温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

松之山温泉 ひなの宿ちとせ(2017年再訪) その2 大浴場と露天風呂

2018年01月14日 | 新潟県
前回記事「その1 客室・お食事編」の続編です。

前回記事では客室とお食事について取り上げましたが、お腹を満たした次はお風呂へと参りましょう。
お宿には男女別の大浴場「ほんやらの湯」の他、時間によって男女の暖簾を架け替えている露天風呂「月見の湯」、そして2つの貸切風呂があり、今回は欲張ってその全てを制覇しちゃいました。今回記事では大浴場「ほんやらの湯」と露天風呂「月見の湯」を取り上げます。なおこの2浴場に関しては、以前日帰り入浴で利用したことがあり、その時の記録は拙ブログでもご紹介しております。


●大浴場「ほんやらの湯」
(以前拙ブログで取り上げた「ほんやらの湯」の記事はこちらです)

 
フロント斜め奥に位置する男女別大浴場「ほんやらの湯」。女湯には「あねちゃ」、男湯には「あにちゃ」の札が掛かっています。両者は「ね」か「に」かという一文字違いに過ぎませんから、よく字を確かめてから中へ入りましょう。くれぐれも誤った脱衣室に迷い込んで大騒ぎになりませんよう。
和の趣きたっぷりな脱衣室を抜けて浴室に入ると、松之山温泉ならではの強いアブラ臭がツンと鼻孔をくすぐってくれます。湯気とともに室内に充満するアブラ臭に、私はついつい小躍りしてしまいました。内湯の様子は前回訪問時と全く変わっていません。落ち着いた雰囲気の中に据えられている木製の浴槽は、この日も堂々たる構えでお湯を湛えていました。そんな浴槽に侍るような形で二手に分かれた洗い場には、計8基のシャワー付きカランが設置されています。
浴槽の湯口からチョロチョロと落とされている温泉は激熱で、直に触れたら火傷すること間違いなし。しかも強いアブラ臭を放ち、強烈に塩辛いお湯です。海から遠く離れた山奥なのに、塩辛い温泉が湧くのですから、松之山温泉って本当に不思議ですね。なお内湯では、こうした新鮮なお湯を投入しながら循環装置も併用しており、これによって適度な湯加減に調整しています。


 
大浴場に付帯している露天風呂は、お宿の建物と裏山に挟まれた隙間に設けられており、裏山の法面が目の前に迫っているため景観を期待することはできないのですが、外気に触れながら湯あみを楽しむことならできます。特に松之山温泉のお湯は力強く火照りますから、体をクールダウンさせるためにも露天ゾーンはありがたい存在です。この露天は5~6人サイズの岩風呂で、底面は鉄平石敷き。山側に積み上げられている岩の湯口から熱いお湯が注がれています。
上述のように内湯は循環併用ですが、露天風呂は源泉100%の掛け流し。トロッとした濃いお湯の中では、飴色を帯びた膜状の浮遊物がユラユラと舞っていました。また湯船に体を沈めるとピリッとくる刺激が感じられるのですが、これはお湯の熱さというよりも塩分濃度の濃さが原因かと思われます。とにかく火照るお湯ですから、長湯は禁物。適度に湯船から出て、体を休めましょう。



お風呂から上がった後も、しっかりと体を休めることが大切。大浴場前の湯上がり処ではアイスキャンディーの無料提供が実施されていましたから、ありがたくいただくことに。風呂上がりの冷たいアイスキャンディーはとっても美味い!


 
またこの湯上がり処では温泉卵も無料で提供されていました。この温泉卵は90℃の激熱な温泉で茹でたもので、味付けも何もしていないのに、茹で上がった卵には塩味がついているのです。浸透圧の関係で塩辛い温泉成分が殻を抜けてタマゴへと染み込んだのでしょうけど、温泉のお湯が味の元になっているのですから、実に面白いですね。


●露天風呂「月見の湯」
(以前拙ブログで取り上げた「月見の湯」の記事はこちらです)

お宿ご自慢の露天風呂「月見の湯」。以前の記事でも説明しましたが、浴場がひとつしかないため、時間帯による男女入れ替え制となっています。具体的には、6:30~12:00は女湯、13:00~18:30は男湯、19:00~23:00は女湯となり、これ以外の時間帯はクローズされます(従いまして、日帰り入浴の場合は10:00~12:00が女湯、13:00~15:00が男湯となります)。


 
まずはエレベーターで3階に上がり、浴場名が記された行灯の前にある戸を開け、渡り廊下を進んでいきます。お風呂の名前には月見とありますが、私が宿泊した盛夏の頃は宵の口でもまだ明るいため、残念ながら男湯の時間帯は宵のお月様と縁がありません。湯浴みしながらお月様を仰ぎ見られるのは、女性の方の特権です。
脱衣室は至って質素で、棚と籠が備え付けられているばかりですが、全身が強烈に火照るお湯であり、かつ水分補給が欠かせないお湯でもあるので、室内にはウォーターサーバが用意されていました。こうした心配りは実にありがたいですね。


 
立派な木材を多用した露天風呂は周囲の環境や景色と上手く調和しており、その場に佇んでいるだけでも心が穏やかになるような気がします。湯船の上には大きな屋根が建てられており、積雪期にはこの屋根が湯船とお客さんをしっかり護ってくれ、また私が訪れた盛夏には雨や日差しなどを凌いでくれます。この露天風呂には洗い場が少ないため(立って使うシャワーが1基のみ)、予め1階の大浴場で体や頭を洗ってから利用した方が良いでしょう。


 

四方を立派な木材で囲まれた浴槽はおおよそ3m×5m。槽内は石板貼りです。浴槽の中央には丸太が一本渡されているのですが、これは固定されていませんので、適宜移動させることができます。私はこれを枕代わりに使うことで、良い塩梅に入浴することができました。また、縁の上にも木の枕が置かれており、湯船にもたれながらこれに頭を載せると、これまたリラックスした姿勢で湯浴みできるんですね。
この「月見の湯」は源泉100%掛け流し。強いアブラ臭を放つ湯口のお湯は激熱ですから、迂闊に触ると火傷するかもしれません。アツアツな温泉を加水することなく、投入量の調整によって湯加減を維持しており、以前私が日帰りで訪れた冬ですら投入量は絞り気味でしたが、今回の盛夏期はさらに量が細くなっており、それゆえ正直なところ湯船のお湯は若干鈍り気味でした。特にお客さんが集まってくる夕食前はその傾向が顕著だったように思われます。激熱な源泉を薄めることなく適温にするにはどうしたらよいのか、湯守の方はかなり苦心なさっていると想像に難くありませんから、こればかりは致し方のないことなのでしょう。
でも薄めていない濃厚な状態ですから、この塩辛いお湯は大変力強く、時には凶暴に火照ります。長湯せず適宜湯船から上がって、山の風に吹かれながらクールダウンすることが欠かせません。また脱衣室のウォーターサーバーでこまめに水分補給もしましょう。入浴と休憩をこまめに繰り返すことで、心身をすっかり癒すことができました。

さて次回記事では、2室ある貸切風呂に入ります。

次回記事に続く。







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