小野田楽の歌綴りエッセー

昭和の流行歌が大好きです。
オリジナルの歌謡詞とエッセーを綴ります。

憧れの『新歌謡界』

2017年05月17日 | 歌について考える
 かつての昭和歌謡黄金時代には、作詞家志望者が歌謡詞を
投稿し、優秀な作品が冊子にまとめられた歌謡同人誌が発行
されていました。中でも有名なのは、「憧れのハワイ航路」
「悲しい酒」「矢切の渡し」等で知られる作詞家の石本美由
起先生が主宰していた『新歌謡界』です。ここから、宮川哲
夫、星野哲郎、石坂まさを、山上路夫(敬称略)等々の錚々
たる作詞家が輩出されました。この才能豊かな集団の切磋琢
磨は、どれほど熱く、楽しいものだったのでしょうか。出来
ることなら、一度でいいからその時代を生きて、石本先生の
弟子になりたかったというのが、私にとっての永遠の夢です。
 また特筆すべきは、石本先生が『新歌謡界』を作ったのは、
決してご自身が大御所になられた後ではなく、まだ駆け出し
の時だったということです。同じレコード会社の先輩に「リ
ンゴの唄」のサトウハチロー先生や「青い山脈」の西条八十
先生がいて、自分のことで精いっぱいだった時に、あえて後
進に道を作る、そこに石本先生の偉大さがあると思います。
ただし、「駆け出し」とは言っても、すでに「長崎のザボン
売り」「憧れのハワイ航路」という歌謡史に残る大ヒットを
連発されていたわけで、それでいてなお、駆け出し扱いだっ
たなんて、考えてみればみるほど、すごい時代の話です。や
っぱり、安易に「あの時代に生まれたかった」なんて言うの
はよそう・・・。

(追記)
ちなみに、星野哲郎先生の著書『歌、いとしきものよ』によ
ると、「長崎のザボン売り」「憧れのハワイ航路」という大
ヒット曲は、石本先生がアマチュアに近い頃の作品であり、
レコード会社に作品自体を買い取られ、本来入るであったで
あろう莫大な印税は入らなかったそうです。これもすごい話
です。

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