逡巡日記ドットコム

平凡な毎日も、悪くない。

正常性バイアス

2005-05-07 08:51:13 | 雑談
今朝の毎日新聞の余禄に、「正常性バイアス」について書かれていた。  (記事)

「バイアス」とは先入観や偏り、ゆがみのことである。
「正常性バイアス」とは非常事態に直面してもそれをできるだけ正常なことと理解しようとする、
つまり「異常なことでない」と思おうとする心理の傾向である。

余禄で紹介されている「正常性バイアス」のテレビ番組での実験は僕も見た。
人を待たせた部屋に白煙を送り込んで、
どれぐらい経てば部屋の中の人は異常を外に知らせにいくか、という実験だった。

部屋に被験者一人のときは、煙に気付いてからもすぐには行動しようとはしないが、
それでもしばらくすると、さすがにいつまでも煙が出てるのを見て外へ知らせに出て行った。
しかし、これが三人一緒にいてもらうと、
驚いたことにもっと煙っても誰も行動しようとしないのだ。
「おいおい、煙が出てるよ」「なんだよ〜、これ」「大丈夫かよ〜」
なんて話しながらも、誰も外へは知らせようとせず、
煙の充満する部屋の中で三人ともおとなしく座っているのである。

これは「周りの人が異常を感じていないかのように振る舞っていると、
ついそれに同調して自分も異常を異常といえなくなる心理」であり、
「同調性バイアス」と呼ばれている。

この実験をテレビで見て、
「ああ、なんとなく分かるなあ」と感じたのを覚えている。

次々と明るみになるJR西日本の社員達の、事故当時の「不適切」な行動も、
このバイアスによるところが大きいのかもしれない。
(ちなみに、ゴルフが「不適切」だというのは分かるが、
事故発生前の当日朝に旅行に出発した社員の行動まで「不適切」に含めるのは行き過ぎだろう。)

確かに、周りは誰も騒いでいない時に、
自分だけ慌てて騒ぎ立てるのには抵抗がある。
前にボウリングしていた社員を批判しておいて今さら言うのも我ながら卑怯だが、
自分がもしその場にいたとして、周りが「普通」にボーリングやゴルフで盛り上がってる中、
果たして上司に向かって「今日はもう解散しましょう」とか、
「職場へ行ってみましょう」などと提案できただろうか。

もちろん、事故当時にボウリングやゴルフを続けることが、
社会的に「不適切」な行為であったことには違いなく、
それに対しての批判も大いになされるべきであろう。

しかし、批判には責任が伴う必要がある。
事故とは無関係の立場で、
「彼らはあの時こうするべきだった」と事後的に批判するのは容易いが、
「ではその当時、自分ならそうすることができたのか」と考えた時、
自信を持ってそれを肯定できない僕自身、
完全に「無責任な」第三者としてJR西の社員への批判を展開していた点について、
反省する必要があると思った。
キーワード
正常性バイアス 一緒にいて
コメント (4) |  トラックバック () |  この記事についてブログを書く
Messenger この記事をはてなブックマークに追加 mixiチェック シェア
« ロッテの連勝は1... | トップ | 大阪でJR線に置... »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして (ひさ)
2005-05-07 15:42:21
某所のTBからたどってまいりまして、

こちらのTBを付けさせて頂きました。

よろしくお願いいたしますm(__)m



この関連の話題はブログにたくさんあって、いろんな考えがあって興味深いです。



昨日J-WAVEの調査だと、今回の報道スタイルを支持しない人が8割だったそうで。

なんて書くと、バイアスに影響したりしてw



最近、一般の人たちと、マスコミとの思考乖離を、マスコミの連中はどう思ってるんですかね。。



またちょくちょく見に来ます〜

よろしくお願いいたします♪
Unknown (管理人)
2005-05-07 20:36:32
コメントありがとうございます。

こちらからもTBさせて頂きました。



僕も今回の事件に関して、マスコミの姿勢はどうもおかしいと思います。



あるニュース番組で、ボウリングやゴルフの件を取り上げ、「JR西日本は上から下まで腐ってる」とか、「社員はみんな人の心を持たない機械だ」などと大声でまくし立てるコメンテーター。これでは批判というより、単に誹謗中傷です。

JR西の記者会見の場で、JR側がただ頭を下げるしかないことを分かってて、いつまでも「どうなんですか」「ハッキリしてください」「具体的に答えてください」などと追及する記者。これじゃただのいじめです。



