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ひめゆり学徒隊を「退屈」

2005-06-10 14:31:34 | 国内ニュース
『青山学院高等部(東京都)の今年2月の一般入試の英語で、
ひめゆり学徒隊の沖縄戦体験者の証言を聞いた生徒が「退屈だった」と
感じたという趣旨の長文読解問題が出題されていたことが分かった。
(原文:But,to tell you the trooth,it was boring for me and I got tired of her story.)
同校は「配慮を欠いた問題だった。深くおわびしたい」としている。

同校によると、生徒の感想文を紹介する形式だが、感想文は実在せず、
同校の教諭が入試のために、自身の体験をもとに作成。

出題文は修学旅行で沖縄へ行った生徒は防空壕を体験した後、
ひめゆり学徒隊の体験談を聞き、
「正直言って、彼女の話は退屈で飽きてしまった。
聞けば聞くほど防空壕の強烈な印象が薄れていった。
彼女はその話を何回もしており、非常に話し上手になっていたと思う」と感想を持つ。

問題では「なぜ筆者はひめゆりの話が気に入らなかったか」との質問を出し、
「彼女の話しぶりが好きでなかった」という選択肢を正解にしていた。』(記事)
    

これは・・・ひどい。 
あんまりだよ。

ひめゆり学徒隊について簡単に触れておくと、
太平洋戦争末期の昭和20年、沖縄戦で従軍看護要員として動員された
15~19才までの女学生と教職員、合わせて297人からなる部隊のことで、
主に地下壕で負傷兵の看護にあたっていたが、
戦局の悪化により、1945年6月18日に部隊解散命令が出た。
しかし、すでに沖縄の大部分はアメリカ軍が制圧しており、
そんな只中で解散と言われても彼女らに逃げ道はなく、
多くの生徒が米軍のガス弾や集団自決で死亡、219名がその若い命を失った。

沖縄では、ひめゆり学徒隊の生存者が、戦争の記憶を風化させないため、
その悲惨な体験を語り継ぐ活動をしているが、
今回明らかになった青学高等部の入試問題では、
これが「退屈」で、「話し方も気に入らない」などと書かれていた。

もちろん、物事の捉え方や感じ方は人それぞれで、
そういった感想を持つ人も中にはいるかもしれない。
戦争体験を語り継ごうとしている人達にとっては残念なことだろうけど、
実際に、この問題を作成した教諭はそう感じたのだろうし、
そのこと自体を第三者がとやかく言っても仕方がない。

でも、そんな内容の英語長文を入試問題として出題するなんて、
教育者としても教育の場としても、全く不適切だと思うし、
戦争の悲惨さを伝えるため努力しているひめゆり学徒隊の生存者の方々に対しても、
それはあまりに配慮を欠いているし、あまりに失礼だよ。

青山学院高等部では、
教科の教師が作成した入試問題を、
他の教師達が入試前にチェックする体制がとられていたというけど、
そういった点を指摘する人は誰もいなかったのかなあ・・・

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