温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

祖谷温泉 ホテル祖谷温泉

2011年05月08日 | 四国(香川・徳島・愛媛・高知)
温泉をこよなく愛する私は、旅行を計画するにあたって、まずその地に温泉があるかどうかが第一条件になってしまったため、温泉の絶対数が少ない四国はどうしても候補に挙がりにくいのですが、このままでは訪問先に地域的な偏重が発生してしまうために、3月の連休、ふらっと四国へ出かけました。

まずは以前から行きたかった徳島県の秘境に湧く祖谷(いや)温泉へ。


阿波池田駅から右斜め前にちょっと歩いたところにあるバスターミナルから、四国交通のバス「出谷経由かずら橋」行に乗車。1日3本しか運行しないこのバスはとにかくスリル満点なのです。

 
バスは秘境祖谷渓の険阻艱難をしがみつくように開かれた徳島県道32号線を進むのですが、バス1台がやっと通れるような狭隘なクネクネ道がひたすら続き、しかも路肩を踏み外したら数百メートル下へ転落してしまいそうな急な断崖絶壁の上を走るのです。急カーブではいまにも脱輪しそうな感じ。バスに乗りながら思わず手に汗握ってしまいました。途中「風呂の谷」という地点では、この県道(いや険道)名物の小便小僧を見学。祖谷渓では最も深い谷なんだそうで、あまりの高さに膝がガクガク。

 
阿波池田から約1時間でホテル祖谷温泉に到着。今回は日帰り入浴をお願いしました。

 
この温泉の名物である露天風呂は祖谷渓の谷底にあるのですが、ホテル自体は山腹に建てられているので、お風呂へは専用のケーブルカーで移動します。高低差170m、上下駅間距離250m、レールの勾配42度、所要時間5分という、なかなか本格的な乗り物。

 
このケーブルカー、なんと自分で運転するのです。扉の開閉もセルフ。先頭に立ち、運転OKのランプが点灯していることを確認してから、「下り」ボタンを押してレッツゴー!
先頭から見下ろすと、もの凄い急な傾斜ですね。


車内はこんな感じです。小さいながら立派な造り。宿の方の話だと、小さな男の子はお風呂へ入ることよりも、ケーブルカーの操作に夢中になってしまうんだとか。オイラもその気持ちわかるぜ!


下から見上げると勾配がいかに急であるかがよくわかります。

 
下に到着。乗り場には待合室も設けられています。室内には秘湯を守る会の提灯がぶらさがっていました。エアコン完備の綺麗なお部屋。

 
本棟から離れた谷底の湯屋だからといって侮ることなかれ、ウッディな脱衣所は実に綺麗で清潔。こちらもエアコンあり。

 
露天風呂は渓流沿いに設けられており、湯浴みしながら川を眺められる絶好のロケーションです。
洗い場は無いので、桶で湯船のお湯を掬って掛け湯することになります。
浴槽は20人近く入れそうな大きなもので、屋根にしっかり覆われています。

 
湯口からは大量のお湯がドバドバ投入されています。加水加温循環消毒なし。大量投入される源泉湯に押し出されるように、浴槽のお湯は川へザコザコ捨てられています。大量掛け流しのおかげで浴槽のお湯は常に新鮮。無色澄明、ほろ苦さを帯びたはっきりとしたタマゴ味。明瞭なタマゴ臭が感じられ、その匂いは湯口や浴槽からのみならず、脱衣所からお風呂に近づいてゆく途中でも確認できます。とっても柔らかい肌触りで、且つヌルヌルを伴うツルツルスベスベ浴感が気持ち良く、また泡つきも夥しくてお湯に入ると忽ち全身が気泡に包まれます。その気泡の多さゆえ、お湯が流れてゆくところは白濁してみえるほどです。
ぬるめなので(38~9℃くらいか)冬だと湯あがりがちょっとツライかもしれませんが、じっくり長湯すれば全身ホコホコしますよ。むしろ長湯するためのお湯と言っても過言じゃありません。浴感が良いので、いつまでも入っていたくなり、後ろ髪ひかれてなかなか出られません。
四国でこんな大量掛け流しは珍しいかもしれません。

