このところ雑記が続いて恐縮ですが、これは今しか書けないので。。。
皆さん、日食ご覧になりましたか? 私はぐんま天文台に行ってまいりました。曇り空の隙間から時折見えた程度でしたが、かじられたどら焼きのような太陽が確かに見えました。ぐんま天文台にはポケットブック置いてありますのでよろしく。
さてこの日食、軌道エレベーター(OEV)から見えるのでしょうか?
答えは条件次第、としか言いようがないのですが、はっきり言えるのは、地上と同時に観測することはまず不可能という点でしょう。
OEVは地球の直径よりもはるかに長いので、月が地球に影を落としている地域に地上基部があったとしても、月に向かってまっすぐ伸びていない限り、構造体の大部分が影から出てしまいます。
実際は、黄道(天球における太陽の通り道。つまり地上から見た、太陽が空を横切る通り道のこと)、白道(同じく月の通り道)、赤道(OEVの立地の基本位置)の間にズレがある以上、「太陽-月-OEV」という三つの位置関係が一直線上に並ぶ、つまりOEV全体がすっぽり月の影に入るなどということはまずありえないんじゃないでしょうか。結果として、OEVの地上基部で日食が起きたとしても、足元しか影にならないということです。まあ全体が影に入ったところで、高度を上げても月が大きく見えすぎて、必要以上に太陽が隠れてしまうだけかも知れませんが。
一方、OEVを昇って、もっと高い位置から見た場合、月とOEVの位置関係次第では、地上では起きないタイミングに日食を見られるかも知れません。さらに、エレベーターの上下移動で観測位置を能動的に調節することで、けっこう長時間観察できるかも知れません(ま、そんなことしたらほかのエレベーターが詰まってしまいますので、何かすり合わせが必要ですが)。
しかし、私がもっと強調したいのは、OEVであれば「地球による日食を見られるのではないか」ということです。OEVは地球の自転と同期して周回しているわけで、地球の影に入る部分は毎日夜が訪れます。これは、OEVの側から見て、地球が太陽を隠すように見えることを意味します。
ただし地軸が23.5度傾いている、つまりOEVは黄道面に沿って公転しないため、皆既日食は見られないかも知れません。反面、太陽の引力による摂動で、OEVの構造体全体は、黄道面に向かって曲がるというか、たわむ現象が常に起きるはずです。上手にたわみさえすれば夢ではないでしょう。
以上は大雑把な予想ですが、最近の研究では、OEVの地上基部を高緯度地域に持ってくるアイデアも出ていますので、こうした条件と組み合わせれば、日食観察がOEVのひとつの売りになるのではないでしょうか。
皆さん、日食ご覧になりましたか? 私はぐんま天文台に行ってまいりました。曇り空の隙間から時折見えた程度でしたが、かじられたどら焼きのような太陽が確かに見えました。ぐんま天文台にはポケットブック置いてありますのでよろしく。
さてこの日食、軌道エレベーター(OEV)から見えるのでしょうか?
答えは条件次第、としか言いようがないのですが、はっきり言えるのは、地上と同時に観測することはまず不可能という点でしょう。
OEVは地球の直径よりもはるかに長いので、月が地球に影を落としている地域に地上基部があったとしても、月に向かってまっすぐ伸びていない限り、構造体の大部分が影から出てしまいます。
実際は、黄道(天球における太陽の通り道。つまり地上から見た、太陽が空を横切る通り道のこと)、白道(同じく月の通り道)、赤道(OEVの立地の基本位置)の間にズレがある以上、「太陽-月-OEV」という三つの位置関係が一直線上に並ぶ、つまりOEV全体がすっぽり月の影に入るなどということはまずありえないんじゃないでしょうか。結果として、OEVの地上基部で日食が起きたとしても、足元しか影にならないということです。まあ全体が影に入ったところで、高度を上げても月が大きく見えすぎて、必要以上に太陽が隠れてしまうだけかも知れませんが。
一方、OEVを昇って、もっと高い位置から見た場合、月とOEVの位置関係次第では、地上では起きないタイミングに日食を見られるかも知れません。さらに、エレベーターの上下移動で観測位置を能動的に調節することで、けっこう長時間観察できるかも知れません(ま、そんなことしたらほかのエレベーターが詰まってしまいますので、何かすり合わせが必要ですが)。
しかし、私がもっと強調したいのは、OEVであれば「地球による日食を見られるのではないか」ということです。OEVは地球の自転と同期して周回しているわけで、地球の影に入る部分は毎日夜が訪れます。これは、OEVの側から見て、地球が太陽を隠すように見えることを意味します。
ただし地軸が23.5度傾いている、つまりOEVは黄道面に沿って公転しないため、皆既日食は見られないかも知れません。反面、太陽の引力による摂動で、OEVの構造体全体は、黄道面に向かって曲がるというか、たわむ現象が常に起きるはずです。上手にたわみさえすれば夢ではないでしょう。
以上は大雑把な予想ですが、最近の研究では、OEVの地上基部を高緯度地域に持ってくるアイデアも出ていますので、こうした条件と組み合わせれば、日食観察がOEVのひとつの売りになるのではないでしょうか。