大阪教育条例NO!

2012年、大阪で成立した教育関連条例の具体化と、「君が代」不起立処分に反対する運動の交流ブログ

加害展示を撤去するピースおおさかリニューアル構想に反対の声を!

2013-04-29 12:00:54 | ピースおおさか展示リニューアル
■橋下・維新の会は、この間一貫してピースおおさかの加害展示に対して、「自虐的「偏向している」として攻撃をかけてきています。維新の会議員の中には「ピースおおさかを西の遊就館にする」と豪語している人物もいるほどです。橋下・維新の会や右派勢力は、今回のピースおおさかリニューアルを契機に一気に加害展示の排除を目論んでいます。

そんな中、4月当初には、ピースおおさか(大阪国際平和センター)が「展示リニューアル構想」をまとめ、本年度、この「構想」を基に展示設計が行われる予定で、すでに設計業務の委託業者の公募が始まっています。

「展示リニューアル構想」では、展示を「大阪空襲を中心」とし、現在ある加害の展示(展示室B)を事実上撤去する構想です。これまで被害と加害の歴史を総合的に展示してきた内容を根本的に変えてしまうものです。

■ピースおおさか 展示リニューアル構想(ピースおおさかHPより)
http://www.peace-osaka.or.jp/news/pdf/pdf20130406.pdf

■ピースおおさかは、大阪での平和教育の中心的な存在であり、子どもたちに大阪空襲などの被害の実相を伝え、アジア太平洋戦争での日本の加害の事実を見つめる貴重な資料館です。是非、様々な個人・団体からピースおおさかのリニューアル構想に反対する声を郵送やFAXで届けてください。

財団法人大阪国際平和センター
〒540-0002 大阪市中央区大阪城2番1号
FAX 06-6943-6080

■また、現在のピースおおさかに実際に見学に行き、「こういった展示を残してほしい」「こういった展示を充実してほしい」という声を直接届けてくださることも有効だと思います。

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<別の市民グループのこうした取り組みもあります>


2013年4月27日

財団法人大阪国際平和センター 様
子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

ピースおおさかリニューアル構想についての要望書

 ピースおおさかは、50回を超える大阪空襲の被害、広島、長崎、沖縄等の日本各地の犠牲、そして戦場となった中国をはじめアジア・太平洋地域の人々、植民地下の朝鮮・台湾の人々に多大な被害を与えたことを「私たちは忘れません」と誓った「設置理念」を20年以上にわたって守ってこられました。大阪の戦災・空襲の全体像と実態を明らかにする被害者の貴重な追悼の場であり続けていること、アジア太平洋戦争における被害と加害を総合的に展示し続けていること、そして子どもたちの平和学習の中心的な存在であり続けてきました。私たちは、これらの取り組みに心より敬意を表しています。
 しかし、2013年4月、財団法人大阪国際平和センターから出された「ピースおおさか 展示リニューアル構想」は、その「設置理念」はもとよりピースおおさかが果たしてきた貴重な役割を自ら投げ捨ててしまうものではないでしょうか。
 子どもたちが歴史を偏った形で学び、歪んだ自国中心主義に陥ってしまうと、アジアの人々との友好関係を築けません。そのためには歴史教育が極めて重要です。私たちは、2001年以来、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書の採択に反対し、アジアの人々と共有できる歴史認識と歴史教育を進める取り組みを進めてきました。ピースおおさかの存在は、私たちにとって非常に心強いものでした。私たちは、ピースおおさかが、リニューアルにおいても現在の「設置理念」を掲げ続け、被害と加害の展示をさらに充実してくださることを期待して、以下の要望をします。


(1)大阪空襲での在日朝鮮人・中国人の被害を展示してください。

 「展示リニューアルの方向性」として「次代を担う子どもたちが、大阪と戦争の関係や身近な地域に起こった空襲の事実を通じて、戦争の悲惨さ、戦争の背景・メカニズムを理解する」ことの重要性が指摘されています。大阪空襲の実相に迫るには、体験者の証言や空襲被害のレプリカ、爆弾の模型を一層充実することに加えて、大阪が日本最大の朝鮮人・中国人多住地域であり、朝鮮人・中国人の空襲被害の展示を充実することが必要なのではないでしょうか。
 当時、在日朝鮮人は、大阪市街地の木造住宅に密集して住んでいたために、極めて大きな被害を受けました。大阪における被害者総数の8,2%(全国平均3%)。それは大阪在住朝鮮人の4人に1人にあたり、空襲の被害を受けた全国の朝鮮人の35%に及んだという資料もあります。これらのことは現在の展示でもほとんど触れられていません。現在、大阪に在住する多くの在日朝鮮人・中国人の方々のルーツにかかわる重要な事実です。是非、展示化してください。

(2)大阪空襲被害者が国家補償から排除されていることを展示してください。

 「展示リニューアルの方向性」には、「大阪空襲の犠牲者を追悼し、平和を祈念する」ことが明記されています。「犠牲者を追悼」するためには、被害の実相を明らかにすると同時に、戦後、被害者が国家補償を切実に求めてきたにもかかわらず、いまだに実現せず放置されたままであることにも触れる必要があります。空襲被害者の救済と補償は、現在の問題でもあることを展示を通して提起してください。

(3)大阪砲兵工廠が中国侵略の最前線に武器を送り続けたことを展示してください。

 米軍の大阪空襲が猛威をふるった背景には、大阪が日本の経済を支える大都市であっただけでなく、日本最大の兵器工場=大阪砲兵工廠があったことはよく知られています。現在の展示でも大阪砲兵工廠が日本最大の兵器工場であり、大阪の産業が大阪砲兵工廠下に系列化され一大軍需工業地帯であったこと、そこで大砲や砲弾、戦車が製造されていたことは分かりやすく展示されています。しかし、大阪砲兵工廠で製造された武器がどこで使用されてきたのか、十分明らかにされていません。
 大阪砲兵工廠は、日清・日露戦争から15年戦争全体にわたり火砲と弾薬を製造し、侵略の最前線に送り続けていました。1936年の陸軍「軍需整備5カ年計画」によって大阪砲兵工廠(3製造所)は7製造所に拡張され、砲弾、野戦級の焼夷弾、照明弾の増産に全力をあげました。これによって日本全体の兵器生産の36%を担う、名実ともに日本最大の軍需工場にのし上がりました。大阪砲兵工廠なくして日本の中国侵略は遂行できなかったのです。
 また、1937年10月、陸軍造兵工廠長官が作成した「支那事変業務実施報告」によると、陸軍は兵器代として大阪砲兵工廠に兵器支払額全体の41.6%を支払っていたことが記載されています。大阪砲兵工廠が陸軍の武器、弾薬製造に極めて大きな役割を果たしていたのです。1937年11月には日本陸軍は上海に上陸し南京に向けて侵攻を開始しています。12月7日には南京を占領しました。南京大虐殺を軍需物資、特に兵器の供給面から支えたのが大阪砲兵工廠だったことも指摘してください。

(4)大阪の都市基盤の整備や軍事施設建設には、在日朝鮮人・中国人の多大な労働力があったことを展示してください。

 現在の展示には、大阪砲兵工廠だけでなく、府内の軍事施設についての展示もあります。ビデオには八尾空港の「えんたいごう」や陸軍高槻地下倉庫(タチソ)についても触れられています。このような軍事施設の建設や都市基盤の整備に、多くの在日朝鮮人・中国人の労働がありました。「戦時下の大阪のまち、人々の暮らし」の展示には、これらの過酷な労働が欠かすことのできない視点になるのではないでしょうか。これまで大阪では、在日朝鮮人・中国人の過酷な労働実態が、府民の粘り強い取り組みによって明らかにされてきました。生駒トンネル建設・新平野川改修・光明池堤防建設・淀川改修等の都市基盤のを形成する労働、紡績業での労働と阪神工業地帯の形成、大正飛行場・多奈川の呉海軍建築部などの軍事施設への動員、生玉公園地下防空壕・池田市海軍五月山魚雷格納庫・陸軍高槻地下倉庫(タチソ)と周辺の地下工場地帯・羽曳野市の陸軍航空廠駒ヶ谷地下工場地帯・「どんずるぼう」など地下軍事施設建設での労働、安治川・川口・大阪港等での中国人の港湾労働等々。これらの貴重な歴史を掘り起こした運動と結びついて展示を充実してください。

(5)日本の加害と被害を総合的に明らかにする「展示B」を継続してください。

 「展示リニューアル構想」では展示Bがなくなっています。「戦争の背景」を理解するためには、「展示B 15年戦争」にある「大陸」「朝鮮」「大東和共栄圏」「玉砕」「シベリヤ抑留」「沖縄」「広島・長崎」等、加害と被害全体の展示は必要なものです。「展示B」は、大阪大空襲の実相を15年戦争全体の流れの中に位置づけることを可能にし、大阪空襲の背景を考えるきっかけになります。
 また、米軍の大阪空襲を考えるとき、日本軍が上海・重慶で行った無差別爆撃を忘れることができません。米軍よる一般住民を狙った無差別爆撃への怒りは、そのまま日本軍が行った中国での無差別爆撃への怒りに通じます。大阪空襲での被害だけでなく日本の行ったアジアへの加害に対して思いをはせることが、「平和の尊さ」を継承することになるのではないでしょうか。「自虐的」「偏向している」「残虐」といった批判によって、加害の展示を排除することは真実から目を背けることにしかなりません。

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財団法人大阪国際平和センター殿

ピースおおさか「展示リニューアル構想」に関する意見書

 
              2013年4月20日
               大阪中国人強制連行受難者追悼実行委員会
                     
 2013年4月9日に、大阪国際平和センター(ピースおおさか)の「展示リニューアル構想」(以下「構想」)が公表されました。(pdf20130406というファイル名からすると6日作成とも思われます。)
 この「構想」を市民・府民などに知らしめ、広く意見を求め検討していき、市民・府民と共に歩む姿勢と受けとめました。
 当会として以下の内容を取り急ぎ提案します。その意を充分に検討頂き、「構想」の不十分点・欠落点の再点検と修正を心よりお願いいたします。

 ピースおおさかオープンから22年間に何人もの戦時下の被害者が来館しています。大阪の空襲被害者はもちろんのこと、空襲を実施した元アメリカ軍人も来館しましたし、日本の侵略下のアジアの被害者も多数来館しました。
 大阪に直接関わる被害者ばかりでなく、広く世界の被害者が来館してきたのは、ピースおおさかが、大阪の被害だけでなく、それを起点に戦争について多面的に考え平和を希求することを目的とする施設であるからでしょう。それゆえ大阪に直接関わらない被害者も来館し、公的施設に日本の加害も展示する大阪の姿勢を評価してきたのです。そうした形で世界と繋がってきました。
 中国人強制連行被害者も訪れました。この被害に関する展示はないのですが、それでも日本のアジアへの侵略の中で、中国の人々を苦しめたことの展示を通じて趣旨を理解してきました。
 今回の展示リニューアル構想の「はじめに」にも書かれている、「府民市民と国内外の人々との間の交流を深めることを通じて、大阪が世界の平和と繁栄に積極的に貢献する」役割をそうした形で果たしてきました。
 またピースおおさか設置理念の中にも「戦争の惨禍を知る世界中のあらゆる地域の人々」との連携を謳っております。
 私たちは、今回の「構想」の具体内容が、貴館が果たしてきたこうした役割、理念を、自ら尊重しようとしていないのではないかと危惧しています。以下何点かに絞ってできるだけ簡潔に意見を述べます。

 ① 「構想」中に「空襲に至った背景」、「大阪と戦争の関係」などと出てきますが、具体的な展示内容がよく分かりません。
 ・展示構成の大きな流れ(p3)として、「軍都」、砲兵工廠や第四師団司令部があげられ、展示内容(p4)で太平洋戦争(日米戦争の概要)、軍事施設の配置図などとなっています。
 その詳細は書かれていないので、分からないと言うしかないのですが、まず戦争を日米戦争だけで語ることは不可能です。朝鮮半島、中国大陸、東南アジアへと侵略し戦争を拡大していった経過を抜きにして、アメリカとの戦争だけに限定することはできません。
 ・また軍事施設の配置図と並行して、そのそれぞれが侵略戦争で果たした具体的役割も明記すべきです。砲兵工廠がつくった武器によりアジアの人々が殺されたのが事実です。中国へ日本軍兵士を送り出した築港第三突堤のこともあります。施設の存在とそれが果たした役割をリアルに描くことが大事です。市民・府民の身近なところにそうした施設があったのですから。
 ・アメリカ軍による大阪の空襲以前に日本軍による中国での空襲があったことは何処で展示されるのでしょうか?
 ・国防婦人会など、戦争を支持してしまった日本の民衆の姿も触れないわけにはいきません。それらの戦争加担の反省の上にこそ、戦後の「平和」があるでしょう。

 ② 戦後の日本の「復興」を大きなテーマとしてあげています。しかも大阪の「復興」だけを展示内容にしていますが、大きな疑問があります。
 戦争で苦しんだのは大阪だけでもなく、日本だけでもありません。自明のことです。ならば「復興」とは、日本だけではあり得ず、大阪だけではあり得ません。
 中国人強制連行被害者の実情でも、大阪の強制労働下に生き延びたにもかかわらず帰国後間なしの死亡者が多いことが判明しています。この20年間に生存者・遺族と会ったり手紙のやりとりをして分かった事実です。過酷な連行・労働の後遺症を戦後も引きずっていたのです。大阪の「復興」は、戦争被害者の苦しみが続いたことを無視したままで良いのでしょうか? 「日本・大阪はがんばった」という点だけを強調するような姿勢では「国際平和センター」の名に泥を塗ることになります。
 「構想」での戦後の「平和」という概念は、日本だけ、大阪だけに閉じ込めた、視野の狭い展示に落とし込めています。これでは未来に繋がりません。

 ③ 概念図(p3)は「国際平和センター」のものとは思えません。
 この概念図のどこに「国際」性があるのでしょう。大阪空襲も諸外国との関係のなかで起こったことであり、戦後の「平和」もアメリカ、アジアなどとの関係抜きにはあり得ません。
 「戦争」についても、「平和」についても、現「構想」の内容は大阪を起点に視野を広げるのでなく、大阪の殻に閉じこもったものとしか見えません。

 ④ 「構想」中に「外国人でも理解できる簡潔な表現」とは、これまで「外国人」に理解されなかったというどのような具体的事例に基づいているのでしょうか?
 確かに日本語だけの解説であり全く不親切なまま来たという反省を大いにすべきでしょう。館が用意してこなかったのですから、来館者の準備した翻訳者を抜きには外国からの訪問者はほとんど理解できない状況のままにした反省を、「簡易な表現」という表現方法だけに転化する姿勢は、外国から来る参観者の視点からの具体的点検とは思われません。これまでの館についての行政的な体制の不備を覆い隠し、「内容」の問題にすり替えていると理解されます。アジアの被害者や遺族が来館することを本当に想定されているのですか?

 ⑤ 「構想」の中に、「近現代史の教育のための施設」との役割分担などの記述がありますが、まだ内容も判明しない施設との分担など可能なはずがありません。今回のピースおおさかのリニューアルは、国際平和博物館としての役割と理念を、館として充分反映するものに専念すべきです。

 取り急ぎ上記の点を提案いたします。


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