おねえちゃんの独り言

「おねえちゃんの独り言」のブログ版
(・・・って、そのまんまだけど)

老いについて、死について・その3

2009-10-09 06:38:37 | Weblog
 祖母のことがあったので、先月の訪日中に会った人たちとも自然とそうした話をすることになった。驚いたことに、私が直接会話した大して多くない(10人もいない)人たちの中で、おばあちゃんが103歳でご存命という人が2人もいたのだ! これには心底、びっくりした。今は100歳超えてる人なんて、珍しくもなんともないんだ・・・
 しかし詳しい話を聞くと、なんとも暗い気分になる。うち1人は10年間寝たきりだという。その年で10年間寝たきりで、もちろん回復の見込みなんてあるわけないのに、死ねないのだ・・・。これって本当にいいことなのか?! どうしてこんなことが起こるのか、本当に皮肉である。
 もう1人は痴呆症状があり、5年間父親(おばあちゃんにとっては息子)が介護していたものの、その父親が心筋梗塞で倒れたため、特別養護老人ホームに入所したという。特養はもちろん(?)200人待ちだったのだが、100歳を超えている、介護する人間が重病になった、などの条件が重なり、200人を飛び越えての入所となったそうである。
 ちなみに、実はうちの祖母の姉も103歳だか104歳だかで存命だ。子どもの頃に何回か会った程度で顔すら覚えておらず、特別な思い入れもないのだが、数年前に施設に入ったと聞いた。今回あらためて状況を母に尋ねたところ、かなりボケてきているらしい。自分ではもう食事を摂れないので、首にチューブを刺して栄養を送っているのだそうだ。体だって昔から祖母より悪いところが多かった。間違いなく寝たきりだろう。
 首にチューブを刺してまで無理矢理生きさせるなんて、どうしてそんなことをするのか全く理解できない。月に20万もかかる私立の施設だそうで、母は「いい金づるだから生かしておくんじゃないの」などと言っていたが、本当に金目当て以外にそんなことをする理由が全く思いつかない。ただ寝たきりで延々と生かされていることが、本人にとって幸せなことだとはとても思えない。もし若い頃の本人に、現在の本人の姿を見せることが可能なら、間違いなく「そんなひどいことは一刻も早く止めて、静かに死なせてくれ」と言うだろう。3人に聞いたら3人とも、そう言うだろう。100人に聞いたって、100人ともが「早く死なせてくれ」と言うに違いない。
 同じ寝たきりでも、若い人の場合は話が違う。10年寝たきりでも、10年意識が戻らなくても、いつか意識が戻って回復するかもしれない。家族だってあきらめがつかない。どんな姿でもいいから1秒でも長く生きていてほしいと願う家族が少なくないことは、先の臓器移植法案(脳死判定)にまつわるニュースでも多く報道されていた。
 しかし90年100年も生きてきた人間の場合はまったく異なる。人間の体なんて100年もちゃんと機能するようにはできていないし、誰だっていつかは死ぬのだ。どうして人生の最後でそんな惨めな姿をさらして(多くの場合は家族に肉体的精神的金銭的負担をかけて)生きさせられなくてはならないのか?! 家族だって100歳の人に対して、どんな姿でもいいからとにかく1秒でも長く生きていてほしい、なんて思わないでしょ?!

 こうしたことは、もちろん最近初めて思ったわけではない。前々からそう思っていた。しかし、介護や寝たきりといった問題が今までは遠い世界の話だったので、あまりじっくり考えたことがなかったのだ。
 数日前、祖母が当面の危機(?)は脱したので退院するかもしれない、という、途方に暮れた母からのメールが来た。せめて今年の8月の状態にまで祖母が戻ってくれるのならまだしも、自分ではなにもできない、自力でトイレにも行けない状態で退院させられて、母にどうしろと言うのだ?! 決して長くない母の残りの貴重な人生を、すべて祖母の介護に捧げろというのか・・・? いや実際にそうして自分の人生を介護に捧げざるを得ない人は、すでに大勢いるのだ・・・。だから時々、「介護殺人」なるものも起きる。
 どうしたらいいのか、いや、どうにもできない問題だから困るのだ・・・。祖母自身だって、あんな痛い思いが続くより、早く静かに楽に死にたいのだ。つい先日まで自分のことはすべて自分でできていた人が、寝たきりになっておしめをされて、そんな惨めな姿になってまでいつまでも生きていたくないのだ。だからって自殺するわけにも、家族が殺してあげるわけにもいかない・・・
 長生きというものも、まったくもって善し悪しである。ただ闇雲に「長生きしたい」とほざく連中に、こうした現実を見せつけてやりたいものだ・・・
 ・・・っていうか、本当に祖母が自宅寝たきりになってしまったらどうしようという思いが、ここのところ常に心の底にひっかかっていて、どうにも落ち着かないのである。
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