パララン山脈の向こう

思い出せないくらい昔 私はパララン山脈の向こうに生えていた草だったんだ

第四幕 3. 足ガ池の三男

2017-06-20 16:02:29 | パラ山
今の時間にすると三百年ほど三兄弟は遊び惚けた。さすがに疲れたとみえて 今度は百年眠りこける。長男は目を覚ますと同時に声をあげた。右の足が石だ。その声で次男が目を覚ます。そして声をあげる。左の足が木だ。その声で三男は目を覚ました。兄達が口を揃えて、おまえの足は⁈

えっ 俺の足がどうかしたのか兄さん達。俺の足は俺の足のままだけど。

兄達は口を揃えて それはおかしい おまえの足も何かに変わっていないとおかしい。

そう言われても困るよ兄さん達。俺はどうしたらいいの兄さん達。

簡単な話だ おまえの足を何かにかえろ。

なんでもいいのかい兄さん達。

ああ 好きな物にすればいい。

わかった 俺の足は池がいい。片足なんて言わない両足とも池だ。

池⁈ 俺達には 足が池の弟がいることになってしまうぞ

それから 三兄弟は五百年ほど 足が池について想いを馳せたという事です。
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第四幕 2. 夢見る頃は過ぎたはずなのに

2017-04-25 16:17:34 | パラ山
四匹の鬼のことか?三匹は森に捕まえにいくんだよ。鬼っていっても 角や尖った歯なんてどこにもない なにしろ生きているか死んでいるかわからないちっちゃな石みたいなもんさ。青鬼 緑鬼 赤鬼 を捕まえるには 満月の夜にある歌を歌いながら森を歩き回らなくちゃいけない それも亀の甲羅皿を頭にのせてな。

青鬼なんていやしない
月の光は青い波
波に乗ってやって来い
甲羅皿にやって来い

緑鬼ならどこにいる
木々の光は緑の波
波に乗ってやって来い
甲羅皿にやって来い

赤鬼なんているものか
大地の涙は赤い波
波に乗ってやって来い
甲羅皿にやって来い




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第四幕 1. 4匹の鬼が言うことにゃホイのホイ

2017-03-07 22:53:26 | パラ山
事も無げに ウィローの心の古池に 小石を投げたのは さっきまで 魑魅魍魎煮込みを食べていた 旅人族の女だ。(今になって考えてみると それは小石じゃなくて いつかの蛙が勝手に飛び込んだように思えるのだが)

『旅の中の旅で 真実を見つけようと思うなら 言葉を持つな 小石のように 蛙のように 古池に 波紋を描け その輪が言葉の代わりになるだろう 』

そう言えば まだ彼女に 魑魅魍魎煮込みの味を聞いていない。

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第三幕 6. おいしくて まずくて たまらない

2017-02-23 10:18:40 | パラ山
『出鱈目亭』はウィローの勝手な思い込みで 実は『デ・タ・ラメーテ』が本当らしい。別に嘘でもかまわないけれど 「本当」なんて言われてしまうと ああ なんだそうだったのか なんて本当に困ったふりをしたくなるのが人情と言うものだ(いや ふりなんか したくならないし 人参とでも言っておけ)。その なんとかラメーテの料理 おいしくない。が、まずくもない。客はほとんど旅人だか みんな うたくもまずくもない顔で静かに食べている。だからと言って なんとかラメーテを見くびっちゃいけない。例えば クラゲの骨のスープ を飲んだ日にゃ 身体中のコリがとれてとても良い気分になるのだが しばらくはクニャクニャグニャグニャ して前にも後ろにも動けなくなる。旅の目的地を探している旅人もたまにはクニャクニャグニャグニャしたいのさきっと。

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第三幕 5. 全部の思い出の重さは 誰も同じ

2017-02-19 14:10:08 | パラ山
出鱈目亭の店主が壺を持って踊っていた時 おかみさんは深い眠りの中を 気持ち良さそうに泳いでいたのさ。そうなんだ おかみさんは 夢泳ぎ の名人なんだ。ずいぶん前に 珍しく起きていたおかみさんが突然 俺に言うんだ。おまえの身体の中には深い海があるんだよ。闇だ。だから息を吐く時は ちょっとでもいいから闇を吐かなくちゃいけない。吸う時には空の光を吸うんだ。みんな知らず知らずのうちにそうしてるんだけどさ。と言ってまた寝てしまった。それを聞いていた 見つめ族の男が なに寝ぼけたことを。じゃ俺は逆に息をしてやるぜ。なんて俺を見つめて笑っていたよ。結局その男は闇の糸に絡まって 今は光の届かないところにいるって話だよ。バラクワバラクワビックリプー。
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