one's works. my works!


one'sとは「その人の」と言う意味です。
僕らはone'sに「皆様の」と言う思いを込めました。

指輪物語~購入編~☆君、それちょっと違うやろ☆  (田中)

2007年12月25日 23時58分43秒 | コイバナ・・・哀愁の村に雪は降るのだ
ヴァナ・ディールもクリスマス。
クリスマスなのにも関わらずそんなのお構いなしにゲームやってる君らが大好きだ。
青く晴れ渡った空。
綺麗に飾り付けられたツリー。
今日で(今年の)この飾りも終りかと思うとちょっと寂しかったり。
ここ最近はチョコボの育成のみであまりログインも出来てない状態ですがそれも偏にGジェネレーションポータブルにどっぷりとはまってるからです。
クインマンサを強烈に強くしすぎてしまいパイロットの能力も相まってもうこれ一機で全ステージがクリアできそうな勢いです。

ああ、だらだらと関係の無い話しを。

指輪、指輪。

実はですね、この指輪を買いに行くミッション(?)。
かなり緊張しました。
大体、女性に指輪を贈るのは初めてですよ。
いや、シルバーリングとか嫁さんにも買ってあげたりはしたけど。
結婚指輪も一緒に買いに行った。
けどあれは僕にとっては「義務」みたいなもので「結婚するなら結婚指輪が要るんだろうな」ってかなり軽いノリで買いに行った訳ですよ、2人で。

それが今回はちと違う。
嫁が娘と娘の友達を連れて学校が終わってから映画を観に行く僅かな時間。(正確にはそのあとママさんズと食事に行ってるので時間は割とあった)

いんや~。
それにしても緊張した。
あんなもんしらーっと買いに行ける御仁が羨ましい。
ショップも3件周った。
7で。
あの日R23を暴走してたのは僕です。
ま、そのおかげで(?)キャブも落っこちた訳ですが。
直ってくるの金曜日ですってよ、奥さん。
しかしあれですね、乗れないとなると乗りたくなるから不思議、ってまた違う話に。

たかだか数万円の指輪(っても大金には違いないんだけど見てると数十万円円のとか平気であるじゃないですか。だんだんと麻痺してきてた、最後の方。)を買うにも大袈裟な様ですが清水の舞台から飛び降りる感覚。

指輪を選ぶについての条件。

①値段(当たり前ですよね。予算に限りはあります。)
②でっぱりが無い事。(お客様の髪に引っ掛っては大変。)
③普段に普通に着けられる事。(なので立派すぎるのはNG・・・ってか買えません!)
④プラチナの台にダイヤモンド。(嫁さんはプラチナ以外はかぶれるらしいのと宝石の類を持ってない。)

このうち①の値段に関しては大体どこのお店もクリア。
安いのだとプラチナ+ダイヤでも5万円までであったりする。
問題は②と③。
出っ張りが無いのが案外と少ない。
特にダイヤが付いてるのになるとやたらと出っ張ってる気がする。
石の大きさも微妙。
細かいのがぎっちり詰まってるのも可愛いと思ったのですが何となく嫁には合わない気もする。

それにしても平日の昼間にジュエリーショップに来てるのはブルジョワ~なマダ~ムさんが多いのはどう言う事だ。
完全なる場違い。
ダブルのライダース、髪を下ろしてブーツ履いて。
みんなジロジロ見てくる。
店員ちゃんさえきやしない。
いや、何やらモニターらしきものをじーっと見てる感じはする。
そんな怪しく見えるんだな・・・

1、2件目はまだそれでも良かった。
どうにか普通に対応してくれた。
問題は3件目。
ここでは本当に誰も寄って来ない。
普段の僕なら1分で出てくるところ。
が、もう時間も押してきてるのでここで決めなきゃ駄目っぽい。
最初の2件を見て質の悪いダイヤは何となく白っぽいとかが判ってきてる(ような気がしてただけかも)。
あとは値段と形。
30分ぐらい右往左往してたでしょうか。
ようやくやってくる店員ちゃん。
やたら可愛い店員ちゃん。

「彼女にプレゼントですか~?」とにこやかに。
おいおい、40面ぶらさげたおっさんを捕まえて「彼女~」って事は「あんたそこそこの年齢に見えるけどその長髪と冴えない皮ジャンじゃあ結婚とかしてねーだろ。むしろ彼女とかって自分で思ってるだけだろ。」って感じですか。
ふふふふふふふふ・・・
違うのだよ、店員ちゃん。
こんな俺様でも一応は結婚しちゃってんだよ。
ちゃんとした(?)奥さんなんだよ。
籍だって入れちゃってるのさ。
どうだ、参ったか。
とこの間2秒ぐらい。

そんな40男の心の機微などお構い無しに喋りかけてくる店員ちゃん。
如何にも「早く売りつけて返してしまえ」感がバリバリ。
いつもの僕なら1分で帰っただろう。
しかし今日はそう言う訳にも行かんのだよ。

あれやこれや悩み続ける僕にじょじょに親身になってくれてく店員ちゃん。
最初の「早く~」が嘘の様だ。
「もうどんどん悩んで下さいね☆(☆は無かったか・・・)」とか言って僕がよさそうだって言うのを全て自分の指に通してくれる。
「見てるのと着けるのと随分印象って変わるんですよぉ☆」

「私の彼氏なんて絶対にそんなの買ってくれませんよ」とか言ってる。
うん、なんならおっさんが買ってやってもよか。
とは言いませんでした、流石に。

最終的に3個に絞りそこからまた1時間程悩む。
値段は大体同じぐらい。
見た目にちょっと明るい感じなのが2個ともう1個はもともと着けてんのとあんまり代わり映えがしない指輪。

これはなぁ。
こんな時、世の男達はどうやって決めるのだろうか。
店員ちゃんに聞いたりするんだろうか。
僕は結局今まで着けてたのとそう変わらない方を選びました。
支払いを済ます段になって「いや、やっぱりさっきのもっかい見せて」とか言いそうになったり。

あんまり僕が一生懸命見てる(必死すぎて笑えたか)のが痛々しかったのかいつの間にやら店員ちゃん達が集まってきてるし。
支払いを無事済ませるとどっと疲れが。
24日にサイズ直しが上がると聞き「どうにか23日に間に合わせて欲しい」と懇願(あくまでも懇願)すると「大丈夫ですよ~、超特急でやらせますね☆(もうこの辺りでは完全に☆が付いてた気がする☆)」

そして帰り道。
7のキャブが落ちると言うオチがある訳ですが。


ダラダラと書き連ねてきましたが何が言いたいかって。
とにかく嫁さんへのプレゼント、って言うか今まで生きてきた中で一番緊張した買い物だったって事ですよ。
金額的には嫁さんにはもっと高価なものを贈ったりしてる訳ですが金額じゃないんですよね、あれ。

指輪。
凄いわ。
んでね、親父すげーって。


遅くなったけど。
全てのカップルと独り者の皆さんに。
Merry Christmas&GOD SPEED!!!


【おじさんだって】ファミレスラブストーリー【恋をしたい】  (田中)

2007年12月04日 16時53分23秒 | コイバナ・・・哀愁の村に雪は降るのだ
レストランS。
当時は名張に和食店と洋食店がありました。
和食店は10時まで、洋食店は夜中2時がオーダーストップでした。
これは和食店でバイトしてた時のお話です。

23歳でそろそろSでのバイトも辞めようかと思ってた頃その店の店長さんが交代しました。
そこはある一定の周期でスタッフがどんどん入れ替わっていってる様でした。
バイトさんが殆どの店では正社員と馴れ合いになってしまうからだと聞いた事があります。
大体数ヶ月~1年ぐらいで転勤だった様に思います。

それまでの店長さんが辞めて(印象が薄かったので忘れてしまった)新しく他店から赴任してきたのは今までで一番歳をとってる感じの方でした。
背も低くて小太り。
髪が無かった。
見た感じは50歳ぐらい。
厳しさも含めてとても貫禄のある方でした。
なので実年齢を聞いた時に驚きました。
今の僕と同じ40歳だったんです。

確かあの店長さんだったその年の10月に割と大きな台風がきました。
僕の住んでた村と名張を結ぶ368号線に大きな被害が出ました。
朝から夜7時ぐりまでは普通に通行できたのですがそれ以降から明け方までは復旧工事の為に通行止めになってしまいました。

美容院だけの仕事で終わってればこの368号線を使って普通に帰れるのですがSにバイトに行ってると奈良県を通ってかなり遠回りしなければなりませんでした。
20kmぐらいは遠回りした様に思います。
時間も余分にかかりますからもう辞めよう(Sを)とか思ってたんですね。
でもま、通勤手当を余分に貰えたらいいかなとか思って店長さんに言ってみました。
答えは

「そんな事は君の都合だしこっちには全く関係無い」でした。
ええもう取り付くしまもありません。
んだよ、じゃあもうやっぱり辞めっかな。
って思ってたらなんとその月から+20kmの通勤手当を付けてくれてありました。

とにかく「やり難い人」ってのが常日頃の印象でした。
それがいつの間にかやたらと喋ってくれる様になったんです。
何故か僕を呼ぶ時も「田中きゅ~ん」と。
きゅ~んて何よ。

今までの店長さんはかなりバイトさんとも仲良くやってたのですがこの店長さんは本当に厳しかったのでその「田中きゅ~ん」には他のスタッフはかなり驚き、またかなり引いてました。
一番びっくりしてたのは当たり前だけど僕な訳ですが。

スタッフルームで帰り支度をしてると度々この店長さんがやってきて色々な話をしてきました。
一通り話終わると満足するのか(?)また仕事に戻っていきます。

もうご結婚されてたのですが高校生のお嬢さんの事とか奥様の事とか。
愚痴とかじゃなくて本当に何でも無い日常の話。
昨日どんな事を話したとか。
別に聞きたくも無かった(まだ23歳とかで若かったので)けど。

そんな店長さんでしたが半年ぐらいで転勤になる事が決まりました。
いよいよ今日で最後って日。

またしても僕が帰り支度をしてる時にやってくる店長さん。

が、押し黙ったまま何も話さない。

何故か瞳に涙を浮かべてぽつりと僕に言ったのは

「田中君・・・燃える様な恋がしたいねぇ・・・」でした。

うざっ

って今風に言うとそんな風に思いました。

あの時、店長さんのその時の姿しか見てなかったから。
当たり前ですがその店長さんにも若い頃があったんですね。
今になって思うのはあの「燃える様な恋がしたいねぇ」は「自分が」じゃなくて僕に言ってくれた言葉だったんですよね。

「燃える様な恋愛をしなさい」って。

多分、ご自分の若い頃の姿も投影してらしたのでしょうか。

今なら判る。

そしてあの時の店長さんと同じ40歳になった今。
「年齢を重ねる事は悪くないな」と思います。
誰だっていつまでも若くいたいです。
でも「歳とんのも悪くないな」って今思えるのはあの時の店長さんの言葉があるからか。(燃えるry あったかどうかは?ですが)

そんな風に言える年齢って悪くない。
若いヤツに同じ様な事、言ってんですよ。
これがまた。

うざっ

とか思われてんでしょうね、きっと。


あの店長さん。
今、57歳ぐらいでしょうか。
今もきっとSで頑張ってらっしゃるかな。
色々と話したい事がある。
結構会いたいです。

【おじさんだって】ファミレスラブストーリー【恋をしたい】 ~予告~ (田中)

2007年12月02日 23時26分20秒 | コイバナ・・・哀愁の村に雪は降るのだ
☆~鋭意執筆中~☆
明日か明後日公開予定。

切ない四十男の心の叫び。
「田中君・・・燃える様な恋がしたいねぇ」
その男は遠い眼をしながら僕に訴えかけた。
キマズイ雰囲気。
そして今その男と同じ40歳になった田中の想う事とは。

『隊長!!』☆~ファミレスラブストーリー~☆『苦闘編』   (田中)

2007年10月05日 20時31分10秒 | コイバナ・・・哀愁の村に雪は降るのだ
美容師になる少し前から。
会社勤めを辞めてバンドで食べていこうとしてた頃。
レストラン「S」でバイトし始めてました。
当時は名張に洋食店と和食店がありまして双方を行ったり来たりしてました。
何度か辞めて何度か復活して。

大学生や高校生のバイトさん達の殆ども知り合いになり正社員さん達も知り合いになり。
遊びに行ったりもしました。
仲が良くなればなるほどに感じる違和感。
決定的に違うのは僕はそこに「生活の糧」を得に行ってたって事でしょうか。
美容院で勤めだした時なんて本当に給料は安かったですから。
勿論、正社員さん達はそうです。
が、でもせっぱ詰まってって訳じゃないですよね。

でね、生家がキングオブビンボーだったのは幾度と無く書いてきましたが同じ様な境遇の人達が僕以外にも数人いらしたんです。

年齢も10代から40代まで様々。
辞めたり戻ったりを繰り返してるとはいえ足かけにすると多分4~5年ぐらいいた僕についた通り名は「隊長」でした。
当然「店長」や「調理長」なんてのは居る訳です。
普通に「田中さん」で良かったはずなんですが社会人バイトチームみたいな感じで僕の周りに人が集まってきてくれて誰から言うともなく(でもなくて高校生の子が何を思ったのか間違えて「隊長」と言ったのがきっかけではありますが)いつのまにか「隊長」と。

ある種「傭兵部隊」の感があった社会人バイトチーム。
何せ胆の据わり方が違う。
既婚者も三人(うち一人は未亡人さんでしたが)。

普通のOLさんもいらっしゃったっけ。
あの子は確かつきあってた男の子(っても24歳だったはず)に「俺の名前じゃローン組めないからお前の名前を貸してくれ」と言われて彼女の名前でローン。
直後に連絡がとれなくなり彼女は元彼のローンを延々払わされてたな。
OLも辞めて4tトラックに乗る仕事に変わりそれでも足らずにレストランに。
「そんな話って本当にあるんだ・・・」と思った瞬間。
女性を騙す男は最低だって思った瞬間。
今でも彼女を思い出すと切なくなる。

18歳の男の子。
彼は既婚だった。
朝早くから働いて夜は深夜営業のレストラン。
頭に白いネットを被ってた。
「何で?」って無知な僕は聞いてしまった。
「脳腫瘍の手術をしたんです。手術代、入院費が嵩んでしまって。」ってにこやかに話してたっけ。
1度だけ小さな赤ちゃんを抱いたまだ17歳だった奥さんがお店に来た。
「奥さん来てんぞ。ちょっと行ってやれ」
凄い仲睦ましい感じ、凄く嬉しそう。
なんだよまだ18歳なのによー。
こちとらぁ結婚なんてできねーぐらいビンボーだって。
とちょっと嫉妬。
数日後その赤ちゃんが障害を持って産まれて来た事を彼から聞く事になる。
「俺がバイトしてんの俺の手術だけがって訳じゃないんす」

40歳ぐらいのサラリーマンのお父さん。
会社じゃある程度の役職は持ってたはず。
どうしてバイトしてるのか全く判らない。
果たしてバイトの必要があんのか?!
着てるスーツもいいブランドだし。

社内じゃ部下に指示してるだろう人がそこじゃ大学生のバイトに顎で使われてる。
「皿を早く洗っといてくれよ」
「はい、判りました!」
ってな具合。
何で働いてんだろうか。
「子供の為」
って1度だけ言ってんのを聞いた。
僕が辞める時に「隊長が辞めるのなら私も」と一緒に辞めてくれた(?)っけ。

若くして未亡人となった3人の子供さんをもつお母さん。
3個の仕事を掛け持ちしてお子さんを育ててらっしゃいました。
噂では「あの人、3年ぐらい太陽を見てないらしいよ」との事でした。
陽の昇るよりも仕事に早く行き終わる頃にはもう夜。
それからレストランでバイト。
休日はまた違うところでバイト。
聞けば40歳(今の僕の年齢ですね)との事でしたが染み付いた苦労がそれよりも二周り程上に見せてました。
亡くなった旦那様に保健が入ってなかったとの事で本当に「死にもの狂い」で働いてらっしゃった。
鬼神の如く。
いや、あれはまさにわが子を愛し護る鬼子母神そのままの姿ではなかったのか。
錠剤の薬を(多分ビタミン剤)水も飲まずにカブのみしてたっけ。

母親も。
父親も。
つえーなぁ。
って本当にその時に思った。
大事なのは諦める事じゃなくて「生きてく力」そのものなんだなって。

GOD SPEED





コイバナ最終章~10年後の君は、10年後の俺は~    (田中)

2006年09月18日 01時11分51秒 | コイバナ・・・哀愁の村に雪は降るのだ
初めてヤツと会ったのは俺が21歳でヤツが19歳の時。
美容院で働きながら通信教育で免許を取ろうと頑張ってた。
通信教育といえども一年に数回は学校に行かなければならない。

ヤツは俺の後ろの席に居た・・・・
きっついメイクに金髪、ポニーテール剃った細い眉。
「こえーよ・・・今時こんなヤンキー居んのかよ」って。
いつ後ろから刺されんのか俺、みたいな。

とにかく怖かった。
でもね、ちょっと気に掛かったトコもあったのね。
で、ワザと消しゴム忘れたフリして「消しゴム貸してくれない?」って後ろ向いたらジェームス・ディーンの筆箱!
だっしぇ~~!
もうびっくり。
イメージ通りやんか、そんなん、あんた。
しかも定規も消しゴムもジェームス・ディーンって・・・・
うぁ。

でも、普通に貸してくれました。
思ったね。
「言葉はどうやら通じるらしい」って。

そうこうするうちに学校の中で言葉を交わす機会も増えてきた。
どうやら困ってる様子。
「ヤンキーの子達から凄く誘われて困る」って。
「・・・・・・・・・・・・・」ですよ。
そりゃあ「あんたその頭とメイクじゃな」、とは怖くて言えませんでした、すいません。

ある雨の日。
帰り道俺は当時ミニに乗ってた。
電車に乗ろうと歩いてたヤツに声を掛ける。
「乗ってく?」って。
仕事その後休みだろうと思ってたからさ。
どっかこのまま連れてってやろうかなんて。

ところが「スーパーの中で入ってる美容院だから仕事だ」何て言うんですよ。
ガソリン代返せyo!
とは言えませんでした、怖くて。

何かただの足代わりとなってヤツを当時勤めてたサン○レーに送る。
何だよ電話番号も聞いてきやしない。
ふん、そんなもんか。
それが最後。

それから数年経って俺は美容院を止めてまたバンドをやってた。
でもうまくいかないんだな。
仕事も入ってこない。
随分前に世話になったプロデューサーも所在不明。
プラプラとしてたっけ。

で、どっかの初詣に連れらと行って。
そこで中学時代の友人にばったり。
女の子なんだけど美容師をしてるらしくって「田中君今何やってんの?」
「バンド・・・・みたいなモン」
「暇だったらさ、私が働いてる美容院紹介しようか?」って。
ま、三ヶ月程稼いだらまたバンドやるかぐらいの軽い気持ちで面接。

何故かオーナーにやたらと気に入られる。
「直ぐに来て欲しい」っていわれたんだけどうざかったので(その言い方が)「じゃあ一ヵ月後に」って。
もう一ヶ月遊ぼうって訳ですね。

ここまでお読みになった皆さん、お気づきかと思いますが基本的に俺は怠け者で夜の人間です。
昼日中表を歩ける様には向いてない。
そんな人間だったんです。

一ヵ月後約束をブッチしようかとも思ったのですが流石に24歳でそれはまずいかと嫌々出勤。
するとですね、その店が異様に暗い。
雰囲気が。
イキオイも全く感じられない。
バンドやってた特性上「行くぜ、オラ~~!」みたいなノリで仕事がしたかったんですね。
次の日にはもう辞表。

慌てて先生とオーナーが車飛ばしてやってきた。
「とにかくあんな暗い雰囲気の店はダメだ、合わないです」とか色々難癖付けて辞めさせてくれと。

オーナーは「せめてあと3ヶ月様子を見てくれませんか?」と
喫茶店の中で2~3時間押し問答。
根負けしました。
「じゃあ三ヶ月だけ」って。(でもそれから店の雰囲気が凄く良くなってきて結局8年働く事になる)

その店の系列店でミニに乗せたヤツが働いてたんですね。
うっかり忘れてた。
あれから3年か・・・随分変わっただろうな。
何て思ったら全く変わりなし。
むしろパワーアップしてませんか・・・その頭とメイク。

久しぶりに会ったにも関わらず結構仲良く喋ってくれた気がした・・・・
のは勘違いだったのか。

スタイリストとして入ったのですが(免許持ってたし色々コンクールで入賞してたし)一応シャンプーからチェックです。

各店の店長の頭をシャンプー。
その中にヤツが。
多分最年少のチーフか店長かだったと思う。
仕事がとにかく出来たんだよな。

こりゃ楽勝だな、だって一人は顔見知りだし。
5人ぐらい立て続けにシャンプーをして結果発表。
各店の店長が評価したチェックシートを貰う。
100点満点で平均80点以上が合格。

みんな大体100点~98点の点数を付けてくれました。
コメントも「気持ちよかったです、これからよろしく!」とか好意的なものばかり・・・
の中にあってヤツのは一味違う。
「68点」評価「気持ち悪い」

!!!!!!!!!!!

68点・・・・・は仕方がない。
しかしあんた「気持ち悪い」て。
こいつのおかげでギリ合格。
ホントなら余裕で合格。
何かみんなバツが悪そう。
それ以来ヤツは俺の中では「敵」として認識。

事ある度に衝突。
スタッフルームでだらけた姿を見ると「お前さ、それでも女かよ」「あんたの彼女でもないのにそんなん言われる筋合いない!」とか。
口で勝てないので行動に移す。

シャンプー台で後輩の練習台となっているヤツが寝てるのを良い事にお腹の肉を掴んでやった。
「なんや、これ?!」
「キャー!おっぼえとけよ~!」ってな具合。

でも、多分仲は良かった。
お互いの恋愛相談とか。
その度にお互い「よーあんたと付き合う人なんておるな、世の中であんたと二人きりになってもあんたとは絶対に付き合えんな」って。

そんな関係が6年。
そして7年目。
その頃よくアパートに女の子達が遊びに来てた。
みんなで俺の食事やら部屋の掃除やら。
その中にヤツはいた。

俺を目当て(いや、そんなもててないですがっ)で来てた子の付き添いとして・・・だったんですね、後で知る事となる。
ある日、俺の部屋でヤツが「マライア・キャリー」のビデオを発見。
「貸して」って。
それから数日後、いつもは数人で連れ立って来るのがその日ヤツはビデオを俺に返す為に一人で来た。

玄関先でビデオを返そうとする。
遠慮して部屋に入って来ない気配がバリバリ。
「なるほど、普段はみんなと一緒だから無頓着な感じで来てたんだな」って。
この時点でヤツの友人が俺に好意を抱いてくれてる事など露など知らず。

「入れよ、寒いし」
遠慮がちに入ってきた彼女に思った。
「こいつ、こんなに可愛かったっけ?」

何かいつもと雰囲気が違う。
そりゃそうだ。
だっていつも何人かで来ててはっちゃけてたから。
二人だと案外喋る事ってないな。
店の中だとバカ話しとか下ネタとかバンバン出来んのにな。
とかちょっと悩んだ。

詰まらない話ばかりしてた様な気がする。
夜はどんどん更けて行く。
テレビをぼやーっと見てたら何と彼女は俺のベッドによりかかって眠ってる。
「!」
「チャ~ンス!・・・とかじゃなくって、だってツレやし。」
しゃーねーな。
毛布かけてやるか。
それか叩き起こして帰すか。
軽く揺するが起きる気配無し。
「お泊りだな・・・」

小さいベッドだけどどうにか二人眠れるしな。
何にも無しで女性と眠るのはその頃自分の中では結構当たり前だった。
考えてみれば子供の頃からよく女の子達と遊んでたっけ。

コイツには何も起こらないだろうって。
そ・れ・が・だ。

なるようになっちまった。
あの日の朝日の中俺の腕の中の彼女の表情を今でもはっきりと覚えている。
太陽の明かりに透けた髪。
優しい笑み。

ああ、俺は日の下に居る。
子供の頃に感じた安心感がそこにはあった。
その直前にしてた恋愛が酷かった。
女性不信に陥っていた。
でもまた日の下に俺はいる。

直後彼女の親友が俺に好意を抱いていてくれた事を知る。
でももうどうする事もできない。
ひょっとして産まれて初めて本気で好きになったかも知れないコイツの事だけで頭は一杯だったしその人から何かを言われてた訳でもないし。
大変だったのは彼女だったろう。
この辺りは詳しくは書かない。

それからひっそりと彼女との付き合いが始まる。
社内恋愛は厳禁。
バレたら解雇。
お互い役職持ち。

でもこれが案外噂にならない。
後輩連中が噂をする「田中チーフと川原田店長っていつも夜一緒にいるみたいですけど付き合ってるんですか?」って。
その度に他店の店長は言ってたみたいです。
「それはない、ない、お互いの事知りすぎて無理があるって。仲がいいから一緒にいるだけじゃない」って。

手も繋いだ事さえない相手と10人ぐらい噂になったのに実際に付き合ってたコイツとは噂にならないんだ・・・
それはそれでちょっと寂しいような。

半年以上経った頃結婚を申し出た。
「一緒に暮したいんだ・・・・」ともごもご。
どっちかがクビになる覚悟でオーナーの元へ二人で。
「結婚する事になりました」
「誰が?」
「俺が」
「誰と?」(二人で行ってるのにも関わらず)
「この人と」(と言って隣の彼女を指す)
「え~~~~!?あなた達が―――――!!」
って後は大笑い。
あまりにもありえないカップルだったみたいです。
先生もオーナーも何故か非常に喜んで頂いてクビにもされなかった。
不思議。

結婚する時ってプロポーズしたりさ色々かっこいい事言ったりするでしょ?
「幸せにする」「お前は俺が一生守る」とかさ。
俺は言わなかった。
今でもドラマとか映画でそんな言葉聞くとさ拒否反応が。
そう言ってても数年で別れちゃったりしねーか?!
数十秒に一組だっけ?離婚。

「一生守るんじゃなかったのかぃ?」って。
そんなん誰でも言えるんだって。
「熱」に浮かされてるから。
その言葉はさ10年後に取っとけって。
10年後も本気で「愛してる」って言える相手をさがすんだって。
好きだから「結婚する」。
それだけでいいじゃんか。

今でも子供みたいなコイツの寝顔を見ながら付き合い出した頃からずっと俺の頭の中で流れてる曲がある。

GUNS・N・ROSESの「SWEET CHILD O'MINE」だ。
日本語の訳は激しく恥ずかしいけど・・・・
こんな感じの詩。


彼女の微笑みは俺にとっては子供の頃を思い出させる。
あの頃は総てが明るい青空の様に眩しかった。
昔も今も彼女の顔を見ると
俺は特別な何処かへ連れて行かれてしまうんだ。
長く見つめれば崩れ落ちて泣く事になるだろう。

俺の可愛いお嬢ちゃん。
俺の可愛い恋人。

彼女の眼は真っ青な空みたいだ。
雨など降りそうもない程の青空。
俺はあの眼を見つめるのが嫌なんだ。
少しばかりの苦しみを見るのも。
彼女の髪は安全で暖かな場所を思い出させる。
子供の頃身を隠しては
雷や
雨が
静かに俺を通り過ぎすぎていきますようにと祈った場所を。

俺の可愛いお嬢ちゃん。
俺の可愛い恋人。

俺達は何処に行くんだろう。
俺達は今何処へ行くんだろう。
俺達は何処へ行くんだろうか。
俺の可愛いお嬢ちゃん。




結婚して今日で丁度10年。
今でも俺の頭の中で「SWEET CHILD O'MINE」が流れてる。
今でも本気で「好きだ」って言える。
「お前とその娘を生涯掛けて守ろう」と思う。

10年前と今と。
俺は何も変わらない。
明るい日の下に俺を引っ張り出してくれたお前を俺は死ぬまで。

とりあえず10年ありがとう。















コイバナ・・・哀愁の村に雪は降るのだ最終章  只今執筆中   (田中)

2006年09月17日 23時26分30秒 | コイバナ・・・哀愁の村に雪は降るのだ
8月に「9月に書く」と宣言して(?)から既に一ヶ月は経つでしょうか。
でもね、このタイミングじゃなければ意味が無かったんです。

多分夜中遅い時間にアップすると思います。
明日18日にアップする事に実は意味があったり・・・・

あまり面白くはないかもですが。
好評頂いた(お客様の中でもアレが一番好きって方も多かったです)このシリーズ。
今回で一応終了となりますが「番外編」として時折アップするかも知れません。
渾身の一作。
思いの丈を賭けて。

ファミレスラブストーリー「ちょっと待て!相手は女子高生だってばよ~ぃ編」  (田中)

2006年05月18日 20時08分44秒 | コイバナ・・・哀愁の村に雪は降るのだ
美容院で働きながら夜はレストランでバイトする。
20代前半の思い出は美容院とレストランSでの出来事ばかりです。
レストランSには当時和食と洋食とがありました。
これは洋食店でバイトしてた時の話です。

料理を作るのもある程度任され洋食店にも慣れてきた頃。
どっかのお店からその洋食店にバイトさんが派遣されるとの事。
「どんな人が来るんだろうな・・・」って。
マネージャーはよく知る人物で「面白いヤツだぞ~」と。
40代のこのマネージャーが言う「面白い」はあまり自分達にとって面白かった事はかつて無かった。
個性的ではあるが「変人」で「人間味」のない人が多かった気がする。
「俺の仕事はみんなの個性を潰す事」なんて言い切る人がいたり。

そ・れ・が・だ

「よろしくお願いしま~す」と元気に入ってきたのはどっからどうみても女子高生。
唇が今で言う釈ゆみこさんみたいな唇でまー何ていうか唇に目が行く、そんな子です。
パチっとした目と好奇心旺盛が服を着て歩いてる。
一目でそんなのが判る。

学校の制服を着て現れたその女子高生にさきのマネージャーは「お~!よく来たな!!」と出迎えあろう事か方を組んで厨房へ歩いて行ったんです。
僕は呆然と見送りました。
マネージャーはええやん、がにまたで。
二人して肩組んで歩いてくんですがその女子高生も嬉々としてがにまたのおっさんスタイルで歩いて行くんです。
「お~!元気やったか?」とかマネージャーに言いながら。

「ためぐちかよ・・・・」と呆れながらもがにまたで歩いて去って行く彼女に一瞬で心が奪われました。
だってね!めちゃくちゃ可愛いのにがにまたですよ?!
一気にがにまた萌えです(そんな言葉ありませんでしたが)

あっけらかんとした子でしたが流石に女子高生はダメだな、いくらなんでも犯罪だ。
っても3~4歳しか離れてないのですが。
どうしよ~かな困った(何が)なとか思ってたらそのがにまたちゃん(以降便宜上Kちゃん)が「田中さんって美容師なの?」と。

どうやら美容師を進路に選んでるらしく色々と教えて欲しいとの事。
休みの日の夕方に名張の駅前で彼女と待ち合わせをして喫茶店に。
名張駅の前に喫茶店があったのですが何故かミルクティを頼んだんですね。
それまで既にカップに入ってるやつしか飲んだ事が無かったのですがそこで運ばれてきたのは中に茶葉を分離する為の中板が入ったティポット。

こんなんどうやって飲んでええのか判らへん・・・
とりあえず凝視してみるが何も起こらず。
そして放置プレイへ。
Kちゃんは「飲まへんの?」
「嫌いだから」と短く答えました。
「え・・・・じゃあどうして」と当然の疑問を容赦なく投げかけてくるのですが
それにも「間違えた」と意味不明の回答を。


彼女は「免許を取るのに何年かかるの?」とか「お客さんって怖くない?」とかそんな感じの事を聞いてきました。
そしてそんな風にしてこのKちゃんとのつきあいが始まるワケですが・・・・

とにかく賑やかな事この上なし。
底抜けの明るさって言うか本当に底が抜けてるんじゃないか?ってぐらいのアッパーぶり。

楽しかったのですがどうにも相手が高校生ってのが友人達に負い目(当時は有職者が高校生とつきあうのは結構勇気がいりました)があってなかなかみんなに紹介できなかったです。

それがいよいよ卒業となり奈良の美容院にKちゃんは就職。
休みも一緒の月曜日。
講習会にも二人でよくでかけました。

付き合いだして何ヵ月後の事。
その日も二人で大阪の研修センターに。
帰りの電車の中で彼女が「今朝凄い怖かってん」と。
聞けばどうやら駅に向う途中前の車が信号青でも発進しなかったので軽くクラクションを鳴らしたんだそう。
それでも動かなかったので右側の車線から避けて前に出たらなんとその車がクラクション&パッシングで追いかけてきたと言う。

次の信号が赤で止まるとその車から30代ぐらいの女性が降りてきてサイドウインドーを叩き「降りておいで!」と凄んだですって。
怖かったので無視してまた青信号でスタート。
でもまだついてきてそんな事が3回ぐらい続いた時にKちゃんは「すいませんでした、これで許して下さい」と5000円渡したんだそうです。

相手は睨みつつもその場を離れてやれやれと。
「へ~、えらい怖いのがおるな~」と慰めてたらKちゃん「せやさかい今日私あんまりお金なくってさー」
「悪いけど3000円貸してくれん?」と。
「あ、ええよ、ええよ」と3000円貸してあげました。


それ以来彼女から連絡はありません。
ええ、もうぷっつりと。
彼女は5000円とられて僕はKちゃんに3000円とられて。
って事は僕が一番損してるやん。
Kちゃん・・・・・
あれは手切れ金だったのか。
ってか寸借詐欺やん、しかも3000円て。
やすっ!!


今でも時折見かける(だって同じ職業だから)君に小一時間問い詰めたい気持ちで一杯です。








コイバナ・・・~月は出ているか~     (田中)

2006年05月07日 18時21分14秒 | コイバナ・・・哀愁の村に雪は降るのだ

おひさしぶりの「コイバナ」です。
もうそろそろこのシリーズも終わりにしようかと考えてます。
あと2~3話ぐらいでしょうか。

さて、僕はですね、割と知らない人とでも平気で話しができるんです。
何かの順番待ちしてる人とかどっかの駐車場で止まってる自分好みのバイクや車のオーナーさんとか。
このお話の相手の方もそんな感じで知り合った女性でした。

今から12~3年ほど前の事です。
仕事帰りにいつも寄るコンビニに買い物に入りました。 その時に乗ってたのは古いフェアレディでした。
駐車場に目をやるとGPZ900が。
「今までカワサキは乗った事ないなー・・」とか思いつつバイクを見てたんです。

ややあってオーナーらしき人がバイクのもとへ。
「忍者かっこいい」っすよね~まで言いたかったのですが絶句。
女性だったんです。
いや、女性はともかくその方髪の色がまっ黄色。
長い事美容師してるけどあそこまで黄色(金髪とかじゃなくって黄色です、黄色)
まだあの人以来みないです・・・ 「ブリーチしてマニキュアだな・・」とか思いつつ無言で立ち去ろうとしました。
なんせばつが悪い。
髪の色に驚いたのが彼女にバレバレ。
コンビニに入ろうとしたしたその時。

「これSR311ですよね?」と。 古い車に乗ってらっしゃる方はお解かり頂けると思うのですが「これなんて言う車ですか?」とか「変わった車ですね~」って言われるよりも型式とか言われると「判ってる人なんだ~」って嬉しくなりますよね?え?ならない??
すぐに踵を返し彼女のところへ。
暫くお互いの車やバイクの話で盛り上がりました。

そして仕事の話に。
僕は美容師。 これは普通。
彼女は・・・? この髪の色だと働けるところ限られてくるよなー・・・ひょっとして美容師さんかな? とか思ってら「ショップの店員」さんでした。
なるほど。
そして彼女は「平日が休みだからなかなか友達と時間が合わない、そもそもバイクに乗ってるの自分だけだし」 って言うんです。
思い切って誘ってみました。
「僕も平日が休みだから今度どっか走りに行く?」なんて。
こうして彼女との付き合いが始まりました。

因みに走りにいってないな・・・ 僕のアパートによく来ました。
でも彼女のアパートには入れてくれないんです。
いつも「駐車場で待ってて」です。
なんかあやしい・・・絶対におかしい・・・ こうなったら誰も僕を止める事は不可能。

「なんで入れてくれんの?」と聞くと 「嫌われるもん・・・」と。
「職業柄個性的な人とか変わった話とかよく聞くしたいていな事ではびっくりしないから」とか 理屈をこねてどうにか彼女を説得しようとします。
喫茶店で20~30分ぐらい押し問答。
やっと部屋に入れてくれる事になりました。
その時彼女は凄く寂しそうな不安そうな顔をしてました。

そして約束の日。
想像だにしなかった事が。
それでか、それで彼女は髪が黄色だったのか・・・・ 全ての謎が氷解します。
ここで判った人はエライ。
部屋に入ってみるといたるところに写真と服が。























何と彼女はセーラームーンだったのです。

写真に納まる彼女はとても生き生きとしています。
中にはあろう事かセーラー戦士勢揃いな写真まで!
我を忘れて写真を見続けます。

「・・・・・彼女はセーラームーンで・・・・って事は俺は何?」みたいな。
いや、みたいなじゃなくって。

みなさん想像してみて下さい。
自分の彼女がセーラームーンだったら。

はっと我に返り彼女に目をやると涙を目に一杯溜めて僕を見てる。
僕は一言「で?」と。
彼女は驚いて僕をマジマジとみます。
そしてもう一度「で?」と。
こんなの全然OKじゃないのって感じの言い方ですよね。
ちょっとかっこいーすか?(なわけない)

彼女も多分この時そう思ったんですよね。
でも実はそうではなくあまりの出来事に「で?」しか言えなくなってただけなんです。

そしたら彼女涙ながらに今までの辛かった事とか喋りだしたんです。
この趣味の事で凄くバカにされた事とか「やめろ」って言われたとか。
聞いてるうちになんか今度は本気で「で?」と言いました。
そんなの個々の趣味だから別に良いんじゃないの?って。

今でも本気でそう思います。
だって誰にも迷惑かけてないもんな。
ハッピーエンド。
ここまでは。
暫く幸せ。
だって髪は黄色だけど綺麗な人だった(ちょっと年上)し性格も申し分なかったし。

そうあの日がくるまでは。
ある日「日曜って休み取れないの?」と。
「誕生月は一日日曜でも取れるよ」 「じゃあ来月の日曜休み合わせてくれる?」と。
そして翌月の日曜。
彼女の部屋に。
もの凄い荷物を持ってるんです。
「今日は私の車で名古屋へ~!」と。
「名古屋へ~!」って・・・・その言い方・・・・?お・・・お嬢様・・・・??

嫌な予感的中。
名古屋某所でコスプレイヤー集結。
カメラ小僧(おっさん含む)も幾人か。
驚いたのは彼女がかなり有名だった事。
セーラームーンになった彼女に擦れ違う人達は「○○さんこんにちは~」とか「おひさしぶり~」とか挨拶されてるし だんとつ写真撮られてる(気がする)。

僕はカメラ小僧(おっさん含む)達の羨望の的。

「あれ彼氏?」とか。
ってかちょっと薄ら笑いされてた気もしましたが。
そうこうしてるうちに「みんな集まって~」とセーラービーナスが。
期せずしてセーラー戦士揃い踏み!!
カメラ小僧(おっさん含む)も走る!

リクエストに応じていろんなポーズをする彼女(達)。
嗚呼・・・もう君が遠すぎて見えないよ・・・見えないのは涙に霞んだ僕の目のせいか?
いや、さにあらず。
訳のわからないうちに帰路につきます。
もうぐったりでした。
さすがにアレはきつかった。
ハードル高いわぁ・・・・ それから開き直りきった(全てカミングアウトだもん)彼女は僕が何か言ったりしたりすると「お仕置きよ~!」と人前で。

あかん・・・すっかり別人になっとるがな・・・・ なんかそれ以来(コスプレ祭り??)お互い少しずつ距離を置くようになり自然消滅。
それから暫くして関東に引っ越したと後日届いた手紙には髪を黒く染めた彼女の写真が。

それはそれでちょっと寂しかったです。
※例の如く特定されないように設定を若干いじってあります。
※2 セーラー戦士よ永遠に。


ファミレスラブストーリー~「モトカノの指輪は誰の手に?『それあげちゃダメ』編」 ~  (田中)

2006年03月24日 19時33分37秒 | コイバナ・・・哀愁の村に雪は降るのだ
ファミレスとは全く関係のないところから始まります。

20年前、当時会社員だった僕は会社に有給を取って免許の試験に出かけました。
電車に乗り教本を広げようとしたその瞬間何やら前方から眩い光が。
それは神の啓示にも似て・・・・・
どっかのCMの「うち~の職場で一番ひか~ってるのは~3日前~からきている~派遣社員の~♪」ってぐらいの
後光が向いの席に座ってる彼女から発せられてるんです。
もう釘付けでした。
「今まで19年間生きてきた中でこれほど綺麗な人を見た事があるだろうか、いやない。」

勉強どころではありません。
直属の上司から「お前一発で通らんかったら丸坊主な」と言われてたのにもうそんな事さえどうでも良くなってました。
いや、もうむしろボウズにしてくれと。

教本を読むフリしながら彼女をチラ見。
そうこうしてるうちに電車が混雑してくる。
「どうする?」
「そっか!次の駅から乗ったふりして隣に座るか!でも俺随分前から乗ってるしバレるか??そもそも俺を認識してんのかよ?」とか
かなりのイキオイで独りミーティング。

そんなの考えてるうちにもどんどん人が入ってくる・・・前に立った女子高生が
下らない事ベラベラ喋ってる。
髪をツンツンに立てたパンクスだ。
「私さ~ラフィンの曲のハバマイって聞こえる所あるんだけどー」とか言ってやがる!
「それはネバーマインドだ!大体はばまいは北方四島だろが!」と心の中で叫びつつそんなチャーミーだかグリーンだか解んない頭をしてんじゃないよ!
いや、でもそんな事よりもだ、あと5cm横にずれてくれ!
彼女が見えんよ。
あー・・・ダメもう完全に見えなくなっちゃったよ・・・さっき考えてた作戦(次の駅から~)ももうダメだな・・・
久居についたし降りるか・・・・

免許センター行きのバスに乗ったらなんとその彼女がっ!
おぉ!神よ!あなたは私を見捨ててはいなかったのですね!(でも無信心)
何て声かける?そもそもナンパした事ないし。
あー・・・こんな事なら大阪で練習しとけば良かったよ・・・どうする、どうする・・・

着きました、運転免許センター。
降りる時、やっと声を掛ける事ができました。
「免許取りに行くんですか・・・・・?」と。
あったりまえだっての。
他に何すんの?って感じですよね。
立ったままバスの中でその彼女一生懸命教本開いて勉強してるんですよ。
僕はずっとその横顔に見とれてた訳ですが。
因みに教本関係はもう既に電車の中に忘れてきてる訳ですが何か?

「免許取りに行くんですか?」から始まった2つ上の彼女との付き合い(!そうなんです、付き合うんです)は2年で終わります。
別れたのは僕が意地を張ったから。
それから3~4年引きずる事になります。

その彼女から19歳の誕生日にプレゼントされた左手薬指の指輪。
後生大事に持ってたんです。
好きな人ができたら右手に付替えて。
そして暫くして会社を辞めバンドが潰れ美容師になりそれと同時にレストランSでバイトが始まる。

23歳ぐらいの時だろうか。
その時は一時バイトしてない時だったのですがそこの従業員とバイトさんはみんな知ってて。
友人4~5人で食事に行ったんですね。
その中の一人が目ざとく「お前・・・まだそれ(指輪)持ってんの・・・?」と。
「ひきずりすぎだろ~」
「いや、俺にはこいつの気持ちが判る!」(って言ってくれたやつは未だに独身、彼女いない歴38年・・・・)

