釜石の日々

人類の適応進化

恐竜が絶滅した6500万年前頃に、地球上に霊長類が出現した。霊長類は樹上生活をしていた。その霊長類の中から、6000万年前に猿類の祖となる原猿類が出現する。そして現在の猿類に近い真猿類が出現するのは4000万年前である。猿類が樹上からおりて、猿人として地上生活を始めたのが700万年前になる。霊長類として出現して、猿人となるまでの5800万年間は樹上で木の実や葉、樹皮など植物性の食物を長く食べて来た。体は植物を消化吸収出来るように出来ていた。700万年前からは動物や魚も口に入るようになる。動物性タンパク源が得られるようになり、体もそれを消化吸収出来るように進化し始めた。小麦のような炭水化物が栽培され、本格的に人が食べるようになったのは1万年前からだ。米はそれから少し遅れて、8000年前くらいから栽培が始まっている。いずれにせよ、霊長類としての人間の体は果実や葉、次いで動物性タンパク質が消化吸収され、効率的に体で利用されるように進化して来た。それらに比べて、炭水化物はわずか1万年でしかない。まだまだ炭水化物の歴史は新しい。炭水化物が人間の体で効率よく利用されるには十分な進化の時間が経っているとは言えない。しかし、小麦にしろ、米にしろ現代の人間の摂取量は多く、体に負担をかけている。それが現代人の生活習慣病に繋がっているとも言える。人の体には野菜や果物、肉や魚がもっとも適合するように気の遠くなるような時間をかけて進化して来た。にもかかわらず、歴史ではごくわずかな期間に炭水化物を多く摂るようになった。人間も自然の一部であり、自然の変化には長い時間を必要とする。そのことを忘れて、人間は自然とは別の存在のように錯覚し、自然を破壊したり、変化に要する時間を無視する。生きている体には必ずその結果が影響して来る。また、現生人類がアフリカを出て、世界へ広がって行ったのはたかだか7万年前からである。それまでの何百万年かは暑いアフリカにいた。暖かい環境が本来の人間に合っている。人の体にはヒートショックプロテイン(HSP)と呼ばれるタンパク質がある。傷ついた細胞を修復し、免疫力を高めて病気を未然に防いだり、コラーゲンや筋肉の減少を抑制したり、代謝を活発にして脂肪を燃やしたりする。温熱よって誘導されることから名付けられた。実際には他にも炎症や活性酸素、紫外線、飢餓などでも誘導されるが。これもやはりアフリカと言う環境下で長く進化した結果だと思われる。皮膚や筋肉の老化を予防するHSPを誘導する入浴法などが話題にもなった。現代人の生活を人類の歴史を振り返りながら、見直す必要もあるだろう。
ドクダミの花
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