これだけ大きな事故を起こしたJR西ですから、その責任は大いに追及されてしかるべきですが、今のマスコミはその「責任追及」の意味をどこか履き違えているように感じます。
はじめまして (miyuki)
2005-05-10 22:08:46
はじめまして

「正常性バイアス」の記事に大変興味持ちました。

私はベルギーに住んでて、心理学を学んでいます。(子供の頃からベルギーに住んでるのでチョット変な日本語お許しください)

先々週の社会心理学の授業で丁度「正常性バイアス」について勉強したトコなんですよ。

まさか、JR宝塚線の脱線事故に「応用」できるなんて思ってもいませんでした。

何か、新しい視角で社員の行動を見れたような気がしました。



こんにちは (管理人)
2005-05-11 09:55:39
コメントありがとうございます。



正常性バイアスが事故や災害現場で働くと、悲惨な結果をもたらすことが多いようですね。

去年のスマトラ島沖地震による津波災害でも、地震後に波が一気に押し寄せてきてるのに、それを「wow!」なんて言いながらビデオで撮影してる人がビーチに大勢いて、そういう方の多くが逃げ送れて波にさらわれたといいます。

これも正常性バイアスによるところが大きいのでしょう。



教訓:何かあったら、「Wow!」とか言ってないで早く逃げろ!!ってことですね。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
※文字化け等の原因になりますので、顔文字の利用はお控えください。
下記数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。この数字を読み取っていただくことで自動化されたプログラムによる投稿でないことを確認させていただいております。
数字4桁

7 トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
JR西日本社長、そんな社員に誰がした? (為替王)
脱線した電車に乗り合わせたJR西日本の運転士2人は、救助活動をせずに、上司の指示に従ってそのまま出勤したという。私が当の運転士であったなら、彼らと同じように上司の命令に従って出勤していたことと思います。JR西日本で出世を目指すなら、上司の命令に逆らって「救助活
JR西日本報道、おかしくないか? (44まぐ日記)
日頃、ブログには時事問題は書かないようにしているのだが、 今回だけは書いてみることにする。 最近話題の、JR西日本問題とやらである。 まずは、亡くなられた方々に心からご冥福をお祈り致します。 今回は、一番大事である事故の追求とかけ離れた議論が行われているよう
JR問題(2) (中年就職活動日記(仮))
福知山線脱線事故に関連して、JRの社員が事故後にボウリングやゴルフ、飲み会などを催していたということについて連日批判の報道が続いている。安全軽視の企業体質は批判されてしかるべきだが、報道のヒステリックな加熱ぶりは、やりすぎではないかと感じさせられる。 J
蚊帳の外からは何とでもいえる (ぴぃーかぶぅ〜!)
<尼崎脱線事故>ボウリング発覚、社長会見に異様な雰囲気 毎日飽きもせずTVで流される続報。 それを見ている自分も自分だが、TVをつけたらやってるんだもん。 でもワイドショーには気をつけなきゃ〜なと思う。 今に始まったことではないけど。 あれは所詮娯楽番組。 報道だ
祈り届けた携帯 (ヘルニアとお友達!!)
「元気な声 聞かせてくれ」かけ続けた息子の遺品「不在」27件 現場で必死の救助作業が続くなか、大前清人さんは、息子の貴隆さんの携帯に電話をかけ続けていた。 「元気な声を聞かせてくれ」と祈る気持ちでかけ続けた。 翌日の早朝、清人さんは尼崎市の遺体安置所に向か
JR西日本宝塚線(福知山線)脱線、転覆、横転事故.2 (憂国、喝!)
西日本旅客鉄道株式会社 (JR西日本) 私の書き込みには、少し誤った内容のものがあると思い、訂正をしたいと思います。先日、最後の綴りで、私は、「結果論で言えば、人が死なないと分らない・・・」と、記しました。しかし、これは間違いかも知れません。国土交通省
★18歳少女に首輪、監禁104日 (スナフキン・レポート♪)
18歳少女に首輪、監禁104日…24歳男を逮捕yahoo読売新聞 < インターネットのチャットで知り合った当時18歳の兵庫県の少女(19)を、東京都内のホテルや自宅で3か月以上にわたって監禁したとして、警視庁捜査1課は11日、札幌市中央区南1東6、無職小林泰剛

あわせて読む