喧々囂々の中いつの間にやら僕の指から無理矢理抜き取られた指輪は手から手へ。
「一つの指輪を巡る壮大な奪い合いが始まった・・・一つの指輪を巡るそれは壮大な抒情詩!冥王サウロンが全世界を支配(以下略」

「もういいかー・・・こいつらなりに色々考えてくれてんだな、多分」
今日を限りに彼女の事は綺麗さっぱり忘れてしまおう。
飲めない酒をガンガン飲みました。
宴は終わり前後不覚になりひきずられる様に店外へ。
丁度レジのとこ辺りで友人の一人が「おい、これまだ大事だろ?」と僕に指輪を!!
まさに王の帰還(?)
「やっぱりこいつは俺の味方だなTT」とか思いながらレジの方に支払いに。

レジには大学生のバイトちゃんKちゃんがいた。
「田中さん楽しそうですね~」とニコニコ。
く――――っ!この子ってこんな可愛かったっけ??
とお酒がかなり良い感じで回ってた僕はそう思いました(いや、実際可愛かったと思います)。
事もあろうかその場で僕はKちゃんに「この指輪をあげる」と。
きょとんとしてたなKちゃん。
指輪を渡してくれた友人は更に口をあんぐりと。

次の朝自己嫌悪ですよ。
酔ってたとはいえ憶えててしかも自分の意思であげてる訳ですから。
それっきりレストランSには行き難くなってしまいました。
後日聞いた話によりますと何故かその指輪はKちゃんの左手の薬指にピッタリだったらしく
「田中さんがくれた」と喜んで(か?)着けてくれてたらしい。
その場で見てた友人はしきりに「とにかく会いに行ってやれ」ってしつこく言ってました。
行ってないです。
サイアクです。

そして別のレストランSで働きだし「新婚さんいらっしゃ~~い編」や「ちょっと待て!相手は女子高生だってばよ~ぃ編」に
繋がる訳ですが・・・

それはまた次回。

それにしても・・・・・
ママ・・・あの指輪何処に行ってしまったんだろう・・・ママ~ Do you remember~♪(ふる・・・・)



    ~総括(?)~
※あのままどっか周ってると怖い・・・・
※2 免許は無事一回の試験で取れました、ボウズはセーフ。
※3 ちょっとの勇気が凄く大事ですよね。その一歩を踏み出せ~!
※4 男は引きずるよね(僕だけ?)
※5 酒は飲んでも呑まれるな・・・・・・・




ファミレスラブストーリー~「モトカノの指輪は誰の手に?『それあげちゃダメ』編」 前口上~  (田中)

2006年03月23日 21時25分27秒 | コイバナ・・・哀愁の村に雪は降るのだ
みなさまお待たせ致しました。(まってないですか・・・)
いよいよ明日ファミレスラブストーリー「モトカノの指輪は誰の手に?『それあげちゃダメ』編」をお送り致します。
電車の中で一目惚れしてしまった19歳の田中。
生涯最初で最後のナンパに挑戦します。
果たしてその結末は。
明日の夜10時頃の予定です。

余力があれば「本当にあった怖い(事故の)話」もアップしたいと思います。

~高校3年生、「先輩・・・」真夏の電話ボックス編 ~

2006年03月08日 22時29分03秒 | コイバナ・・・哀愁の村に雪は降るのだ
このお話は去年の夏に書いたものに加筆したものです。

高校3年生の夏と言えばもう部活も引退して進学、就職の準備に入る頃です。
今は進学する人は部活そのものをしてない人が多いのかな。

僕は「空手」「剣道」をやってたのですがやはり夏前には引退していました。
でも毎年の夏。
高校球児の夢の祭典(?)高校野球が始まりますよね。
僕が行ってた高校も当然野球部がありました。
そこの部長が友人でそれで毎年(1年生の時は当然まだ補欠ですが)請われて応援団をさせて頂いてたんです。
最初は物凄くイヤでした。
だってそうですよね、めんどくさい振り付けも憶えなきゃいけないし部活2つ(これは空手部の顧問に騙されて入部させられたのですが)+応援団ですよ。
もう時間がない。
でもその友人に「やってくれ」と言われるともうせざるを得なくなってしまい結果毎年応援団をやる事に。
3年生で目出度く(?)団長に就任。
嬉しくなかったです。

ただ・・・・ただ・・・・下級生から「団長せんぱ~~い(何故かこう呼ばれてた)」と呼ばれるのは悪い気はしなかった(当たり前ですが女子限定)。

そんな中の一人。
体操部でチアリーダー掛け持ちのYさんのお話です。
今から思い出せばやはりこの子もクリクリのクセ毛で。

2つ下の一年生の女の子でよく僕の所に「先輩、一緒に写真撮って下さい」とかそんな感じでしょっちゅう来てたのね。
もうそりゃ頬を赤らめながら。

そんなのが結構続いて周りからも「あれって絶対お前に気があるって!」とかそそのかされて。
丁度彼女と別れて一人だったってのもあって夏休みに入って暫くしてから彼女の家に電話かけたんだ。
今みたいに携帯とかない時代、うだるような暑さの電話ボックスの中から。

呼び出し音が暫くなって・・・彼女が出た。
暫くとりとめのない話をしてそして本題へ・・・
だっさい告白だったとは思うんだよ、でもね、絶対行けると思ったから!
「良かったら付き合わない?」って・・・・・(こりゃださい・・・ダメだゎ)
無言の永遠とも取れる白い時間が流れる。
ややあって彼女の搾り出す様な声。
「先輩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
もう何も言えずに「か、考えといて」と。
暫く受話器から手が離れずその場でフリーズ。
2分、いや3分ぐらい。
で後日しっかり振られる訳です。

今も夏が来ると思いだす(まだ相当先だけど)。
うだるような電話ボックス(今はもうない)と「先輩・・・・・」

何か学生の頃ってそんなんばっかで芸人の「ひろし」のネタ笑えないんだよね^^;
思い当たるふしがもうありすぎで!!

次回はまたまたファミレスラブストーリー。
「モトカノの指輪は誰の手に?『それあげちゃダメ』編」

「新婚さんいらっしゃ~~い編」
を書きたいと思います・・・・が多分「指輪編」です・・・
「新婚さん」は結構辛いお話です・・・・いや、辛いって言うかマジで笑えない悪魔の様な女性(因みに僕は一切ノータッチ!!センサーがビンビンに反応せり!「デンジャ~!」と。いや、ちょっとタッチ・・・かな・・・?
。)の話なので。