温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

小野川温泉 老人福祉センター寿山荘

2015年03月10日 | 山形県
 
前回記事ではリニューアルされたばかりの小野川温泉共同浴場「滝の湯」を取り上げましたが、せっかく遠路はるばる小野川までやって来ておきながら、一湯だけで帰るのはもったいないので、温泉街を抜けた先にある老人福祉センター「寿山荘」でもひとっ風呂浴びてまいりました。後背の山には小野川スキー場のゲレンデが広がっており、時折歓声がこちらまで聞こえてきました。



日本各地の温泉地にある公営老人福祉施設にはえてして温泉が引かれており、外来入浴が可能な施設な場合が結構多いのですが、この「寿山荘」も外来入浴がウェルカムであり、玄関右手の受付で入浴をお願いしますと、職員の方が快く対応してくださいました。なお受付では短冊みたいな小さな用紙に自分の名前・電話番号・人数を記入するのがこちらのルールとなっております。


 
建物は左右に長い造りとなっており、受付が位置してるのはその中央部分。受付から右に曲がって廊下を真っ直ぐ進んだ突き当たりに浴室があります。廊下の途中には大広間があり、私の訪問時は老人団体が貸し切り利用中で、大賑わいのご様子。襖の向こうから半音ズレたおじいちゃんの歌声で、大川栄策「さざんかの宿」のカラオケが聞こえてきました。お年寄り達が元気に楽しく過ごせる憩いの施設なんですね。

男女両浴室の入口前には、昭和の生活をテーマとする博物館に所蔵されていてもおかしくなさそうな骨董品級のマッサージチェアが2台並んでいました。比較的最近プリントアウトされたと思しき「10円です」と記された張り紙があるということは、現役で動くってことだな。そういえばマッサージチェアをはじめ、商店街の店先に置かれていた子供向けの電動遊具(具体例:サトちゃんムーバー)など、昭和50年代までコインで動くものは大抵10円でしたよね。


 
年季が入っている脱衣室は、古いもののそこそこ広く、棚の上部は松竹錠が取り付けられています。扇風機も設置されていますので、湯上がりのクールダウン対策も問題ありません。



冬の温泉ですので、浴室内には湯気が朦々と篭っており、見辛い画像になってしまいました。
浴室は男女別の内湯が一室ずつ。露天などの無い実用的なお風呂で、長年使われ続けているらしく、昭和の匂いを強く漂わせています。室内空間にはかなり余裕があるのですが、その一角に浴槽はひとつ据えられているばかりで、せっかくのスペースを持て余していました。無駄に広い浴室ですが、2方向が窓ガラスとなっているので採光状態が良く、湯気の篭もりさえ無ければ、画像でもその広さを実感いただけたかと思います。


 
桶類がきれいに並べられた洗い場には、シャワー付きカランが4基設けられています。水栓から吐出されるお湯は真湯ですが、水栓自体は室内に漂う温泉の影響を受け、硫化によって青黒く変色していました。水栓など金属類の硫化は、管理なさっている方には迷惑な現象でしょうけど、私のような人間にとっては、温泉に含まれる硫黄がビジュアル的に確認できるので、見かける度につい嬉しくなってしまいます。


  
浴槽の大きさは目測で3メートル四方。広い室内に対して、その4分の1ほどのスペースを占めています。浴槽の縁からはお湯がしっかり溢れ出ており、館内表示によれば循環の無い掛け流しとのこと。槽内には石材が用いられ、底面には穴があいたステンレスの蓋が敷かれているのですが、この蓋の目的って何なのでしょう。


 
信楽焼のタヌキが置かれた湯口より源泉が落とされ、直下に張られたネットによって湯の花が濾されています。ネット内には黄色い湯の花がたくさん捕捉されていましたが、それでも網の目をすり抜けた小さな湯の花が湯中をちらほらと舞っていました。湯の花って温泉情緒を高めてくれる存在ですが、温泉を毎日のお風呂として使う人にとっては邪魔者でしかありませんから、このようにネットが取り付けられているのでしょう。

お湯は無色透明で比較的透明度が高く、この時はピリッと熱い44~5℃ほどの湯加減でした。小野川温泉では一般的に、熱い4号源泉とぬるめの5号源泉をミックスさせることによって温度調整し、掛け流しを実現させている施設が多いのですが、館内表示によればこちらの施設では4号源泉を単独で引いているらしく、加水によって温度調整しているんだとか。湯口のお湯に触れたところ、確実に50℃以上はありそうな熱い状態でしたから、この日は加水の程度を最低限に抑えていたか、もしくは無加水状態だったのかもしれません。塩味の効いたタマゴ味と、ふんわりと香るタマゴ臭が実に心地良く、ピリッと熱めの湯加減とトロミを伴う浴感が小野川の湯に浸かっていることを実感させてくれます。4号と5号の混合泉より味・匂いともに若干マイルドだったように感じられましたが、これが加水の影響かどうかわわかりません。また塩素系薬剤を使用しているとのことですが、それらしき臭いも嗅ぎ取れませんでした(私の嗅覚は鈍感なので、あてにしないでくださいね)。屁理屈が長くなってしまいましたが、早い話、良いお湯なのであります。

営業時間が短く、建物もかなり古くて無機的ですが、「滝の湯」が250円に値上げされた今日、100円玉2枚でシャワー付きの掛け流し温泉を利用できるのですから、現状では小野川温泉において最もコストパフォーマンスが良い施設ではないかと思われます。


協組4号源泉
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 50.5℃ pH7.0 溶存物質3710.0mg/kg 成分総計3730.7mg/kg
Na+:849.5mg(59.16mval%), Ca++:465.1mg(37.16mval%),
Cl-:2099.0mg(97.00mval%), HS-:0.3mg, S2O3--:2.8mg, SO4--:44.6mg, HCO3-:48.7mg,
H2SiO3:110.7mg, H2S:0.2mg,
(平成21年5月1日)
加温循環なし、温度調整のため加水あり、衛生管理のため塩素系薬剤を使用

山形県米沢市小野川町1816-1  地図
0238-32-2201

10:00~16:00
200円(休憩等は不可)
脱衣室の棚の一部は施錠可、シャンプー類あり、ドライヤー見当たらず

私の好み:★★+0.5


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