オペラの夜

出かけたオペラやコンサートを聴きっ放しにせず、自分の中で理解を深めるためのブログです。

R.シュトラウス「薔薇の騎士」op.59

2007-09-04 | R.シュトラウス
<チューリッヒ・オペラハウス日本公演>
2007年9月4日(火)18:00/オーチャードホール

指揮/フランツ・ヴェルザー・メスト
チューリッヒ・オペラ管弦楽団
チューリッヒ・オペラ合唱団
NHK東京児童合唱団

演出/スヴェン・エリック・ベヒトルフ
美術/ロルフ・グリテンベルク
照明/ユルゲン・ホフマン
衣装/マリアンヌ・グリテンベルク

マルシャリン/ニーナ・シュテンメ
オクタヴィアン/ヴェッセリーナ・カサロヴァ
ゾフィー/マリン・ハルテリウス
オックス男爵/アルフレッド・ムフ
ファーニナル/ロルフ・ハウンシュタイン
侍女マリアンネ/クリスティアネ・コール
ヴァルツァッキ/ルドルフ・シャシング
アンニーナ/キスマーラ・ペサティ
警部/ラインハルト・マイヤー
歌手/ピョートル・ベチャーラ
公証人/トーマス・スラヴィンスキー
帽子屋/カロリーネ・フス
動物商/トーマス・ピュッツ
元帥家執事&料亭主人/フォルカー・フォーゲル
ファーニナル家執事/アンドレアス・ヴィンクラー
孤児/リュ・リヴェロス/フランチスカ・モンティエル/ヴェレーナ・ハッセルマン


 ヴェルザー・メストの指揮は結構大雑把で、細かくキチンと指示を出すタイプではない。テンポや音量の設定等、全体的な方向付けを主な作業としているのみ。オケの方で自主的に、シュトラウスの音楽を情緒纏綿と歌い上げている、と外野である私にはそう見えた。弦は思い切り、甘く切なくワルツを奏で、合いの手を入れる木管も曲のツボを心得ていて絶妙。このオペラハウスに在任14年目となる指揮者とオケには、既に阿吽の呼吸を計る関係が築かれているのだろう。

 休憩後、三幕の直前に皇后の美智子さんが入場されて、一気に場の雰囲気が華やぐ。幕が上がると、一幕の元帥邸のセットがあるのに軽く驚かされる。男爵と女装のオクタヴィアンの密会は、邸宅の内部に設置されたテントの料亭で行われるのだ。そもそも、一幕のセットが抽象的だったので、三幕に使い回し可能なのだと気付かされる。でも何か、イマイチ釈然としない。アンニーナが引き連れて男爵に押し付ける、N児の子供たちが、背中に羽を付けた天使の格好をして、走り回るのが可愛かった。

 二幕のファーニナル邸はレストランの厨房で、この家の主人もコック帽子を被っている。オーナーシェフという設定なのだろうか?これも意図を測りかねる。今日、ここに来た皆のお目当て、婚約の使者として薔薇の騎士が登場する際の音楽や、男爵が酔っ払って眠りこけるまでのワルツなど、二幕の肝心要のところでも何やら小賢しい演出が施される。指揮者も期待したほどには、正面切ってネッチョリとやってくれないので、かなり不満。

 マルシャリンのシュテンメは、声の音色を音楽に即して変化させる、豊かな情感のある歌い手。オックスのムフは若々しい役作りで、あまり下品には見えないし、声もバリトンっぽい美声と深いバスを使い分けた。オクタヴィアンのカサロヴァも多彩な音色を駆使して、さすがの表現力を発揮。一幕では高音が荒っぽかったが、これも二幕以降持ち直した。ゾフィーのハルテリウスは成熟を感じさせる重めの声で、リリックな透明感はない。役作りも声に合わせてか気のキツイところを強調して、大人しい箱入り娘というイメージではない。カサロヴァの声質と被り、対照の際立たないのも物足りないが、この辺りは趣味の問題かも。

 本日のメインイベント、三幕の三重唱は3人の歌手が声量充分で互いに張り合い、ボリュームたっぷりで存分に楽しめた。その後のオクタヴィアンとゾフィーの二重唱は、濃厚な三重唱から一転、あっさり風味のソットヴォーチェで可愛らしく歌われたが、これも濃厚に歌って欲しいところだ。オケは本当に楽しそうに演奏していたが、指揮者は生温い姿勢に終始した印象がある。

 幕切れの演出は、屋敷の外に出たマルシャリンと、ムーア人のお小姓が硝子越しに手を合わせるというもの。余情があって悪くなかった。
ジャンル:
音楽
キーワード
オクタヴィア チューリッヒ 薔薇の騎士 シュトラウス ヴェルザー・メスト オペラハウス フォーゲル カロリーネ 場の雰囲気 阿吽の呼吸
コメント (0) |  トラックバック (0) |  この記事についてブログを書く
Messenger この記事をはてなブックマークに追加 mixiチェック シェア
« チャイコフスキー... | トップ | ヴェルディ「椿姫」 »

コメント

コメントはありません。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
※文字化け等の原因になりますので、顔文字の利用はお控えください。
下記数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。この数字を読み取っていただくことで自動化されたプログラムによる投稿でないことを確認させていただいております。
数字4桁

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。

あわせて読む