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イラク わが祖国へ帰る日(反体制派の証言) - 2

2017-08-12 22:41:14 | 徒然の記

 さて当時のイラクについて、著者の説明を聞いてみましょう。

 「人口2,300万人あまりのイラクで、クルド人は二割近くを占める。」「クルドの二大勢力のうち、クルディスタン愛国同盟(PUK)のタラバー二議長は、」「米国の主導する、イラク攻撃に積極的だ。」「一方のクルディスタン民主党(KPD)は、米国と密接な関係にあるものの、」「バルザー二党首が、米国のイラク攻撃に慎重である。」

 「三十年ほど前KPDは、米国、イラン、イスラエルの支援を受け、」「イラク中央政権と、武力衝突を繰り返していた。」「しかし突然支援を中断され、イラク軍の猛攻により、崩壊したことがあった。」「イラン・イラク戦争の末期、1988(昭和63)年には、イランと手を組んだバルザーニたちが、」「 " イラクの裏切り者 "  として、イラク軍の毒ガス攻撃にさらされたが、」「国際社会は、救援手段を取らなかった。」

 「反体制派の中でも、とりわけクルドは、」「米国の政策が、クルド民族運動の目的や正義のためでなく、」「米国の利害に基づいているという、現実を学んできた民族である。」「現在のクルド人が、米国に期待するのは、その絶大な軍事力と政治力であって、」「米国外交の、" 良心 " などではない。 」

 さて、ではイラクにいて、フセインを倒したいと活動しているクルド人とは、いったい何なのかという疑問が出てきます。簡単に言えば、クルド人は、中東の山岳地帯に住む民族なのだそうです。ネットの情報によりますと、独自の国家を持たない、世界最大の民族集団がクルド人で、その数およそ2,500万人から、3,000万人だと言うことです。 

  祖国を持たない民族として、私が学校で習ったのは、ユダヤ人でしたが、それも第二次世界大戦が終わった1948(昭和23)年には、イスラエルを建国しました。国の無い民族の話は終わったと思っていましたが、なんとクルド人が、イスラエルを超える世界最大の、祖国を持たない民族集団だと言います。

 クルド人は、イラン、イラク、トルコ、シリアの国境地帯に住み、もともとは山岳地域の先住民族でした。詳しいことは知りませんが、イギリスがこの地域を支配していた頃、辺りに勝手な国境線を引き、現在の国々が生まれたと聞きます。各国に散らばっているため、クルド人は少数民族のように言われますが、中東では、アラブ人、トルコ人、ペルシャ(イラン)人の次に多いのです。

 大昔にクルド人は、この地方で独立王朝を持っていたとのことで、今でも独自の言語を有しています。近隣諸国からは認められていませんが、彼らは独立国家の名前を「クルディスタン」と決め、国旗まで定めています。混沌とした中東の中で、彼らはクルド人の自治獲得の戦いを続け、イラン・イラク戦争後に、イラク国内で「クルド自治区」を認めさせています。彼らが最終的に狙っているのは、「クルド人国家」の樹立です。そのクルド人の宗教が、大半はイスラム教だと言われますと、このあたりから私の頭が混乱します。

 勝又氏の本を理解しようと、関連する事柄を調べていきますと、一部に過ぎないクルド人のことだけでも、本になる程のボリュームとなります。大海に漂う小船のような自分がいますが、勇気を出して進みます。次はイスラム教のことです。

 世界でのイスラム教の位置付けを、ネットで調べてみますと、次のようになります。

1. キリスト教  22億5400万人 33.4%

(イタリア・フランス・ベルギー・スペイン・ポルトガル・中南米・アメリカ・カナダ・イギリス・ドイツ・オランダ・北欧オーストラリア)

2. イスラム教   15億0000万人 22.2%
(インドネシア・マレーシア・トルコ・エジプト・サウジアラビア・イラン・イラク・中東)

3. ヒンズー教    9億1360万人 13.5% (インド・ネパール・バリ島)

4.  仏     教    3億8400万人 5.7%
(日本・中国・韓国・ベトナム・タイ・カンボジア・ラオス・スリランカ・ミャンマー・チベット) 

