温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

肘折温泉 優心の宿 観月

2014年06月01日 | 山形県
 
肘折温泉のお宿はそもそも湯治宿としてスタートしているところが多く、また限られた土地に民家や宿が犇めき合っているため、湯治に向いている内湯はあっても歓楽的要素の強い露天風呂を持つ宿は限られています。今回はそんな露天風呂を有する数少ないお宿の中でも、銅山川の畔に位置する「観月」で立ち寄り入浴してまいりました。


 
雅やかなロビーで入浴をお願いしますと、女将は笑顔で快く迎えてくれ、お風呂へ向かうエレベータまで親切に案内してくださいました。このエレベータが特徴的でして、竹林の写真を印刷したカッティングシートが躯体内に貼られているのです。またその画像には遠近感があるため、ドアが開いた刹那には奥の方へ竹林が続いているのかと錯覚してしまいました。「観月」という名前のお宿ですから、もしかしたらかぐや姫をイメージなしているのかな。そんな想像をしながら、浴室のある5階へと上がります。


 
エレベータで5階に到達すると、すぐ目の前に浴室入口の暖簾が下がっていました。なおエレベータホールには冷茶のサービスが用意されていましたので、湯上がりにありがたくいただきました。


 
とても綺麗で明るい脱衣室。棚に収められた籠は大きく、洗面台は2基設けられ、ドライヤーも2台あって、使い勝手良好です。


 
浴室(内湯)の左側には大きな浴槽がひとつ据えられ、右側には洗い場が配置されています。洗い場にはシャワー混合水栓が5基並んでいました。室内側面はオフホワイトのタイル貼りで、床には十和田石が採用されており、歩くと足裏に気持ち良い感覚が伝わってきます。


 
浴槽は手前側が広くて奥へ行くほど狭まってゆく台形を倒したような形状をしており、容量としては13~14人といったところでしょうか、肘折のお風呂にしては大きな方かと思われます。お湯の投入口には扇形の化粧石が施されており、そこから注がれるお湯は湯船を満たした後、脱衣室側の湯尻より排湯されてゆきます。浴槽縁の石材は赤茶けており、私が湯船に浸かるとその縁から洗い場へ向かってお湯が勢い良くオーバーフローしていきました。


 
内湯から屋外へ出るドアを開けると、まるで環状列石のように縁取りの岩が円を描く屋上露天風呂がお湯を湛えていました。内湯の大きさとは対照的に、こちらはコンパクトな2~3人サイズですが、周囲に配置された石灯籠や四阿などが日本庭園風の風情を演出しています。また四阿に覆われているので、降雪(雨)時でも冷たい思いをすることなく湯浴みできます。


 
手すりから景色を眺めると、目下には銅山川が左右に流れており、ちょうど目の前には川を跨ぐ歩行者専用橋が架かっていました。日本屈指の豪雪地帯ですから、辺りは川面以外すっかり深い雪に覆われていますね。


 
湯口から注がれるお湯はかなり熱く、しかもしっかりとした量が投入されていたのですが、氷点下の外気が熱を奪ってゆくのか、湯船では44℃くらいの湯加減まで下がっており、ちょっと熱めではあるものの、外気によるクールダウンと入浴を繰り返すには寧ろ丁度良い熱さでした。また、露天のお湯は岩の隙間からオーバーフローしており、温泉成分の付着によって黒ずんだ流路には千枚田を連想させる鱗状の石灰析出が現れています。その析出は小さいながらも頑丈で鋭く、千枚田を素足で踏むと足裏に激痛が走りました。

内湯・露天ともに、使用されている源泉は2号および3・4号の混合泉でして、肘折温泉の旅館では一般的なお湯であるとも言え、薄い山吹色に濁るお湯からは、昆布茶のような塩気と出汁味、金気や土類感、そして弱い炭酸味が感じられました。館内表示によれば、いずれの浴槽においても温度調整のために山水を加えた上で放流式の湯使いを実践しているそうです。

旅慣れていない方ですと湯治宿的なお宿は抵抗感が場合も多いかと思いますが、こちらのお宿はれっきとした旅館タイプのお宿ですし、スタッフの方の対応も宜しく、しかも観光客が大好きな露天風呂もありますので、初めて肘折温泉で泊まる方には優しいお宿かもしれませんね。


組合2号・3号・4号源泉
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 pH7.3 貯湯槽64.6℃ 蒸発残留物3053mg/kg 
Na+:944.1mg, Mg++:28.6mg, Ca++:88.6mg, Fe++:1.1mg,
Cl-:1066mg, Br-:2.5mg, I-:0.3mg, SO4--:242.2mg, HCO3-:920.8mg,
H2SiO3:148.0mg, HBO2:61.3mg, CO2:181.2mg,
(平成22年7月2日)
高温のため山水を加水

山形県最上郡大蔵村大字南山516
0233-76-2777
ホームページ

日帰り入浴13:30~18:00
500円
シャンプー類・ドライヤーあり、貴重品は帳場預かり

私の好み:★★+0.5

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