 
本棟には内湯もあります。フロントは4階ですが、内湯は2階なので、利用するには階段を下りていくことになります。この内湯は谷に面してガラス張りなので、展望がとってもよろしい。でもお湯は加温循環です。一応浴槽からお湯がオーバーフローしているので半循環だと思いますが…。露天は洗い場が無くて浴槽もぬるめなので、体を洗ったり体を温めたりと、実用的な入浴するにはこの内湯がいいでしょうね。

 

お昼の腹拵えをすべく、フロント隣のレストランで祖谷そば(てんぷらそば)を注文。このレストランも渓谷を見下ろす展望が素晴らしい。お蕎麦は皮ごと挽いた太い麺で、つなぎを入れていないためにボロボロ崩れやすいのですが、十割そばならではの蕎麦の香りが芳醇で、とっても美味しくいただきました。

なおこの祖谷温泉が旅館として本格営業を開始したのは今から40~50年ほど前のこと。当時、四国電力が水力発電所を開発するために祖谷川の渓谷を調査しているときに源泉が発見され、その後徳島県の手によって本格的にボーリングが行われて自噴の温泉が得られたんだそうです。それにしてもよくこんな秘境を開発できたものですね。


アルカリ性単純硫黄温泉 38℃ 溶存成分0.29g/kg 成分総計0.29g/kg

JR土讃線・阿波池田駅より四国交通バスの「出谷経由かずら橋」行で祖谷温泉前バス停下車すぐ
徳島県三好市池田町松尾松本367-2  地図
0883-75-2311
ホームページ

7:30~18:00(受付は17:00まで)
1500円
(阿波池田駅前の観光案内所で入手できる徳島トクトククーポンを利用すれば10%割引)
露天:ロッカー・ドライヤーあり、シャンプー類なし
内湯:ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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2 コメント

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なんか新しくなっている気がするのだ (ゆたか&はじめっち&みならいかのん&つるみん)
2017-01-30 12:22:51
祖谷口って駅があるから、ここで降りて
少し行ったら祖谷ってとこに行けるかと思ったら、
えんえん民家がぽつりぽつりある山道で、
最終目的地の「一宇」ってとこまでえらい時間がかかった、
その途中に偶然に見つけたのがこの温泉なのす。
「四国にはない」と言われた温泉があった驚きは、「(ないの)うそじゃん!」す。
・・・よく考えたら「道後温泉」とかいうのもあるじゃん!すゆたか

あれ?ケーブルカーこんなにデカかったっけ!
数人乗ったらケーブル切れるんでないの?っていう
乗り物だった気がしますが…う~ん記憶違い化も。
・・・できるだけ後ろのほうに乗っていたようなはじめっち

お風呂もよかったのですが、「からまつの湯」の如く、
渓流遊びをしながら、出たり入ったりして楽しかったです。
ケーブル上がって忘れ物をしたら、無料でも一回取りに行かせてくれました。
・・・財布が入っていたもんでみならいかのん

あたいはむずかしいことはよくわかんないけども、
おそばは、うん、おいしかったのだ。
きっと「つなぎ」に少しくらい「コムギ」が入っていても、
きっと味はそんなに変わんないのだ。
・・・ついでに「そば湯」をたらふく飲ませてくれたらもっとよかったのだつるみん小心者なんでおかわりたのめなかったのだ


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Unknown (K-I)
2017-01-30 20:13:21
いつ頃いらっしゃったのか存じ上げませんが、間違いなく建物などは全面改修されて新しくなっているかと思います。秘境とはいえ、今は車でアクセスできますから、以前ほどの秘境感は無いのかもしれませんね。でもおっしゃるように、温泉不毛の地と言われる四国だと信じられないくらいに、湯量豊富で良質な温泉ですよね。
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