軌道エレベーター派

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ヴァン・アレン帯に反物質

2012-07-16 23:15:37 | 気になる記事
地球を取り巻く反物質の層が発見される

 反陽子の粒子でできた反物質の薄い層が、地球を覆っていることが初めて発見された。Astrophysical Journal Lettersによると、地球の磁気圏が反物質を捕捉することは理論上予測されていた。研究チームは「通常」物質のヴァン・アレン帯の層の間に、微少の反陽子が広がっているとしている。(略)太陽及び太陽系外から来る高エネルギー粒子の宇宙線研究のため、2006年に打ち上げられた衛星Pamelaによって、反物質が特定された。(後略。BBC NEWS SCIENCE&ENVIOLONMENT 摂訳)


 気管支炎がなかなか完全に治りません。加えて、2年ぶりとなる宇宙エレベーター協会の年鑑の編集が大詰めで、更新滞って申し訳ありません。ちなみに今月末は「軌道エレベーターの日」なのですが、プレゼントは10万人達成の時にやったので、今回は見送ります。

 さて、表記の記事ですが、ちょっと古いものです。当時ネット版で見て、軌道エレベーターにとって由々しき事態だと感じつつもあまり話題にならず、そのうち扱おうと思っていたのですが、日本でも報じられていたようです。知らんかった。
 言うまでもなく、反物質は私たちの世界を構成する物質と接すると対消滅を起こします。反物質自体は、粒子1個だけとかいうレベルであれば、粒子加速器の実験などで瞬間的に生じたりすることもあるのですが、これが地球を覆う層になっているというのですから、ヴァン・アレン帯を貫いて地上から宇宙に伸びる軌道エレベーターにとっては、機雷が漂っているようなものですね。
 この反物質の層が何らかの運動をするとか、時期によって膨張したり衰退したりとか、もっと詳細がわからないと何とも言えないので、今後の観測結果待ちですね。しかし軌道エレベーター実現の大きな障害になる恐れもあり、対策が必要になってくるかも知れないし、完全に建造不可能になる可能性すらありますね。
 ただ、これは憶測なのですが、メテオロイドとか宇宙からのエネルギー流などの類と連続的な反応を起こしている様子が観測されない(そもそもこの観測衛星にも支障を与えてない)ということは、この反物質の層、実態としては極めて希薄で、粒子間の密度もスカスカだと考えられます。そうでなきゃすぐに消滅しちゃうでしょうし。だったら軌道エレベーターも耐えるか、電磁気的に回避する(層に穴を開ける)か、いっそのこと片っ端から正物質と反応させて層自体を全部消滅させてしまえばどうか? なんてのも考えました。

 しかし、ピラーの構造を安全に保持さえできるなら、むしろエネルギー源として利用できないだろうか? 日常、私たちが利用しているエネルギーというのは実に効率が悪く、化学燃料は質量→エネルギーの換算比(ε)が1億分の1程度、原子力でも50分の1程度しか取り出せていないのだそうです。
 対消滅というのは、いわば還元率100%ですので、大雑把に言えば質量が完全にエネルギーとして解放され、燃えカスも残らず完全に消えてなくなる(たしかガンマ線が出るけど)。このうち熱に変換される分の一部でも回収すれば、太陽光発電などよりも有用なエネルギー源になるかも知れません。軌道エレベーターの取り入れ口から磁場などで封じ込めつつ吸い込んで炉に誘導し、対消滅させるとか。。。ちなみに記事中でも反物質ロケットへの応用可能性について触れていますが、反物質ロケットなんて効率の良さそうなものが出来たら、軌道エレベーターいらないかも(´・ω・`)。。。とはいえ、私たちは反物質を安全に扱う技術が未発達なので、月のヘリウム3の活用と同様、今後の技術の発展に期待です。
 何にせよ、私たちは深宇宙はおろか地球近傍のことも、まだまだわかっていないのですよね。軌道エレベーター実現への道のりは、きっとまだ多くの未知の壁が待ち構えているのでしょう。
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