2011年5月号(通巻465号):目次

《V時評》
寄付の力を信じよう


《特集》
被災者主体、震災に立ち向かう市民たち


《支援活動レポート》
避難者の交流会「がんばろう東北 住民のつどい」を開催

《支援活動ニュース》
「被災地に行く前に活動体験者の声を聴く会」開催

《VOLO TOPICS》
放っておけない~関西からできること

《私のボランティア初体験》
今につながるV初体験
田尻 佳史さん(特定非営利活動法人 日本NPOセンター 常務理事・事務局長)

《うぉろ君の気にな~る☆ゼミナール》
受援力って?

《ゆき@》
施設・入院は「避難所生活」w(゜o゜)w
・・・大熊由紀子(福祉と医療、現場と政策をつなぐ「えにし」ネット)

《この人に》
白井 文さん(前 尼崎市長)

《リレーエッセイ 昼の月》
囲炉裏端にて

《いっしょがいいよね-Better together-》
こたつねこ博士の「誰でも解る地域SNSの基礎講座」最終回

《コーディネートの現場から・現場は語る》
多様なボランティア・市民活動をつなぐとは?
~いま、コミュニティ型中間支援組織のコーディネーターにできること~
 ・・・倉本 しのぶ(枚方市社会福祉協議会)

≪探究!SR(社会的責任)時代の企業市民活動》
地域社会はパートナー
-地域の人たちと取り組み、もっと豊かな社会づくり

《わたしのライブラリー》
有益か危険か(benefit or hazard)?
-人間を超えたアンドロイドの反乱
『ブレード・ランナー ファイナル・カット』
『わたしを離さないで』

≪おしゃべりアゴラ≫
つながりの場「ALO ARO」

《パラボラ・ニュース》
被災地のNPO法人・認定NPO法人 報告等の期限延長が決まる

《某覧提案》&《特集こぼらばなし》
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

2011年5月号(通巻465号):V時評

寄付の力を信じよう



編集委員・早瀬 昇

■行きたいのに行けない
 阪神・淡路大震災を大きく上回る甚大な被害をもたらした東日本大震災の発生から、まもなく2カ月。大地震に加え、大津波が被災地を襲い、地域の生活基盤を根こそぎ奪われる被災地が広範囲に生まれた。その上、いつまでも終息しない原発事故により先の見通しが立てられず、復興のあり方を考えることさえ困難な人々が数万人に上っている。阪神・淡路大震災や関東大震災などでも経験しなかった深刻な事態だ。
 さらに今回、特に震災から約1カ月は被災地へのアクセスが難しく、ボランティアとして出向くことが困難な状況にじりじりする状態も続いた。鉄道に加え、製油所なども数多く被災したため深刻なガソリン不足が起こったからだ。
 それに変電所や下水処理施設をはじめ多くの社会基盤が破壊され、当初は食料や水、燃料などを持参する「完全自立」型でないと困る、といった厳しい条件が求められた(今は状況が改善しつつある)。こうした条件を整備して出向ける人は少なく、被災地が広大であるにもかかわらず、震災1ヶ月後の集計で、被災地で活動したボランティアの数は、阪神・淡路大震災の5分の1程度にとどまっている。
 震災の発生翌日から被災地に電車で出向くことができ、日帰りでの活動も多かった阪神・淡路大震災とは大きく異なる状態だ。

■「義援金」の課題
 そのような中、被災された方々を寄付で応援しようという動きが活発化した。
 Yahoo!の寄付サイトでは数秒で数十万円単位の募金が積み上がっていった(4月28日現在で約14億円)し、企業の寄付も億円単位のものが少なくない。震災から2カ月を経ぬ前に阪神・淡路大震災時の義援金総額1千793億円を超える勢いだ。
 もっとも、義援金には悩ましい側面がある。様々な立場の被災者がある中、どう基準を設定すれば「公平」な配分となるかの検討に時間がかかり、とりあえずの第一次配分は比較的早いものの、それ以降の配分に相当な時間を要するのだ。阪神・淡路大震災の際も、第一次配分が決まったのは1月29日(1
2日後)だったが、第二次配分は4月21日(3か月後)、第三次配分は翌年7月19日だった。
 また、募金総額と被災者数のバランスにより、配分額が大きく変わってしまう点も悩ましい。募金総額は報道量などによって増減し被害規模に完全には比例しないが、配分額は被災者数によって大きく変わるからだ。
 この矛盾が顕著に表れたのが阪神・淡路大震災だった。被災された方があまりに多く、配分額は全壊世帯の平均で約40万円だった。有珠山噴火の際には義援金総額は22億円だったが、全壊世帯の平均配分額は約500万円、奥尻島が津波に襲われた北海道南西沖地震では190億円が集まり平均配分額は
約400万円、新潟県中越地震では348億円が集まり、平均配分額は約380万円だった。
 このように義援金は、被災者の数が多い場合、相対的に大きな力になりにくいという課題もある。
「活動支援金」に思いを託そう今回、この「義援金」と対比される形で注目されたのが「活動支援金」、つまり被災地で活動するNPOの活動を支える寄付だ。
 このタイプの寄付も、従来からそれぞれのNPOが募集していた。しかし、市民や企業からすると、どの団体に寄付すれば良いか分からないという課題があり、さらに一部の著名な団体ばかりに寄付が偏ることも少なくなかった。
 しかし今回、中央共同募金会の「災害ボランティア・NPOサポート募金」、日本NPOセンターなどの「現地NPO応援基金」のように、広く寄付を募り、配分先のNPOを公募・選考し、被災地で活動するNPOに資金を託す仕組みが登場した。
 これらの寄付金は、NPOが被災者を応援する活動、つまり炊き出しや被災地の片づけなど、さまざまなプログラムの資金として、すぐに活用されることになる。
 しかも、この「活動支援金」には、早さに加えて重要な長所がある。日本ファンドレイジング協会の鵜尾雅隆常務理事が主張する「テコの効果」だ。いわく、託された寄付をもとに、NPOのスタッフがボランティアとの協働体制を充実できれば、ボランティアなどの活動が活性化し、寄付額の何倍もの効果が生み出されやすいという。
 この「テコの効果」は、多くのボランティアが参加している団体ほど大きくなる。寄付の推進とボランティアの参加促進は、相乗効果をあげる関係にあるわけだ。

■コーディネーション力検定で人件費助成が可能に
 この「活動支援金」に関して、今回、制度の壁が一つ取り除かれた。共同募金の配分では、従来は人件費の支出が認められていなかったが、今回、上記「サポート募金」の配分では、被災地で活動するNPOの専門職スタッフに対する人件費支出が認められたのだ。
 「サポート募金」の場合、企業の寄付は全額損金算入が可能だし、個人の場合、所得税に加え地方税も控除され、かつ高額所得者に有利な所得控除と所得の少ない人に有利な税額控除を選べる(4月27日に震災特例税制法が成立し、上記の所得税と地方税の税制優遇が、サポート募金と認定NPO法
人への震災関係寄付で適用されることになった)。
 手厚い税制上の優遇策がある反面、その取り扱いについては財務省との交渉が必要で、厚生労働省、中央共同募金会、さらに上記サポート募金の運営委員に加わったNPO関係者らの間で熱いやり取りが続いた。
 このやり取りの際に、人件費の支出を認める大きな鍵となったのは、日本ボランティアコーディネーター協会が進めている「ボランティアコーディネーション力検定」だった。検定を通じて専門職としての確立が進んでいる実績も考慮されたことから、今回の制度改革が実現できた。「市民の社会
参加を進めるプロをめざして」を合言葉としつつ、主にボランティア活動の推進に取り組んできた同協会の活動が、寄付の促進を進める役割も果たしたわけだ。
 もっとも、寄付とボランティアは、共感によって進められる市民の社会参加の基本スタイルとして、両輪の関係にある。寄付もボランティアもできるならば、それに越したことはないし、寄付だけ、ボランティアだけでも大きな意味がある。それぞれのペースで、被災された方々を応援し続けたい。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

2011年5月号(通巻465号):特集

《特集》被災者主体、震災に立ち向かう市民たち



■特集「こぼらばなし」 ウォロ編集委員・談

▶今月号のウォロ発行にあたっても、震災に伴う様々な課題の解決に取り組みながらの編集作業となりました。現地でのボランティアコーディネーションや税制優遇を伴う「活動支援金」の制度設計など、直面する現場の課題への対応に追われつつの編集となり、いつも以上に執筆が遅れ、皆さまにウォロを届けるのが大きく遅れてしまいました。申し訳ありません。(漫)

▶被災者のニーズに応えることはもちろん大前提だが、震災後2 か月たち、一人ひとりのニーズも多様化している現在、現地のニーズを的確に汲み上げるのはだんだん困難になっていくかもしれない。外部の者が想像の範囲内で現地のニーズを考え出すのは、支援の押し付けに他ならないだろうし。「ニーズ」について考えさせられた今回のインタビューであった。(村)

▶ 「必要なものはありますか? 明後日に届けます」物流という「交換の経済」が機能しなくなったとき、「贈与の経済」が動きはじめる。なので物資の支援はロジスティクスを考えてから、というよりも災害初期においては、必要なもの、必要な人をきっちり確認できれば、ピンポイントで贈ることがよいのかも知れません。考えながら突っ走る、という長距離走的支援を続けていきたい。(か)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )