7月29日、

土曜日、朝、出社、6時、退社。新宿、レンキ、合流。豪雨。レンキ、シャツ、透け。髪、濡れ。浴衣女子、隅田川花火大会、昭和記念公園花火大会、豪雨。湿気、人、匂い。レンキ、西新宿、地下道、スケボー、発案。なにそれ、承諾。ムラサキスポーツ、二台購入。スバルビル、新宿の目、記念撮影。地下道、曲がる、登る、くだる、まっすぐ、分かれる、滑る、滑ってみる。都庁前広場、プロジェクションマッピング、雨、東京、東京、東京。地下道、ぐるり、繋がる、新宿。JR、中央線、中野、寿司屋、ビール、焼酎。ラジオごっこ、2人10分、1人10分、アドレナリン。車が少ない道、スケボー、滑る、滑る、終電、解散。

翌朝、黄色と水色のスケボーを玄関に見て、意識がさっきまでの夜に飛ぶ。さっきまでの夜。

歌18

焼きもせず 食べる人にも なりきれず
いつまでも白 僕の紙皿

歌16〜17

帰り道 リビング民家 ホンジャマカ
笑う石塚 真顔の家主

売れ残り パツパツパスタ ナポリタン
手に取る主婦の 油を吸って

歌15

水晶体 超えて角膜 燃やして焦がす
ひっくり返った あなたの笑顔

クソまずいシメサバ、不安になるくらいに。

仕事ができますよ。そんな声の出し方、穴子とウニ、お酒の替えはまだですか。嫌いな体格、嫌いな日焼け具合、わさび多め。たまにそういうことってある。関係ないけど、なんだこいつは。がりくださいってうるせーな。俺にはわかる、お前はクソみたいな奴だ。この俺がいる、このクソみたいな店にふさわしい。

いや、こいつ、ただ、空気感が不思議なだけだ、あと、こだわりが強いだけだ、オタク気質だ、顔が昔遊んでた感じなだけの、オタク気質だ。
アガリを飲んだ後のあー美味しかった、の声の大きさ、丁寧だけどやりすぎではないお辞儀、自動ドアを過ぎる瞬間の振り返りと目配せのバランス、いやらしさがない。
自分の心の疲れと汚れが、眼球までも濁らせていたのかもしれない。そもそも、寿司を食いながら、携帯をいじるとは、何と職人に失礼な行動か。
僕は、寿司を乗せる下駄の上に跪き、穴子握りののようにどろりとしなだれた。横に積まれたガリの汁が流れ、僕のヒジを浸す。

歌14

自習室　背中ブラウス　世紀末　沈黙直立　消しゴムのカス

陰干しのこと影法師だと思ってたんですぅ

窓を開けて寝た。窓下の腰壁に鼻が当たるくらい部屋の隅で目が覚めた。僕の上にあるカーテンと窓の隙間から風が垂れて来ている。匂いが変わった。窓の外の向こう1メートルほどの所にある隣の家の外壁にも窓がある。姿、形も僕の部屋の窓にそっくりで、ちょうど、僕の住むアパートの外壁と隣の家の外壁の間を最短距離で繋いだ線分の中点を通り、僕の部屋と隣の家の外壁に水平でかつ、地面に垂直な面を軸として僕の家の窓を反転させた位置にある。別の言い方をすると、窓を開けると真っ正面に隣の家の窓がある。そこからタバコの煙が外に出て、そのまま僕の部屋の窓、そして僕の鼻まで移動したのだろうと、頭の中では煙を、何かパチンコ玉程度の大きさの球体の群れとしてイメージして解釈した。頭の中の煙の球は、最初に到着した２つが僕の鼻の穴に詰まり、それを追ってやって来た球らは、行き場をなくして畳にポトポトとこぼれていった。

