温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

台湾最後の現役サトウキビ列車 虎尾糖廠のトロッコ その5・工場へ向かって走るトロッコ

2016年04月20日 | 台湾
前回記事「台湾最後の現役サトウキビ列車 虎尾糖廠のトロッコ その4・入換作業」の続編です。


各積込所で増結を重ねて長編成となったトロッコは、一路工場へ向けてゆっくりと走ってゆきます。小さな機関車が出せるパワーには限られているのか、列車の速度は自転車でも追い越せるほどゆっくりです。



台湾新幹線の高架下を通過するトロッコ。このすぐ先で、路面電車のように、車道に線路が敷設された併用軌道区間を走行するため、車など他の交通との接触事故を防ぐべく、機関車は警笛をビービーと大音量で鳴らしまくっています。
今回は残念ながら、トロッコと新幹線との邂逅を目にすることはできませんでした。



併用軌道を走行するトロッコ。上画像の後ろを横切っている高架は台湾高鉄(台湾新幹線)です。前近代的なサトウキビ列車と、現代台湾の象徴と言うべき台湾新幹線が交差する光景は、非常に印象的です。

なお、この併用軌道付近には、国共内戦で大陸から敗走してきた国民党外省人を住まわせるための集落である「眷村」の跡(廃墟)が残っており、集落内の家屋には日本統治時代に建てられたものや、戦いの痕跡なども残っているため、今回私はトロッコを追いかけるついでに、この「眷村」も見学してまいりました。その時の様子についてはまた後日紹介させていただきます。



サトウキビ列車と車・バイク・歩行者などが同じ道を共有する併用軌道では、サトウキビ列車の走行が最優先されますから、列車の通過に遭遇しちゃった車などは、列車が通過するまでその場で停止してやり過ごさないといけません。トロッコは長くて遅いので、待っている間はイライラするんでしょうね。列車が通過するやいなや、車やバイクはすぐに線路を越えていきました。


 
 
虎尾の街中に入ったトロッコの線路は、下町風情たっぷりな庶民的な街並みの中を走ってゆきます。いや、単なる街中というより、生活臭が強く漂う民家の裏庭に線路が敷かれているような感じですね。道床はドロドロだし水溜りはできているし、とてもこの線路が現役だとは思えません。実際に、トロッコが運転されない春から秋の間、近所の方々はこの線路を駐車場や物置など、バックヤード的に使ってしまうんだそうです。



パッと見ただけでは、いまでも現役なのか疑わしいほど整備の程度がよろしくない線路でしたが、その場で待っていますと、サトウキビを満載した貨車を牽引しながら、オレンジ色の機関車がエグゾースト音を響かせながら、この頼りない線路を走ってきました。

「虎尾糖廠のサトウキビ列車 虎尾市街を走るトロッコ」

(2016年3月9日撮影・2分11秒)


 
トロッコが走り去って行くと、線路のまわりはすぐに民家の裏庭みたいな雰囲気を取り戻しました。
そしてトロッコは虎尾糖廠の構内へと入ったのでした。

次回および次々回記事は一旦日本に戻りますが、その後の記事では、虎尾サトウキビ列車の番外編として、虎尾に旅客鉄道が走っていた頃の様子を今に伝える、再現駅舎や鉄橋の跡などを取り上げます。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 台湾最後の現役サトウキビ列... | トップ | 栗駒 駒の湯温泉 今季(201... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
サトウキビ列車 (ももママ)
2016-05-27 21:22:13
 ずっとずっと、虎尾サトウキビ列車の記事について、コメントさせていただこうと思いながらも、自分のブログをアップするのが精一杯で、なかなか書き込みまでできないでいました。
 虎尾へ行かれたのは、おそらくサトウキビ列車が目的でいらっしゃるのではないかと思っていましたが、やはりそうだったのですね。知る人ぞ知る、実際にサトウキビを載せて働く列車ですから、その姿をご覧になって感動されたのではないでしょうか。
 そしてさすがはK-Iさん、取材力が半端じゃないですね。見てこられたことを隈なく書かれ、情報満載で素晴らしい記事にされていて、パソコン画面の前で一人で拍手しておりました。
 それで、うちの者にもK-Iさんのサトウキビ列車の記事を見せて紹介したところ、「え、こんなの虎尾にあったの?」と、見たそうにしておりました。やはり、男の人はこういうのが好きなのですね。私も乗り物は大好きなんですが、強いて言えば「撮り鉄」派よりも「乗り鉄」派なので、この間の虎尾旅行には予定に組み込みませんでした。
 が、うちの者が「知ってるんだったら教えてくれたらよかったのに」と残念そうに言うので、次回機会があれば見てみよう(というか見せてやろう)かと思いますが、列車を見るのは期間限定なんですよね?というか、将来はないかもしれないんでしょうか?
返信する
Unknown (K-I)
2016-05-28 02:27:00
ももママさん、こんばんは。
お忙しいのにわざわざコメントを書き込んでくださりありがとうございます。お察しの通り、サトウキビ列車が走る光景を自分の目で観たくなって、虎尾へと出かけたのでした。
ブログ記事では冗長で退屈な内容になってしまったと恐縮しているのですが、それでもお読みくださり嬉しく思っております。私も撮る方は全くの素人なのですが、さすがにこのトロッコは乗るわけにいかないので(笑)、サトウキビの葉が擦れる音や風を感じながら、トロッコが走る様子を外から眺めておりました。サトウキビ畑の中を走る光景はとてものんびりしており、また台湾の歴史を物語っているようでもあり、とても魅力的でした。時の流れが早い台湾にあって、この線路のまわりだけは流れ方が違っているように感じられました。
毎年のように廃止の噂が出ているため、次期も運行されるかどうか不確定なのですが、もし運行されるのであれば、今年の12月頃から来年3月までトロッコの走行シーンが見られるはずです。

私もももママさんのブログを拝見し、、「え、こんなの虎尾にあったの?」と全く同じ感想を抱いたポイントがいくつもありましたので、次回虎尾方面へ足を運ぶ際には、是非立ち寄ってみたいと考えています(可愛らしいタオルのお店でお土産を買いたいです)。

虎尾とは無関係ですが、一昨日(かその前後)にオープンした新竹のセブンイレブン旗艦店(湖口廠門市)にも行ってみたいですね。コンビニらしくない大規模店舗である上、オープンちゃんのテーマパークみたいになっていて、かなり面白そうです。
http://www.openopen.com.tw/blog/blog.asp?id=112381
返信する

コメントを投稿