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過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌(1)

2017-09-03 10:49:07 | 医学情報
こんにちは
東京マイクロスコープ顕微鏡歯科アシスタントakiです🌷

今日は過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌についてです。

はじめに
医療の発展に伴い、また医療の発展をサポートする形で医療機器は目覚ましい発展を続けている。これにより医療機器は単なる金属やプラスチックからなる機器のみではなく、各種素材が組み合わされたものや、電子部品が組み込まれた精密な機器がますます増えてきている。また、これら高度な機器と一般の器材を手術セットとして扱うケースも少なくない。このような繊細かつ高額な機器やせっと機器の性能や安全性に影響を与えずに確実な滅菌を行うためには、低温での滅菌処理が不可欠である。
また近年、自然環境や作業環境の安全への配慮が求められており、他章で触れている通り、滅菌、消毒分野においてもさまざまな規制が進んできている。さらに、医療の効率化が叫ばれるなか、高額な医療機器を効率的に使用することも必要とされている。その一つの方法としてあるのが、治療に直接的に用いられていない時間の短縮、つまり一度使用した器材を再処理(洗浄、乾燥、包装、滅菌)する工程の短縮化がある。
このような環境のなか、「低温での滅菌」「安全性の高さ」「短時間での滅菌」を特徴とする過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法が、日本を含む世界各国で急速に普及してきている。過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法は、Addyにより1980年代に研究が行われ、1992年にヨーロッパで実用が開始された。日本へは、1994年に医療機器として厚生労働省より承認を得て導入された。「医療現場における滅菌保証のガイドライン2010」には高圧蒸気滅菌法、酸化エチレンガス滅菌法などと並んでこの過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法が取り上げられており、取り扱いならびに管理方法が詳述されている。

過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法の原理

1)プラズマ
プラズマは、固体、液体および気体とは別の第4番目の物質状態として定義され、イオンや電子などの正、負の荷電粒子や中性子、分子などが混在する反応性の高い状態であり、強い磁界または電界で励起こされることにより作り出すことができる。プラズマは大きくは2つに分けられる。1つはアーク放電の電極間で発生させるような高温プラズマであり、もう1つはグロー放電などに代表される低温プラズマである。いずれのプラズマも微生物に対しての効果はあるが、高温プラズマの場合、それ自体の強力なエネルギーが被滅菌物に大きな影響を与えることから、このような影響が少ない低温のプラズマが滅菌法に利用されている。
過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法の場合、減圧された滅菌チャンバー内に気化した過酸化水素水溶液を注入した後、所定の圧力(陰圧)下でこのチャンバー内に高周波エネルギーを加え低温プラズマを発生させる。
プラズマを滅菌法に利用する主な利点としては3点をあげることができる。1つはプラズマ状態で発生する高エネルギーの活性種がもつ高いエネルギーが微生物を死滅させるために大変有効であること。2つめは安全性に関連するものであり、プラズマの活性種は上記のようにエネルギーを加えているときのみ生成され、エネルギーがなくなるとすぐに消滅し安定な物質へと変化する。このため、プラズマを発生させる前駆物質(この滅菌法の場合は過酸化水素)を適切に選択することにより、滅菌に必要な時間だけ活性種を滅菌チャンバー内で作り出すことができ、滅菌終了後にエネルギーの供給を止めるとチャンバー内に残るものは安定で安全な物質のみにすることができること。そして、3つめは、素材に対する影響の少なさである。放射線滅菌の場合、素材の内部まで到達し素材の物性に大きな影響を与えることがあるが、プラズマはその作用が素材の表面に限られるため、素材自体の物性にはほとんど影響を与えることはない。



2)滅菌原理
過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法に用いられる過酸化水素(hydrogen peroxide、H2O2、分子量34.02)はこれ自体でも殺菌効果があり、3%溶液は局法殺菌・消毒薬のオキシドールとして用いられている。
過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法は、この過酸化水素をプラズマ状態にすることにより、各種フリーラジカルなどの活性物質を生成させ、さらに高い滅菌効果を得るものである。過酸化水素(H-O-O-H)において結合エネルギーが低いのはO-O結合間であるため、プラズマ状態下で最も多く生成されやすいのはヒドロキシルフリーラジカル(・OH)であることは容易に推測されるが、実際に起こる反応は複雑なものであり、過酸化水素を前駆体として生成されるプラズマ中の活性物質について、Addyらは図1のような反応を提唱している。
過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法は、過酸化水素、過酸化水素プラズマ中に生成されるフリーラジカルなどの各種活性種、紫外線などの複合作用により滅菌が達成される。滅菌チャンバー内のラジカルの存在や滅菌機構に関しては高島らが研究を進めており、ヒドロキシルフリーラジカル(・OH)やヒドロパーオキシルフリーラジカル(・O-O-H)などの存在が確認されている。また、これらラジカルがDNA成分、特にシトシンに影響を与えることも確認されており、細胞膜への影響についての研究も行われている。
過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法の滅菌効果に関しては幅広い研究が行われており、各種滅菌、真菌、細胞胞子およびウイルスなどへの有効性が確認されている。この滅菌法に最も抵抗性を示すのはG.stearothermophiius芽胞である。また、この過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法によるプリオンの不活化に関する研究も盛んに行われており、それらの結果を踏まえ、『プリオン病感染予防ガイドライン(2008年版)』や『手術医療の実践ガイドライン』にクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)か否か不明の患者のハイリスク手技に用いられた手術器械等に対する処理方法の1つとしてこの過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法が掲載されている。

参考文献 改訂第4版医療現場の滅菌
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