  イスラム教の中の80%がスンニ派で、残りの20%がシーア派です。イラクで多数を占めているのはシーア派ですが、政権についているのは、サダム・フセインが属するスンニ派です。もう面倒で調べる気にもなりませんが、フセインを倒そうとしているクルド人は、大半がイスラム教なので、中はスンニ派とシーア派に分かれているはずです。クルドのスンニ派は、同じスンニ派のフセインを殺そうとしているわけですが、ためらいは無いのでしょうか。宗教より民族の方が優先するのでしょうか。

 アラブの世界に詳しい氏は、こんな初歩的な私の疑問など、気にもかけません。お構いなしに、明快な叙述を続けます。

「一般論だが、実は、アラブ人も、クルド人も、」「アメリカが大好きだ。」「彼らは、強いものに憧れる。」「だが米国外交の、単純な発想と、」「力任せの強引さは、許せ無い。」「パレスチナ問題では、イスラエルの横暴に甘く、」「イラクには正義を振りかざす。」

 「アメリカの言い分には、他者の価値観や、」「論理の入り込む隙間がない。」「だから、フセイン大統領の対米批判が、その点では説得力を持つ。」「イラク攻撃も、反体制派と米国の思惑には、」「開きがある。」「フセイン打倒にアメリカの政治力と、軍事力が必要なのは、明らかだとしても、」「傀儡政権が生まれるのは、望まない。」

 「反対派の人々の目的は、本来あるべき、健全なイラクを実現すること。」「その一点に尽きる。」「親米国家の設立も、石油に絡むアメリカの国家戦略も、」「介在してはならない。」

  反体制派の人々の主張は、とても立派で、崇高な響きさえありますが、実際のところ、実現の手段や国家像が、私にはぼんやりとしか理解できません。米国頼みの新生イラクの建設なのですから、自分たちの言い分だけが通るはずがありません。なんだか私には、反体制派の人々の姿が、わが国にいる反日・左翼の人間に重なるような気がしてきました。

 国をアメリカの政治力と軍事力に守られているのに、「アメリカの戦争に巻き込まれるから、軍備は全廃しろ。」「戦争は嫌だ。」「アメリカ軍は出て行け。」・・・・、スローガンはまだいくらもありますが、身勝手であるところが共通しています。

 本は全部で220ページで、私が書評を綴っているのは、まだ18ページの部分です、こんな調子だと、何時終われるのか心もとなくなりますが、言葉遊びをしている訳でありませんから、明日からは気合を入れ、焦点を絞り、イラクという国を探検してみようと思います。

 

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イラク わが祖国へ帰る日(反体制派の証言)

2017-08-12 00:49:08 | 徒然の記

 勝俣郁子氏著「イラク わが祖国へ帰る日(反体制派の証言)」(平成15年刊 日本放送出版協会)を読みました。

  東京生まれの氏は、国際基督教大学を卒業後、 ジャーナリスト、TV・ラジオのキャスターを務めたのち、 ペルシャ湾の島国バーレーンで暮らす。東欧崩壊後の難民問題に揺れていたウィーン、 北アイルランド紛争の和平交渉が始まった頃のロンドン生活を経て、現在は東京在住。季刊「アラブ」の編集委員、放送大学の講師・・・、これがネットで得た略歴です。

 イラクの独裁者サダム・フセインを、アメリカの軍事力をテコにし、どうすれば殺せるかと、イラクの反体制派の指導者たちが命懸けの戦いをしている時の話です。

 サダムフセインは、1979(昭和54)年からイラク大統領となり、独裁権力を握り、イランとの戦争、 クウェート侵攻を強行した独裁者であることは、日本でもよく知られています。1991(平成3)年の湾岸戦争でアメリカに敗れ、2003(平成15)年にはアメリカ軍が侵攻したイラク戦争で敗れ、捕らえられて、2006(平成18)年に処刑されました。 

 ですからこの本は、フセインが処刑される以前に出版されたということになります。「アラブ」関係の本を読む時、私はいつも沢山のことに悩まされます。第一番目は、登場してくる人物の名前です。「イヤド・アル・アラウィー」「サーレハ・アル・シェイクリー」「ムハンマド・バキル・アル・ハキーム」、どれも長くて、読みにくく、一度では覚えられません。

