釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで9年1ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

TPPはすべての「保護」を打ち砕く

2011-11-11 19:28:20 | 文化
今朝の釜石は3度まで気温が下がった。吐く息が白い。通勤の人たちの服装が真冬の服装になっている。天気は晴れて青空が広がる。職場の隣接地の醤油工場はもうすっかり更地になってしまった。これからそこに新しい工場を建てるのだろう。昨日衆院本会議で第3次補正予算案が可決され、復興対策費12兆円がようやく確保された。今日で震災から8ヶ月になる。釜石の被災地域は瓦礫が片付けられ、一部の建物が取り壊されただけでほとんど何も手が打たれていない。何故これほど遅いのか。この現状を見ているだけでも国の政策の決定に疑問が湧いて来る。ほんとうに被災地のことを考えているのだろうか。外交も国として重要であることは無論だが先日韓国と結んだ通貨危機の際の通貨スワップで5兆円の経済支援が決った。この金額は日本側からの申し出である。財政難を理由に復興のための増税を掲げる政府が今何故5兆円もの経済支援をこちら側から申し出るのか。現政権は国内で何ら国民に説明責任をとらずに国外で突然決定事項を発表する。消費税10%の表明も国内ではなく国外で行っている。国会は何のためにあるのだろう。野党もこうした事態をほとんど追及しない。国会で十分議論し合って政策を決めて行く手順がこの間まったく無視されている。TPP参加の問題も国会では十分な議論がほとんど見られない。詳細な情報が出されないまま参加の賛否だけが議論されている。ウルトラ・リベラリズムは民主主義を崩壊させると歴史人口学者で家族人類学者でもあるエマニュエル・トッドは言ったが、今の日本の政治状況はまさに民主主義的手続きを崩壊させている。本年9月の失業率は米国とフランスが9.1%で先進国中最も高い。英国とイタリアは8%だ。ドイツが6%で日本は4.1%になっている。7%を超えると危険域と言われる。先日ギリシャからイタリアへ財政金融危機が波及し世界の株価が同時安となった。米国で先月から続いている「ウォール街を占拠せよ」の抗議行動でズコッティ公園に溢れんばかりのテントが並んでいる。ウォールストリート・ジャーナル紙は「職なき世代」の特集を組んで若者に仕事がない実態を報じている。16歳から24歳までの失業率は16・7%にもなる。大卒でさえ7.7%で、高卒では21.1%なる。名門大学であるアイビーリーグを卒業しても訪問販売ぐらいしかないと言う。米国の金融資本は普通の人々の富を奪い尽くして超格差社会を作り出した。そのウォール街の金融資本へは2008年にブッシュ政権は7000億ドルを、さらに2009年にはオバマ政権が7500億ドルを支援のために投じたのだ。日本円で140兆円にもなるのだ。先月ニューヨークで1週間を過ごした娘はどこへ行っても下働き的な仕事には有色人種しか就いておらず、白人と有色人種の職がはっきりと別れていることに今更ながら驚いたという。あるレストランでは自分自身給仕と間違われたそうだ。時給がわずかな中で子供を育てる家庭は毎日が戦いで、請求書のすべてに応じることはできないという。米国のこうした状況は日本の未来を暗示する。これまで日本は戦後の終身雇用制によって良くも悪くも働く者が保護されて来た。雇用保険や年金保険、医療保険が整備されていた。官僚のずさんな管理のために年金保険が崩壊し、派遣労働者制度の導入で終身雇用も崩れ、財政支出の削減の波で医療も崩壊し始めた。今や雇用保険だけがまともに残されているが、TPPは雇用保険のあり方まで変貌させてしまうだろう。米国のように企業負担分が減らされて、就労者の負担分が大きくなって行くだろう。健康保険制度は医療の自由化の名の下で確実に崩壊して行くだろう。米国同様金がなければ医療を受けられない人々が急増して行くだろう。「自由」とは放任ではない。規律と自由は切り離せない。貿易も同じだ。規律を取り払った自由貿易はやりたい放題の最悪の貿易でしかない。金融では世界でも稀な高さを誇る貯蓄率を保持して来た日本の個人金融資産が確実に狙われて行く。これからの日本をどうするのか、どういう日本にしていくのか、そうしたビジョンを提示する政治家や官僚、財界人が皆無であることが日本の不幸であるのかも知れない。
山の静かな秋
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 『終わらない悪夢』 | トップ | 匠の街、釜石 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL