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大林くんへの手紙

2017-07-30 21:39:35 | 児童書・日本
「大林くんへの手紙」 作:せいのあつこ 発行:株式会社PHP研究所
4569786510 大林くんへの手紙 (わたしたちの本棚)
せいの あつこ
PHP研究所 2017-03-22

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成績優秀ではあるものの、あまり目立たなかった大林くんが、
ある時から学校に来なくなった。
クラスの男子数名と、非常階段を使って立ち入り禁止の屋上に勝手に入ったため、
担任の先生にひどく叱られた。さらに反省文を書かされることになったが、
大林くんだけ書けなかった、といううわさもあった。
そこで、大林くんに、クラス全員で手紙を書くことになった。
その際、適当に「作文」してしまったことを後悔した主人公の文香は、
悩んだ末に、まずは「いつかちゃんとした手紙を書きます」というだけの、
ウソのない手紙を出すことに。
その後、文香は休み時間になると、大林くんの椅子に座るようになった。
「たぶん、大林くんがこの椅子に座って見ていたのと同じ景色を、わたしも見ている。」
果たして大林くんの心が動く日はくるのだろうか。
本当のやさしさや友情とは何かについて、ヒントを与える一冊。
(HPより)
ネタバレになるんですが。
この本のよいところは、
最後まで大林くんが学校に来なかった、ことだと思います。
五十嵐文香は、いろいろなものが片付けられない性格。
だからか、大林くんへの手紙も、
最初は適当に「作文」してしまったのに、納得できなくなって手紙を書きなおす。
でも書けない。
いざとなると適当なことは書けない。
だから、「いつかちゃんとした手紙を書きます」
ってことになった。
手紙やメールを送ることが、大林くんの心を動かせるか?
文香は、そうじゃないだろうと考える。
でも、どうしたらいいかわからない。
ただ、大林くんのいない椅子に荷物を置くやつがあらわれて、
大林くんの椅子に座ることを思いつく。
大林くんの椅子が傾いていることが分かる。
そして大林くんが見ていた風景と同じ風景を見る。
そのことが、大林くんの気持ちに近づくことなのか?
最後に、文香が自分の椅子に座っていることを知った大林くんからメールが来る。
――なぜ、五十嵐は、あの椅子に座りつづけたんだろうな。
  俺が座りたくなくなったあの椅子に。
  あの椅子に座ってどうだったんだろうな。
  いつか、聞いてみたくなった。
文香はちょっとだけ、大林くんの心に近づいたんだろうね。

まあ、突っ込みどころもいろいろある本ですが、
すぐ読めるし、
読書感想文なんか書きやすそうな本でした。
一応小学校の話なんで、
小学校高学年生の諸君、ぜひ読んでみましょう。

"Oobayasi Kun eno Tegami" by Atsuko Seino(2017)
 
 


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