 日頃馴染みのないアラブの国々を、よく知っておこうと調べますと、例えばイラクは、世界地図のどこに位置するのか。ネットで探しますと、「西アジア」でも出てきますし、「中近東という分類でも出てきます。」

 「西アジアの国家としては、一般に、アフガニスタン、イラン、イラク、トルコ、キプロス、シリア、レバノン、イスラエル、ヨルダン、サウジアラビア、クウェート、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、オマーン、イエメン、パレスチナおよびエジプトの一部がここに属す。」と、説明されています。「一般に」という言葉がついていますから、別の場合には、別の国が入るのだと思われます。

 しかし「中近東」となりますと、さらに曖昧になります。

「日本の外務省による報告書には、北アフリカからトルコ、アフガニスタンに到る国家群を、中近東としている例がみられる」「以下の分類は一例であり、流動的である。」

  [中東および近東のどちらにも属する国]

   イスラエル、イラク、シリア 、トルコ 、パレスチナ自治政府 、ヨルダン 、

   レバノン

 [中東に属する国] 

   アラブ首長国連邦 、イエメン 、イラン、エジプト、オマーン、カタール、

   クエート 、サウジアラビア 、バーレーン

 [拡大中東に属する国]

   アフガニスタン、アルジェリア、キプロス 、スーダン 、ジブチ、ソマリア

    パキスタン 、モーリタニア、 リビア

 どうして、こんな面倒な準備をするかと言いますと、イラクの内乱や紛争を理解するには、周辺国との位置関係が重要になるからです。同じ民族が国境を越えて住み、同じ宗教が国と無関係に広がっています。同一民族なら、国境を越えて紛争に参加し、宗教が違えば、同じ国の中でも殺し合いをします。つまり政府があっても、住んでいる人間は、国境を無視して連携し、助け合い、憎悪し、戦うのです。日本人にはとても理解が難しい世界です。

 こういう本を読んでいますと、日本のマスコミが、どれだけ省略した情報を私たちに伝えているかが分かります。事実の捏造や、偏向ということでなく、こうしかできないのだと、理解できます。日本国民向けに、正確に、詳しく、公正になどと言っていたら、マスコミは、毎日、本一冊分くらいの記事を書かなくてならないでしょう。

 本を手にしていますと、森友とか加計とか、自衛隊の日報とか、取るに足りない問題を、国を挙げて騒ぐ滑稽さも痛感させられます。反日、左翼の政党が「憲法を改正すると、日本が戦争に巻き込まれる。」と大騒ぎするのが、どれほど馬鹿げた理屈かが分かります。マスコミが一つになり、「安倍政権の暴走」とか「独裁者安倍」と報道するのも、現実離れしています。言うまでもないことですが、マスコミの言葉通りの総理なら、新聞もテレビも即刻廃刊・停止されます。経営者や記者たちは、裁判なしでの処刑です。

 独裁者というのは、イラクのフセインやリビアのカダフィーのように、軍事力で国民を押さえつけ、自分や家族、あるいは忠誠を示す部下のためだけに、ためらいもなく政治をする人間を言います。獣医学部新設のように、「お友達」のためなんて、そんなチャチなことはやりません。

 ということで、今晩は書評までいかず、入り口のところで終わってしまいました。明日から気分一新し、ブログにかかろうと思います。スッカリもつれてしまい、解くこともできないロープのようになった、複雑怪奇な国々の事件を語られますと、やはり日本は単純明快、平和でいい国だと、嫌でも思わされます。日本中の人に読んでもらいたい気持ちに駆られますが、事前の準備だけでこれだけ大変なので、それは無理な話です。

 従って私たち日本人は、国の有り難さを忘れ、大変だ大変だと、保守も反日も、これからも変わらず小さな問題で騒ぎ続けるのでしょう。ここまでイラクが面倒になりますと、ブログを訪問してくれる読者が減り、敬遠したくなっても不思議はありません。

  「それもまた、人生。」・・・・です。

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