そう」専用サイト(http://www.osakavol.org.
mesazo)には、大阪府内の認定法人数を毎月掲載している(2012年9月末現在、認定NPO法人8、仮認定NPO法人1)。
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2012年11月号(通巻480号):特集

《特集》協同組合とNPO-その連携の可能性



■特集
読者の皆さんは「協同組合」と聞いてまず何を思い浮かべるだろうか? 生協や農協、また漁業協同組合や信用組合だろうか? 「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という標語を思い浮かべる人もいるかも知れない。しかし、今年が国連の定めた「国際協同組合年」(以下「IYC」と表記)であることをご存じの方はあまり多くはないかもしれない。その協同組合年があと2カ月で終了する時期に当たり、改めて協同組合の歴史と現状、そしてNPOとの連携や協働の可能性などについて考えてみた。

■特集「こぼらばなし」 ウォロ編集委員・談
◆市民活動の世界で最初にお世話になったのは生活クラブ生協ということもあって、非営利協同組合セクターとNPOセクターの間には、もっと具体的な協働事例が生まれてくれば、と思っています。ちなみに大阪ボランティア協会と生活クラブのスタートはともに1965年。2015年には半世紀を迎える東西で、なにか連携できないものか、と妄想しています。(影)

◆「きょうどう」を漢字で書くと、「協同」「共同」「協働」「共働」といろいろある。すべて「みんなで一緒に何かをする」という意味を含むが、「協同組合」の協同の英訳は「Cooperative」だ。「ともに」に加えて「つながる」という要素をもつ。今特集の連携事例はまさにそれをほうふつとさせる。(村)

◆「一人はみんなのために、みんなは一人のために」。協同組合活動でよく使われる標語だ。問題は、この「みんな」の中身。協同組合活動では、この「みんな」は組合員のこと。それが、組合員のみでなく「不特定多数のみんな」になったとき、協同組合は共益組織から公益組織となる。そのためには乗り越えなければならない制度の壁もあるが、いま各地で、その壁を乗り越える試みがさまざまにおこなわれている。(枕流)
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