大阪ボランティア協会・事業レポート

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裁判員ACT通信 29号 公開セミナー「科学捜査とは」の開催報告

2015-10-15 13:19:12 | 裁判への市民参加を進める会(裁判員ACT)
//////////////■□ 裁判員ACT通信29号 □■//////////////

 2015年9月26日に裁判員ACTの公開講座が開かれ、
京都府警科学捜査研究所(科捜研)の平岡義博・元主席研究員と、
甲南大の笹倉香奈准教授が市民ら約70人を対象に講演しました。
科学捜査や鑑定結果をうのみにすると、冤罪の原因になるとの指摘に、
裁判員に選ばれる可能性がある参加者は熱心に耳を傾けていました、

●平岡・元主席研究員「過信は禁物」
 第一線の現場で33年勤め上げた平岡さんは始めに、科捜研の
仕事内容を説明。「みなさん凶器が何か分かりますか」。殺人事件の
現場見取り図をプロジェクターで紹介し、被害者の携帯電話に残された
円弧状の傷跡と赤色塗料から「消火器で殺害された」との結論を導いた。
このように科捜研は、現場に残された物的資料を科学的に分析し、
裁判の証拠資料となる犯人情報を提供するのが主な仕事だという。
高度な専門的知識を駆使する科捜研を舞台にしたドラマは、
日本だけでなく、アメリカでも人気だ。ただ、平岡さんは
「何が正しくて何が変か、どこまで証拠が信用できるかは
よく考えなくてはいけない」とくぎを刺した。

例えば毛髪鑑定。ドラマでは刑事が「現場に残された毛髪を
鑑定した結果、非常に珍しい表面上組織をしており、あなたの
毛髪と一致している」と犯人を捜し当てる場面がある。
しかし、毛髪には科学的に個人の特徴を分類したデータ集積が無く、
人と獣の判別は可能だが、個人を特定するほどの証拠能力はないという。
 痴漢の場合、手に被害者の服の繊維が残っていることがあるが、このときも
偶然に付着した可能性や、たまたま同じ繊維だったことも考えられる。
平岡さんは実際に電車に乗り、手を中空にかざして移動した後、科捜研で
調べた結果、多数の繊維片が検出された実体験も明らかにした。
 組織としての科捜研の問題点も指摘した。警察署の刑事部内の一機関に
置かれる日本の科捜研では、刑事部長ら、捜査を指揮する側の意向が
伝えられる恐れがあるという。「イギリスのように警察組織の外に
独立した機関であるべきだ」と話した。予算が限られ、京都府警の科捜研は
小所帯で鑑定に掛かる費用を工面するのも大変だという。
採用の仕方についても「警察官、事務職員の横滑りの禁止」をし、
採用の機会を均等化して優秀な人材を確保すべきだと述べた。
 「DNA型鑑定」の基本についても説明した。
血液を構成する「赤血球」、「白血球」、「血小板」のうち、
「DNAが採取できるのはどれでしょう」とのクイズに会場全体が参加。
正解の白血球にたどり着けたのは8分の1ほどだった。
 ほかにも拳銃の線条痕や、消されたり改ざんされたりした文字、
印鑑の類似性、ポリグラフ検査などの鑑定についても紹介があった。
 平岡さんは「市民も警察も科捜研なら何でもできると思いがちで、弁護人も
DNA型が証拠では勝ち目がないと思いがちだが、誤解と過信はすべきではない」
と締めくくった。

●笹倉准教授「検証が必要」
 笹倉准教授は、冤罪の「発見」と、その原因究明、科学的証拠の見直しを
テーマとした、科学鑑定に対するアメリカの歴史的経緯を解説した。
アメリカの刑事司法でも、近年まで、最高裁判事でさえも「冤罪はない」
という間違った前提に立っていた。だが1990年代以降、技術が発達した
DNA型鑑定により、相次ぐ再審無罪判決が出たことが、制度改革の
引き金になった。DNA型鑑定による雪冤者(冤罪が証明された人)の数は
330人で、うち死刑確定者は20人に上る。笹倉准教授は一連の改革を
「イノセンス革命(Innocence Revolution)」と呼ぶ。冤罪被害者の救済をする
「イノセンスプロジェクト(Innocence Project)」が広まった結果、全米各州に
60~70程度の団体が発足。日本でも設立に向けた準備が進んでいる。
 冤罪の原因について、250件の雪冤事件を分析すると、誤った科学鑑定が
裁判の事実認定を間違った方向に導いていたケースが74%に上ったという。
誤った目撃証言の76%に次いで多い数値だ。このため、全米科学アカデミーは
2009年、報告書「合衆国における法科学の強化に向けて」を公表。
これまでの火災、血清、毛髪、歯痕の鑑定や、指紋・掌紋の照合、
銃器鑑定は「科学性に欠ける」と結論付けた。
さらに「従来の法科学鑑定の方法を見渡しても、DNA型鑑定を除き、
安定的に高い確度で、ある証拠がある個人由来のものであると言うことを
示すことができる能力を持つ鑑定方法は存在しない」とも指摘。
連邦政府主導の法科学分野の強化や、捜査機関から独立した
新しい組織の創設を提言した。
 笹倉准教授は、指紋鑑定や毛髪鑑定、火災鑑定でも捜査側が恣意的に
鑑定結果を導いた具体例も紹介。アメリカでは捜査手法や、鑑定証拠の
見直しが進んでいる一方、日本では今も裁判所が簡単に「科学的証拠」を
採用する傾向があり、DNA型鑑定以外については統一的なガイドラインが
無く、検証もされていないと問題点を指摘し、閉鎖的な刑事司法制度の改革を
強く訴えた。


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