ビタミンはサプリメント頼み

半額セールのゆでダコをぶつ切りにして噛み砕く。俺は生きる。生きる為に目の前のタコを食う。

ごみ収集車のハンドル前の部分の雑誌の充実

情けないことに３３歳になってもモノマネレパートリーを持っていない。
モノマネメドレーで友達みんなを楽しませたい。
最初は浜崎あゆみのモノマネから入って、
「アリーナのみんなー！」っていったり、
低音のところでビブラートを強めに利かせたい。

会社の飲み会とかでは、会社の上司のモノマネとかもしたい。
おしっこする時に、体を小便器に極端に寄せる方のモノマネとかして、
男性社員が爆笑するけど、女性がポカンとしてるみたいな、
あーゆー気持ちよさとか味わってみたい。

高校の友人が酔っぱらったときにする桑田佳祐のモノマネは、
昔からものすごく似てて面白かったけど、
何年か前の正月に、地元で飲んでいて、
何件目かに、その友人の行きつけのキャバクラみたいなところに
大人数で連れていいってもらったことがある。
その時に久しぶりに聞いた彼の桑田佳祐は、
かなりデフォルメされていて、もう、
何もを歌っているのかわからない様な部分もあった。

いわゆる、モノマネのネクストレベル。
コロッケのそれの階段を彼は地元で着実に上り続けていたのである。

氷が溶ける前に返事して

当時付き合っていた女性はその日、肩が凝っていると言って元気がなかった。夕方近所を散歩をしている時、向こうから飼い主に台車に乗せられ運ばれている歩けない老いたラブラドールレトリバーとすれ違った。彼女は元気になり、「可愛いねー」と頭を撫でながら犬に話しかけて笑った。そのあと少し歩いたところで、犬が歩けなくてかわいそうだと泣いた。そして涙を拭う時、手の匂いをかぎ、「くっさ」と言って顔を歪めた。そしてすぐに無表情になりカバンから迅速にウエットティッシュを取り出し念入りに手を拭いていた。それをふと思い出した。その時は、スピードについていけず置いてきぼりになったと思う。そう覚えている。

聞かせてください

会話中に人が脳みそ動かしてる時に目玉が左右に動いているのを見るとグッとくる。

そんなことないないないない！

会話の相手が興奮した時に、「〜で〜で、〜なんだよ！そんなことある？」て流れの小話の中の、「そんなことある？」ってゆーのがすごい好きだけどまだなんでだかはわからない。

カンボジア、アルマジロ、ロシア、アジ、人生観

女子、15歳くらい、身長158センチくらい、痩せ型、髪は黒のストレート、濡れている、ショートカット、真ん中分け、大きめの赤いＴシャツ、大きな目を見開いた少年のイラストのプリント、その下にNEO TOKYOの文字、黒のタックスーツにシャツをイン、裾はくるぶしの中心、黒のレザーのワンスターに靴下はベージュの深めのリブ付き、サテン生地の黒のナップサック、白のこだわりなさそうなイヤホン、東西線中野行き、あぁ、なんておしゃれで軽やかな女子なんだ。変なはずの格好なのに、てらいがない。スーッと入ってくる。纏っているものが、体と車内の空気の両方に当たり前のようになじんでいる。これ見よがしな雰囲気は一切ない。一見、干してた洗濯物を、眠気まなこで無作為に選んで着ている様にさえ見える。しかしなんとも言えないバランスに着地しているのである。そう、この東西線の座席に音もなく着地しているのだ。僕の目の前に。あぁ、その温度の低い表情で、一体何を考え、どんな音楽を聴いているのだ女子よ。いや、想像もつかない、お手上げだ女子よ。


ーまてよ、こいつ、男子だ。軽やかな男子だ。ー


味わったことのない衝撃が脳天を直撃し、背骨の髄を伝って亀頭先端へと抜けた。これが、噂に聞いたことのある、「おしゃれすぎてもうおしゃれかおしゃれじゃないかわからないけどやっぱおしゃれでしかも中性的な雰囲気でまだ幼さが残っていることで女子に見紛える男子（知的な感じと育ちの良さが出てるver.）」か。僕は、目の前の現実を受け入れられないながらも、どうにかそれにしがみ付こうと、スマートホンを取り出し彼について記録した。